審査員講評
【日本画】穂苅春雄(日本美術院特待 県美術家連盟参事)

絵を描く原点は感動があります。絵画は記憶や記録ではなく自分の感じた感動を描く、その行為は決して上手に描く事だけにとらわれず感動した対象を1点にしぼり、自分の心と技でそれを表現する。昨年より出品点数は少なかったが、水墨画に面白い作品が有り、見ごたえ有の展覧会になりそうだ。市展賞の「群れ」倉田さんの作品ですが発想が自由でマチェールに独自性が有り力強く見応え有る作品です。

◎奨励賞「夏のおとずれ」柳下さんの作品は本格的に取り組んだ作品で表現力、技術力共に有り良い作品となりました。

◎奨励賞「初冬の朝」青山さんの作品白い雪の配分は良く空間に何か動きのようなものを感じ格調の高い作品となった。

◎奨励賞「山湖」高波さんの作品は絶妙な構成に又、金箔が入って色彩は美しく山のつめたい空気さえ感じ良い作品でした。

◎日報賞「想い」角田さんの作品バックの色彩と波の型が人物を美しく見せている。題名の想いに良く雰囲気が表現されている。

【洋画】中野雅友(光風会会員 日展会友)
受賞の対象としては個性ある作品、技術上優れたもの、色調とマチエール(絵肌)が独自性のあること。作者のメッセージが内面からにじみ出ている作品を念頭に審査を致しました。
市展賞「遠い日」 日浅進さん、具象絵画の中に抽象的な構成構図を取り入れ、自分の思い出をF50の限定空間をつかい切って表現され大変に優れた作品でした。
奨励賞「紅燈」堀川勝さん、色面構成が良く、直線、曲線の組みたてと、四隅の空間の処理も良かった。
奨励賞「記憶の彼方へ」長谷川三成さん、紙と鉛筆という組み合わせで鉛筆の各種類のハッチングや練消しなどで楽しく記憶を二重空間の世界で表現して良かった。
奨励賞「残景」古川四朗さん、油絵具のモデリングも大変優れている。色彩は統一され無限の広がりが感じられた。

奨励賞「悠久」木口四郎さん、日常どこにでも観る平凡な川の風景であるが、水彩で豊かな川の流れた描かれ好感をもてた。

新潟日報美術振興賞「祭の前夜」五十嵐幸子、画面の全体からやさしさやホットな感じと人柄が伝わる作品でした。

他に「古都」藤田幸子さん、構図は大変良いと思います。画面の下半分の空間感を大切に描くと良くなると思います。

「雪の寺」高山泰夫さん、雪と寺や木立のコントラストを写真から一度は離れて水彩の再構築されると今までと違う水彩画を描けると思います。

「本成寺」飯塚尚人さん、写生の楽しさが、木々の話し声がきこえる作品で良かった。水彩画と淡彩画の区別をつけるともっと良くなると思う。

【彫刻】野上公平(二科会会員 県美術家連盟参事)
三条市は彫刻が盛んなところで審査を楽しみにしてきました。一般公募では抽象が1点、頭像が8点の計9点でした。いずれも彫刻としての要素(量感・塊まり・動き)を把握しており、レベルの高い作品でした。

市展賞「スパイラル 02」捧徳弘氏
大きなリズムと小さなリズムが心地よく響きあって動きをなし、広い空間を形どり、見る人にすがすがしい気持ちを与えます。

・奨励賞「T氏」大谷秀作氏
骨組みとデッサンがしっかりとして、量感や塊まりがよく表現されていました。しかし、やや表現が硬すぎて、これから先どう発展していこうとしているのかが見えてこない感じがします。

・新潟日報美術振興賞「母−博子−」村上由香里氏
頭像や彫刻の基本をしっかりつかもうとしている意気込みが感じました。部分にとらわれず、全体を把握しようとしている点がよかった。今後粘土の硬さなど研究すれば、張りのある力が表現できると思います。

【工芸】細野実(日展会友 現代工芸美術家協会本会員)
本年度、私共現代工芸の大先輩であります鶴巻三郎先生が、三条市の名誉市民となられました事を、およろこび申し上げます。

