新潟県新潟市秋葉区の小須戸地域で開かれている「小須戸ARTプロジェクト2026」で、アーティストのABEYUKA.(アベユカ)さんが、信濃川の水面のきらめきに着想を得た作品「小須戸River★Disco」を元印刷会社「昭栄堂」の町屋で展示している。光を反射するフィルムと手作りのミラーボールで、町屋の土間にディスコを出現させた。地域の人たちの協力を受けて滞在制作した作品で、11月3日(火・祝)までの土、日曜、祝日、午前11時から午後4時まで公開。観覧無料。

信濃川の水面を見て「これはディスコだ」
小須戸ARTプロジェクトは、アーティストが地域に滞在し、歴史や暮らし、人との出会いを作品につなげるアートプロジェクト。ことしは10月10日から11月3日まで、小須戸の町屋や店舗などを会場に成果発表を行っている。
ABEYUKA.さんは東京藝術大学大学院修了。欲望や存在の根源をテーマに、油彩画、FRP彫刻、巨大なバルーン作品、空間全体を使ったインスタレーションなど、素材に縛られず制作している。
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文化庁の新進芸術家海外研修員としてニューヨークに渡り、岡本太郎現代芸術賞の特別賞などを受賞。現在は東京、ニューヨーク、台湾を中心に活動する。

小須戸には10月1日に入り、10日間ほど滞在した。訪れる前から川をモチーフに、光の当たり方で色が変わるオーロラフィルムを使おうと考えていたが、具体的な表現は現地で決めるつもりだった。
実際に信濃川を見に行くと、水面が光を反射してきらきらと輝いていた。「これはディスコだ」と感じ、その光景を町屋の中に引き込む構想が生まれた。
作品解説には「小須戸にディスコを作ったのではない。小須戸の川の煌めきが、すでにディスコなのだ」と記した。
12本の川と、地域で見つけたミラーボール

土間には、オーロラフィルムで表現した12本の川や滝が天井から垂れ下がる。時計の文字盤のように配置し、信濃川と小須戸に積み重なってきた歴史や時間の巡りを表した。
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フィルムには水面の模様を描き、ラインストーンをちりばめた。差し込む光や見る角度によって色合いが変わり、床にも光や影を落とす。川面のように、同じ姿にとどまらない空間だ。
中央に浮かぶミラーボールも手作りだ。材料探しで地域の人に車で店を回ってもらい、リサイクルショップで子ども用のバランスボールを見つけた。大きさもちょうどよく、これを土台に採用。光るシールを2センチ角に切ってひとつずつ貼り、色鮮やかな「小須戸ミラーボール」に仕上げた。

床には作品の「小須戸River★Disco」のロゴも描いた。既製品を飾るだけでなく、滞在中に出会った物や人の力を取り込み、町屋全体を作品にしている。
「派手なのがいい」 地域の後押しで広がった構想
自ら「派手好きの、大きい作品好き」と話すABEYUKA.さん。ただ、小須戸を訪れる前は、自分の表現が地域にどう受け止められるか心配もあり、町並みになじむ、比較的落ち着いた作品を考えていた。
ところが、地域の人たちから返ってきたのは、好きにやってほしい、派手で刺激的な方がいいという声だった。昭栄堂でも床に絵を描くことを快く受け入れてもらい、表現の幅が広がった。
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「最初の予定とは全然、違う作品になったけど、結果的にすごい気に入っている。いいのができたな」。住民の後押しを受け、思い切って制作できたことを喜ぶ。

制作には地域の人たちが手伝いに訪れた。とくに女性たちがてきぱきと作業を進め、完成を支えたという。「本当にひとりじゃできていない。小須戸の皆さんと一緒に作った作品」と感謝する。
東京やニューヨークなど大都市での活動が中心だったABEYUKA.さんにとって、地域に滞在し、人と関わりながらの制作は望んでいた機会だった。信濃川の光に始まり、小須戸の人たちとの出会いで形を変えたディスコが、町屋の中できらめいている。
小須戸ARTプロジェクト | 新潟市小須戸地区の町屋や地域資源を活用するアーティストインレジデンス・アートプロジェクト
https://kosudoart.com/
