新潟県教育委員会は、2029年4月に新潟県央工業高校と三条商業高校の三条市内2高校を統合して設置する新たな専門高校について、県央工業高校の既存校舎を活用する方針を示した。滝沢亮三条市長は10日の定例記者会見で、県の判断を尊重する考えを示す一方、「地域の総意は新校舎の設立」と述べ、将来的な新校舎整備を引き続き県に求めていく姿勢を明確にした。
県教委が県立高校等再編整備計画で方針
9日、県教委が新潟県議会総務文教委員会に示した「県立高校等再編整備計画」では、2029年度に県央工業高校と三条商業高校を統合。県央工業高校の校舎内に、工業系学科と商業系学科を併せ持つ新たな専門学科の高校「産業高校」を設置するとした。
統合時期はこれまで示していた2029年4月から変わらず、現在の中学1年生が高校へ進学する年度に新高校が開校する。
滝沢市長は「統合の時期が変わらないなら、その段階では工業高校か商業高校のどちらかの校舎を活用することになると我々も踏んでいた」と受け止めた。県央工業高校の校舎を選んだことについては、「県がさまざまな事情を考慮して判断されたと思う。その判断自体は尊重したい」と述べた。
中学生が「通いたくなる高校」に
滝沢市長は、既存校舎を活用してスタートする新高校についても、教育内容や学校の魅力を高めることが重要とした。
「中学生が通いたくなる高校づくりを県に進めていただきたい。我々も引き続き協力していかなければならない」と話し、市として県や学校、地域産業界などとの連携を進める考えを示した。
新高校では、工業と商業の専門教育を組み合わせ、経営管理やビジネス、AI、データサイエンスなどの情報技術を活用した学びを充実させる方向で検討が進められている。
工業分野では、ものづくりの高度化や伝統技術と現代技術の融合、ロボットとの協働による次世代生産システム、資源循環や脱炭素社会を支えるものづくりなどを教育内容に盛り込むことが想定されている。
「新校舎が必要不可欠」の立場は変わらず
一方、三条市や地元産業界、学校関係者などが求めてきた新校舎整備について、滝沢市長は「地域の総意」とあらためて強調した。
「開校の段階では県央工業高校の校舎を使う判断は尊重するが、3月に県知事、県教育長へ要望したとおり、新校舎の設立を求める立場に変わりはない」と述べた。
三条市はことし3月、三条商工会議所や三条市商工会、三条工業会、両校の同窓会・PTA、三条市立大学などとともに県へ要望書を提出した。
要望書では、地元産業と密着、連携した高校、就職だけでなく大学などへの進学も選択できる高校、三条市立大学との高大連携、新校舎の建設、中学生や保護者から選ばれる魅力ある校名の5項目を求めた。
両校の校舎は老朽化が進んでいることから、統合時に既存校舎を活用することはやむを得ないとしながらも、将来的には交通アクセスや周辺環境を含めた新校舎整備が必要としている。
市長「県に地域の思いを伝え続ける」
滝沢市長はこれまでも、少子化に伴う高校再編を単なる学校数の整理ではなく、地域の人づくりを強化する機会と位置づけてきた。
県央工業高校の同窓会総会でも、「一足す一が二ではなく、十にも百にもなる統合にしなければならない」と述べ、優れた高校をつくることが三条市の商工業だけでなく、市全体の発展につながるとの考えを示している。
新高校が既存校舎で開校する方針が示されたことで、今後は具体的な学科構成や教育課程、校名、施設整備などの検討が本格化する。三条市は開校に向けた県の取り組みに協力しながら、新校舎実現に向けた働きかけも並行して続ける。