昨年に引き続き皆さんの力作を見せていただきました。初歩のほのぼのとした作品から現代的な作品と、多種多様でした。ものを作る事の楽しさが沢山伝わって来ました。

・市展賞「遊」捧徳弘さん
黒い鉄の角柱に入る亀裂に、作者の想いが有り、見る人に、多少ものたりない所も有るが感じ良く想いが伝わって来ます。現代的にまとめてあります。

・奨励賞「秋の川縁」高橋千枝子さん
昨年と同様、克明に丹念に仕事をしておられます。色の配置も、古布の使い方も良く力作ですが、題名に秋と付けた作者の想い入れとは思いますが、すすきの刺し子にもう一工夫あれば良い。

・奨励賞「リュミエール(光の中へ)」山井敏彦さん
形状も良くまとまりました。作者のおもいと云うことでしょうか。つくしの模様が、よけいすぎる、形だけで十分に見れる作品では有りますので模様には気を付けて下さい。

・奨励賞「連綿」佐藤アイ子さん
この手法の作品は多く有りました。その中では作品としてのまとまりが有ります。花を花として、葉を葉として見せるのではなく、それを素材と見て、作者の想いや、自分のデザインを表に出すことを考えて下さい。

【書道】田辺玉翠(北日本書芸院総務町券美術家連盟参事)
県内でも有数の伝統ある三条の市展の審査を仰せつかりまして、拝見致しまして内容の充実した多くの中より、入賞7点を選び出すのに大変苦労致しました。内容的には重厚な力感ある作品に接して、気のしまる思いが致しました。立派な指導者が多くおられるので将来益々充実発展されることと思います。

●雅印の印泥の盛り方に充分留意されることを望みます。そして雅印もそれなりの篆刻家の雅印をお持ちになられることを望みます。

入賞作品短評

市展賞◎本多さん 布置章法を得た力強い練度ある作、将来有望。

奨励賞◎石井さん 流行にとらわれない独自な書法で力感ある素朴な雰囲気な作。

◎金成さん 古典を踏まえた線質が素晴らしい。書いておられる姿が目に見えるようです。

◎緑水さん 漢字かな交りの調和体漢字にかなの違和感がなく、練度ある作。文字のデホルム等多字数よくまとめられた作。

◎澤口さん 流麗な高度な線質、安定した布置かなりな実力者と見る。

◎長谷川さん もう少し墨量がほしかった。アドケナイ文字の姿素晴らしい。今後古典を勉強されることを望みます。

日報賞◎土田さん 線質に不安定さが見られるが、将来有望、今後の努力を望みます。

漢字三点、かな二点の五名の方が入賞されなかったのが残念でならない。今後頑張って頂きたい。

【写真】本田清(日本写真協会会員)
三条市展写真部門の水準の高さには、毎回驚かされます。各種の公募展や写真コンクール等でも三条市の作家が活躍しており、心強い限りです。いっそうのご健闘を祈ります。

市展賞「峠の朝霧」西一郎 堂々たる風景写真です。横風もよく申し分のない作品で、何回も何回も通って勝ちとった一点ではないでしょうか。

奨励賞(1)「朝の舞」淡路行雄 超望遠レンズで切りとったネーチャー・フォトの傑作です。背景を暗く省略したので、いっそう魅力を増しています。

奨励賞(2)「祭りっ子」浅賀均 お祭り写真は、どこでも見られますが、この作品は四人の若い女性の表情と、そのしぐさがすばらしい。

奨励賞(3)「ライバル同好」佐藤尚康 風景写真は盛んです。同じようなポイントで同じような作品になりやすいのですが、人物を取り入れて成功したようです。

奨励賞(4)「くぎづけ」上木千夏子 バッタと少年の視線が一直線で結ばれていて力強いものが感じられます。

奨励賞(5)「町の鍛冶屋」新飯田茂雄 金物の街三条では、ありふれた風物詩でしょうが、もっと撮り込みたいモチーフです。

奨励賞(6)「初雪のアイガー西北壁」渋谷功 北壁から舞い降りるパラグライダーと昼の月、絶妙の一瞬を定着して良かったです。プリントの仕上げがもう一つでした。

日報振興賞「艶」目黒直栄 舞い姿を撮る場合の構図のひとつで、かなり成功していますが、この一作だけでは評価は定まりません。