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酒蔵の伝統行事「呑切り」を三条で体験 SUWADA100周年で麒麟山と記念コラボ

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「SUWADA(スワダ)」ブランドのニッパー型つめ切りを製造販売する諏訪田製作所(新潟県三条市・小林知行代表取締役)は18日、同社の創業100周年を記念し、阿賀町の酒蔵・麒麟山酒造(齋藤俊太郎代表取締役社長)と連携した「麒麟山酒造×SUWADA 呑切(のみき)りイベント」をSUWADA OPEN FACTORYで開いた。満員となる32人が、蔵人だけで行う酒蔵の伝統行事の呑切りを体験し、未発売品や31年間、熟成させた古酒を含む20種類の日本酒を利き酒した。

SUWADAで麒麟山とコラボした呑切りイベント
SUWADAで麒麟山とコラボした呑切りイベント

「呑切り」は、冬に仕込んでタンクに貯蔵している日本酒の呑み口を開き、味や香り、熟成の進み具合、異常の有無などを確かめる行事。製品化までの温度管理や熟成方法を決めるための重要な作業で、麒麟山酒造では毎年夏に行っている。

麒麟山酒造は今月8日、新潟県醸造試験場の職員を招き、約50種類の酒質を確認した。今回はその中から20種類を選び、酒蔵の外ではめったに行われない「出張呑切り」として参加者に提供した。

見る、嗅ぐ、引き込む、広げる、吐き出す、振り返る

利き酒は、色の濃さや透明度、濁りなどを確認する「見る」から始まり、上立ち香(うわだちか)を確かめる「嗅ぐ」、少量を口に含んで空気とともに香りを鼻へ抜く「引き込む」、口全体に広げて甘味、旨味、酸味、苦味などを捉える「広げる」と続く。

麒麟山の齋藤社長
麒麟山の齋藤社長

さらに、酒を吐き出して後味や切れ、余韻を確認し、最後に全体の調和を振り返って評価表に記入する。

会場にはスポイトを差した容器と利き酒用の杯が並び、参加者は酒の色を見たり、香りを確かめたりしながら、一つ一つ丁寧に味わった。日本酒度や酸度、アミノ酸度、火入れ日などが記されたリストを手に、酒質の違いを比べた。

最初に並んだ普通酒「伝辛」はアルコール度数が21度前後ある原酒。普通酒、超辛口、純米生酒、大吟醸酒、純米吟醸酒などが続き、火入れからの期間や精米歩合、酒米、仕込み温度による味の変化も体験できる構成とした。

20種類のうち4種類は商品名が付いていない未発売酒。後半には1995年に火入れし、タンクの中で31年間熟成させた古酒も用意され、搾りたてに近い若い酒から長期熟成酒までを一度に飲み比べた。

麒麟山酒造がプロモーションで協力した「SUWADA SAKE OPENER」
麒麟山酒造がプロモーションで協力した「SUWADA SAKE OPENER」

地域の暮らしに寄り添う酒造り

麒麟山酒造の齋藤社長は、同社が奥阿賀で酒造りを続けてきた歴史を紹介。「地酒である以上、蔵のある地域の人たちが一番おいしいと言ってくれ、暮らしの中に麒麟山がないとねと思ってもらえる酒を造りたい」と話した。

同社の看板商品「伝統辛口」は年間出荷量の約7割を占めるという。齋藤社長は「毎日飲める価格で、飲み飽きせず、暮らしに寄り添える酒造りに力を入れてきた。きょうはいろいろな酒を飲み比べて楽しんでほしい」と話した。

諏訪田製作所と麒麟山酒造は、SUWADA OPEN FACTORYでの酒類販売をきっかけに関係を深めてきた。諏訪田製作所がダマスカス鋼製のぐい呑みを製作し、麒麟山酒造のロゴを入れた商品を同酒造で販売するなど、ものづくりを通じた連携も続けている。

すべて麒麟山酒造の酒かすを使った料理を提供
すべて麒麟山酒造の酒かすを使った料理を提供

齋藤社長によると、呑切りは本来、蔵人が酒蔵内で行う仕事で、一般向けに蔵外で実施することはほとんどない。ただ、酒蔵まで車で訪れると試飲後の移動が難しいことなどから、昨年から出張形式で開催してきた。諏訪田製作所から100周年企画について相談を受け、今回の開催を提案した。

「一度に比べると違いが分かる」

県内からの参加者が中心だったが、県外から訪れた人もいた。

三条市の50代の男性は、普段から麒麟山酒造の酒を飲み、県外の友人にも紹介しているという。SNSでイベントを知って申し込み、「普段は銘柄を見て、こんな味だろうと先入観を持って飲んでいる。名前の分からない酒もあり、新鮮だった。一種類ずつ飲んでいるだけでは分からない味の差も、一度に比べると感じられる」と話した。

三条市の60代男性は「どれもおいしくて吐き出せなかった。いろいろな酒を飲めて良かった」と飲み比べに大満足だった。

SUWADAで麒麟山酒造とコラボした呑切りイベント
SUWADAで麒麟山酒造とコラボした呑切りイベント


利き酒後は、SUWADA OPEN FACTORYに併設するレストラン「クイキリ」がすべて地元食材に麒麟山の酒かすを使った料理を提供。参加者は酒と料理の組み合わせを楽しみながら交流を深めた。

齋藤社長は、国内で一人当たりの飲酒量や飲酒機会が減る一方、海外需要の伸びや、少量ずつ多様な酒を楽しむ若い世代の消費に可能性があると期待する。

「特別な体験や人が集う場をつくることで、日本酒を知ってもらうきっかけになる。こうした機会を日常の飲酒につなげていくことが課題」と話した。

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