日本画部門総評 石井博新潟県美術家連盟日本画理事

初めて燕市展に参加させていただきました。印象として、多様な作品が集まり、個性が感じられるのが、他にない良い点だと思います。とかく様式化し、同じような作品が並び、「何を描くのか」より「どう描くのか」の技術先行が気になるのですが、技術は主題を明確にするための必然性が大切だと思います。その点から当市の作品は良いなあと感じました。入賞作品は、「自分の主張が強く表現されてる」ものを選ばせて頂きました。

市展賞『廃坑への想』西山正二
主題が深く、表現もしっかりしてます。色調も彩度を落とし主題に迫り、骨太の作品です。

奨励賞『想』水沢直子
主張が明快です。人物の顔も和楽にとりくむ表情として品格があります。背景の左部の整理がほしい気がします。

奨励賞『瀬音』山宮優子
明快な作品で、技術もしっかりしてます。二個所だけ気になりました。主題が水ですので、山容を弱めたらという点と、右峰(遠山)の描写です。いかがでしょうか。

奨励賞『凍てる朝』草野貞子
水墨画ならではの雪の世界を描き上げました。自動車を配し現代感覚を見せてます。只、樹木の描写が不充分に見えるのは残念です。

奨励賞『なんびきつかまえた?』野島フミイ
温かい物語が伝わってくる良い作品です。写生から抜けた表現の絵です。

奨励賞『冬瓜』笹川流葉
伝統的な描法ですが、精神性の深さを感じさせます。洋画の後追いでない日本画を見せてます。

他に高野テイさん、佐々木喬さんの作品、大きく描いてほしかったなーと思ってます。