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ラオスのモン族に伝わる民話と刺しゅうを紹介 図書館活動家の安井清子さんが新潟市西蒲区で講演

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東南アジアの内陸国ラオスで40年以上にわたり子どもの図書館活動や少数民族モン族の口承文化の記録に取り組む安井清子さん(東京都出身、ラオス・ビエンチャン在住)のトークイベントが1日、新潟市西蒲区巻甲の「にいだやギャラリー野衣(のい)」で開かれた。安井さんは、タイの難民キャンプで子どもたちと絵本を通して交流した体験や、モン族の民話を刺しゅう絵本として残す活動などについて約1時間半にわたって語り、参加した30人近くが聴き入った。

絵本を読み聞かせする安井清子さん
絵本を読み聞かせする安井清子さん

「何?」の一言から始まった交流

安井さんは国際基督教大学を卒業後、子どもたちに人形劇を届ける「おはなしきゃらばん」の活動に参加。1985年、タイのラオス国境にあったバンビナイ難民キャンプへ派遣され、ラオス内戦の影響で故郷を追われたモン族の子どもたちのための図書館づくりに携わった。

当初はモン語をまったく話せなかった。動物の親子が描かれた絵本を手に、モン語で「何?」を意味する「ダッチ」という言葉だけを覚え、絵を指さして動物の名前を子どもたちから教えてもらった。

やがて童話『おおきなかぶ』を身ぶり手ぶりで読み聞かせた。言葉は通じなくても、ページをめくりながら一緒にカブを引っ張るまねをすると、子どもたちは物語を理解した。「絵本を通じて少しずつ友だちになっていった」と振り返った。

トークイベント
トークイベント

夜の暗闇で出会ったモン族の語り

活動を始めて約1年後、子どもからモン族には「ダーニェン」と呼ばれる民話があり、物語は夜に語られることを教えられた。

本来は宿泊できない難民キャンプにこっそり泊まり、電気のない暗闇の中で、ひとりの男性が語る民話に子どもたちがじっと耳を傾ける光景を目にした。

「映像は何もないのに、子どもたちにはきっと物語の世界が見えているのだと思った。言葉が生きていることを初めて感じた」と安井さん。

会場の展示
会場の展示

それまでモン族には文字も本もないため物語もないと思い込み、日本から持ち込んだ絵本を見せていたが、「彼らが持っている物語こそ大切にしなければ」と考えるようになった。

子どもたちにカセットテープを渡し、家族や村のお年寄りが語る民話を録音してもらったことが、その後の口承文化の記録活動の原点になった。

民話を色鮮やかな刺しゅう絵本に

安井さんは『おおきなかぶ』を見本に、布に物語の場面を描いて刺しゅうすることを子どもたちに提案した。すると、ロシア風だった絵本の登場人物は、民族衣装をまとったモン族のおじいさんやおばあさんへと姿を変えた。

ラオスの刺しゅう
ラオスの刺しゅう

モン族の女性は幼いころから母親らに習って刺しゅうを身につけ、衣装やおんぶひも、死に装束などを作る。難民キャンプでは男の子や若者も加わり、モン族の民話や暮らしを表現した刺しゅう絵本が次々と誕生した。

安井さんは難民キャンプで6年間ほど活動した。1992年ごろからはラオス国内の山村を訪ね、民話を録音するようになった。これまでに記録した物語は約300話に上る。

講演では、トラ、イノシシ、クマと人間が知恵比べをするモン族の民話を自ら朗読。人間が起こした山火事によってトラにしま模様ができ、クマが黒くなったとする物語を紹介した。

記録をモン族自身の手に

安井さんは2004年に「ラオス山の子ども文庫基金」を設立し、山村で住民と一緒に石を割って砂利を作り、木材や竹を集めて図書館を建設した。現在も図書館活動を支援しながら、民話、歌、刺しゅう、暮らしの写真などを記録している。

安井さんの著書や訳書
安井さんの著書や訳書


一方、ラオスでは森林が失われ、かつて人々の身近にいたトラも姿を消した。森には動物や精霊がいると考え、森へ入る時には倒木に断ってからまたぐなど、自然を畏れて暮らした人々の記憶も薄れつつある。

安井さんは「民話や昔の暮らしの記憶はとても大切。スマートフォンや動画を使えば、村の人たちが自分たちの物語を聞ける形にできる。記録してきたものを彼らの手の届くところに残したい」と話した。

講演の終盤には、ラオス人の夫・ノイさんが身近な素材で作った人形を使った即興のパフォーマンスを披露して会場をわかせた。

ノイさんが人形を使った即興のパフォーマンスを披露
ノイさんが人形を使った即興のパフォーマンスを披露

同ギャラリーでは企画展「ラオスの山からやってきた 安井清子さんのモン族の手仕事とおはなし」を4日(火)まで開催されており、その一環でトークイベントが行われた。

企画展では、刺しゅう絵本をはじめ、モン族が製作したバッグや小物、安井さんの著書などを展示、販売しているほか、モン族の生活や図書館のようすを撮影した写真も展示している。

観覧無料。午前10時から午後6時まで、最終日は午後3時まで。問い合わせは、にいだや(0256-72-2450)。

にいだや

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