【米山知事インタビュー】迷って医師や弁護士に、大きな野望がある、理想のタイプは峰不二子 (2016.12.28)

ケンオー・ドットコムは25日、知事公舎で米山隆一知事にインタビューした。10月25日に知事に就任してまだ2カ月。政策以前に米山知事の人柄、人となりがわかる質問をと、いろいろな人から質問内容のアイデアをもらい、それを含めて米山知事に聞いた。YouTubeにアップした動画では30分余りにわたるインタビュー全編を見ることができる。

米山知事インタビュー

機械的なトラブルで途中、録画が途切れたほか音声が聞き取りにくくなっている部分がありますがご了承下さい。

インタビュアーはことし春、三条市で発足した三条政経塾の塾頭、白鳥賢さん(45)にお願いした。白鳥さんは先の知事選でもケンオー・ドットコムの候補者インタビューでもインタビュアーを務めている。

インタビューは、まずは22日に発生した糸魚川市大規模火災の対応に始まり、県央基幹病院の医師や看護師の不足について米山知事は、医師は基幹病院、県立病院でもキャリアアップ、キャリアパスと両立する体制をつくり、勤務しやすい環境をつくり、看護師も環境を整備すれば先に充足していくと見通しを示し、県としてできるのは環境とテクノロジーの部分とした。

米山知事にインタビューする三条政経塾の塾頭、白鳥さん

国道116号バイパスの建設については、国と県の関係がこじれた経緯があるが、「こじれたところは解いたつもりではいる。解いたうえでもう一度、リスタートをかけるように国に引き続き働きかけたい」とすでに前に進んでいるとした。

燕三条地域に対する情報はあまりないが、家内工場的な非常に技術の高い企業があり、技術が集積しているのを知っているが、地域的な体制を教えてほしいと話した。

米山知事は灘高校、東大理三、ハーバード大を卒業、医師、弁護士の資格を取得し、誰もがうらやむような輝かしいキャリアをもつ。国定勇人三条市長から特殊な記憶能力があるのではとの質問をいただいたが、米山知事は「それは全然ない」、「記憶力は決していい方だとは思わない。かつ注意力も散漫だからいろいろ忘れ物をする」と否定した。

「記憶力があまりないから勉強が得意になった」、「概念をきちんとつかむことが大切」、「勉強の大半は文章を理解すること」、「（学問の）構造みたいなものを理解して勉強するといい」などと持論を展開。言っていることはわかっても、凡人にはその通りに実践できるとはとても思えないが、なかにはこれでぴんとくる人もあるだろう。中高生などは必聴だ。

キャリアについては、「むしろ迷っていただけ。ここは正直に。僕自身は本当は政治家をしたかったんだと思う」と振り返って自己分析した。中曽根康弘元首相のブレーンだった東大名誉教授佐藤誠三郎氏のゼミをとり、「それが多分、その後の政治にいける決心をした。生涯の師だと思っている」。しかし、「当時は世襲でもなく政治家になれるという実感がわかず、ちゃんとできることをしようと思ってとりあえず勉強も得意だし、人の役に立つところで医者にした」。

さらに「勉強、得意だってのは途中でわかった」、「勉強ってのはだいぶこつをつかんだぞと。だから大概のこの手のペーパー試験でいける的なものに関しては一定の期間があれば、ほぼほぼできるやって自分でわかりますよ」、「特段、目指したとか挑戦したとかではない」と話した。

残された挑戦という質問には、「言うつもりもない野望はあるので。大きな野望、そこは本当にチャレンジだと思う。いろんな運もかかわるし。自分は本当にそこまでできる能力があるかどうか良く知らないし、全然、こつはつかんでないし。そこは大きなチャレンジと思うので、運にも翻弄されながらできる限りやっていきたい」と大きな野望をにおわせながらも具体的には答えなかった。

公約にした返済不要な給付型奨学金の財源は「ある程度はできる」とし、例えば生徒の10%なら「財源の手当てがつく」、20%は「相当ていどにあちこち調整がいる」、40%は「相当、いろんなところとけんかすることになる」とその実現可能性を表現。制度設計をしたり、ようすをみたりして「少なくも10%レベルならそれは手当てがつく」との見通しを示した。

長岡市出身のスーパーコンピューター開発者の齋藤元章氏については「同級生」。健康保健を含む健康ビッグデータは「大きな展望が開けてくるといい」と期待した。選挙演説で質の高い教育の実現、教師の育成が大事だと話したことの具体策は、医者の情報交換サイトのように教師だけの情報交換サイトの構築というアイデアを披露。「情報共有が生きる領域だと思う」、「教材を共有するだけで相当、良くなる」とし、「先生の待遇の適正化」も必要と述べた。

最後にがらりと変わって、好きな女性のタイプを質問。これには「それは愚問であると」と返し、与謝野鉄幹が作詞した「人を恋うる歌」の一節「妻をめとらば才たけてみめ美わしく情けある」を引用し、「全部いいに決まってるじゃないですか」と笑った。

しかし白鳥さんがそれならと「今まで好きだったタイプの女性は？」と踏み込むと、「比較的、気が強い人が好きなタイプかも」。「自己主張されないとむしろ困っちゃうところがある」。

白鳥さんが「かかあ天下で安定するタイプでしょうか？」と確認すると、「かかあ天下とも違いますよね」と首をひねり、「おもしろい言い方をするなら、意外と不二子ちゃん好きですよ」に白鳥さんは大爆笑。もちろん「不二子ちゃん」とは漫画「ルパン三世」で主役のルパンが愛する峰不二子のことだ。

「不二子ちゃんに翻弄されるルパン三世というのは、意外とあれは幸せじゃないかと思うタイプ」。米山知事には世界がまったく違って見えているんじゃないかと思うほど、凡人には推し量ることもできないような話も多かったが、最後の最後に「人間だもの」とでも言いたくなるような、ほっとする答えで30分余りに及ぶインタビューを締めくくった。

ただ、「峰不二子」という答えに、男性は「わかる、わかる！」とひざを打ち、好評だったが、女性にはなぜか不評。首をひねって「う～ん」と考え込む人が多かったことも付け加えておく。