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自動運転バス人身事故で事故検証委が初会合 弥彦村の関与や過去2回の事故対応を検証、年内に報告書

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新潟県弥彦村は16日、4月に発生した自動運転バス「ミコぴょん号」による人身事故を受け、「第1回弥彦村自動運転バス事業に関する事故等検証委員会」を弥彦村役場で開いた。警察の捜査や国土交通省の調査とは別の視点から、事業主体である村の実施体制や委託事業者への関与、過去2回の物損事故への対応、運行前のリスク対策などを検証する。委員会は9月と11月にも開き、年内をめどに報告書をまとめる。

第1回弥彦村自動運転バス事業に関する事故等検証委員会
第1回弥彦村自動運転バス事業に関する事故等検証委員会

4月に歩行者2人と衝突

事故は4月12日、村が運行する自動運転バスが歩行者2人に衝突し、けがを負わせた。自動運転バス事業では、それ以前にも手動介入中の物損事故が2回、発生していた。

本間芳之村長は開会のあいさつで、事故について「村として痛恨の極み」と述べ、負傷者と家族に見舞いの言葉を述べるとともに、村民らに心配をかけたことを謝罪した。

そのうえで「自動運転バス導入の経緯や実施体制、2度の事故に対する対応、弥彦ルートの運行開始前のリスク対策などについて検証し、村の対応の課題や問題点を明らかにしたい」とした。

委員会は事故原因そのものやオペレーターの過失、運行システムの技術的問題を直接究明するのではなく、警察や国交省の調査と役割を分け、行政としての意思決定や事業管理のあり方を中心に調べる。

本間村長
本間村長

委員長に新潟大学の宍戸学部長

委員は行政、法律、リスクマネジメントの専門家3人で構成。委員長に総務省出身の新潟大学経済科学部長の宍戸邦久氏、副委員長にひめさゆり法律事務所(三条市)の交通事故や企業の内部統制に詳しい弁護士、山内竜太氏を選んだ。東京海上ディーアール運輸・モビリティ本部主席研究員の花島健吾氏はリモートで参加した。

宍戸委員長は「今回の人身事故は大変、痛ましく、あってはならないこと」とする一方、自動運転については人口減少社会の地域交通を支える重要な技術との認識を示した。

「課題が起きたからすぐにやめるのではなく、課題や問題が起きたならどうするか、どのような教訓を得るかが大切」と述べ、村の導入過程や実施体制、情報共有のあり方を検証し、今後の行政運営に反映させたいとした。

会議は冒頭の委員長選出までが公開され、その後は事故に関する未確定情報を扱い、自由な議論を確保するため非公開で行われた。

委員長に就いた新潟大学経済科学部長の宍戸氏
委員長に就いた新潟大学経済科学部長の宍戸氏

「委託業者に任せる部分が大きかった」

会議後の説明によると、村は委員に対し、自動運転バスを導入した背景や経緯、過去2回の事故、4月の人身事故後の対応など、事業の全体像を説明した。

委員からは、運行前に事業者が実施したリスクアセスメントを、さらに第三者が評価すべきではなかったかとの指摘があった。

車両製造事業者が映像や地図などを使い、弥彦ルートの危険箇所を評価していたが、その妥当性を外部の第三者が検証する仕組みは設けていなかった。

事業開始当時は国のガイドラインで明確に求められていなかったものの、後に第三者評価が盛り込まれたことを踏まえ、あらためて実施すべきだったのではないかとの意見が示された。

委託事業者との関係では、安全対策や情報共有について定期的に報告を受け、実施内容を村が確認、評価する体制が必要だったとの指摘が出た。

村側は、運行を担うBOLDLY(ボードリー)が全国各地で実績を有していた一方、村には技術的な調査や評価のノウハウが乏しく、「どちらかというと運行会社に任せていた部分が大きかった」と説明した。

訓練は「実施済み」と口頭報告のみ

オペレーターの訓練を巡っては、ことし2月に今回の事故に関係したオペレーターを含むトレーニングが行われたことを村も把握していた。しかし、村が受けていたのは「訓練が終わった」という口頭での報告にとどまり、具体的な訓練内容や報告書は共有されていなかった。

過去2回の事故がいずれも手動介入中に発生していたことから、委員は、訓練内容を村が把握し、実際に適切な教育が行われているか確認する必要があったと指摘した。

弥彦ルートの運行ルートでは、観光客や車両が走行経路に入ることなどから、運行開始後に手動介入の割合が想定より増え、自動運転率が約10%低下していた。

担当者やオペレーターの間では手動介入が多いとの認識があったが、組織全体で十分に共有されていなかった。情報が庁内で共有されていれば、手動操作の増加に伴うミスの危険性を踏まえ、ハード、ソフト両面で追加対策を講じられた可能性があるとの問題意識を示した。

過去の事故を深く検証していれば

過去2回の物損事故への対応についても、「事故をより深く評価し、事業者と対策を協議していれば、今回の事故を避けられた可能性があるのではないか」との意見が出た。

村は今後、これまで整理した資料を基に、導入経緯や事故対応、運行判断などの事実関係と課題を文章化する内部調査を進める。委員はその内容を外部の立場から評価し、不足する点や深掘りすべき事項を指摘する。

囲み取材を受ける
囲み取材を受ける

委員会は計3回を基本とし、第2回を9月、第3回を11月に開催する予定。会議の合間にもメールなどで委員と事務局が意見を交わし、9月に報告書の骨子、11月にほぼ完成した案を示す。第3回の意見を反映し、委員の確認を得たうえで年内の公表を目指す。

運行再開は白紙 「かなりハードル高い」

運行再開について、本間村長は「今後の運行に関して決まったものはない。検証結果は次の展開に向けた大事な判断材料になる」と述べ、再開、事業断念のいずれも現段階では決めていないとした。

村側も「運行再開を前提に検証するものではない」と強調。一方で、仮に再開する場合は、システムの安全対策だけでなく、住民や観光客、乗客の不安をどのように払拭するかが大きな課題になるとの意見が出た。

現状のレベル2の自動運転では、障害物を避ける際などにオペレーターの手動介入が必要になる。村は「いろいろな対策を尽くしたとしても、同じルートを同じような仕組みで走ることを、どこまで理解してもらえるかは難しい。仮に再開する場合、ハードルはかなり高い」とした。

宍戸委員長は、今後の主要な論点として、先進技術を伴う委託事業に自治体がどこまで関与し、事業者の取り組みをどう把握、評価するかを挙げた。

「全てを事業者任せにせず、自治体としてどのように対応すべきかを議論することは、自動運転だけでなく、今後さまざまな先進事業に取り組む自治体にとって、一つの方針を示すことになる」と話した。

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