国土交通省信濃川下流河川事務所は30日、信濃川下流域で「流域デジタル水防システム」を運用するため、見附市、燕市、一般財団法人河川情報センターと協定を締結した。消防団が現場で投稿した写真や位置情報を、河川管理者や自治体災害対策本部がリアルタイムに共有する仕組みで、全国初の取り組みだ。
署名式は見附市の防災アーカイブを備える「道の駅パティオにいがた」で行われ、4者の代表者や両市の消防団員らが出席した。
LINEで投稿、Googleマップで共有
システムは、消防団・水防団員がLINEを使って現場の状況を投稿する。水防活動の状況や浸水箇所、河川の様子などを写真と位置情報付きで送ると、その情報が自動的にGoogleマップ上に集約され、河川管理者や市の災害対策本部が確認できる。
これまでは電話や無線による報告が中心で、災害対策本部側で情報を整理するのに時間がかかっていた。今後は、現場の状況を写真と位置で把握できるため、避難指示や水防資材の配置、排水ポンプ車の派遣などをより早く判断できるようになる。
まずは見附市と燕市で試行
2026年度は見附市と燕市の2市でモデル試行する。出水期に運用しながら課題を整理し、必要に応じてシステムや運用方法を改良する。27年度には他市町村に順に試行を拡大し、28年度の本格試行を目指す。
信濃川下流域には関係する9市町村があり、将来的には流域全体で情報を共有する体制をつくる。燕市と河川管理者の訓練は5月、見附市と河川管理者の訓練は6月14日に予定されている。
水害サミットで稲田見附市長が高知県の事例を知ったのがきっかけ
この取り組みのいちばんのきっかけは、水害サミット構成メンバーの見附市の稲田亮市長が水害サミットに参加して高知県が災害や水防活動の状況をLINEを活用していることを知り、信濃川河川事務所に情報提供したこと。それを発展させ、河川情報センターの協力も得て流域デジタル水防システムを構築した。
稲田市長は「空振りを恐れない迅速な避難指示や水防資材の適正配置といった的確な意思決定のスピードアップにつながると確信している」と述べた。
佐野市長「上流の状況がわかることは大きい」
燕市の佐野大輔市長は、1896年(明治29)の燕市横田地内で信濃川の堤防が決壊した「横田切れ」からことしで130年を迎えることにふれ、「この地域は長く水害と戦ってきた。リアルタイムで情報を共有できることは、いざという時の備えとして非常に大事」と述べた。
さらに「上流の状況がわかることで、下流側はこれからどう避難してもらうかを考えられる。線状降水帯など予想しにくい雨にも適切に対処できるようにしていきたい」と話した。
地域の命と暮らしを守る水防DXへ
信濃川下流河川事務所の栗林孝典所長は、1998年、2004年、11年と信濃川下流域が大きな水害を経験してきたことを踏まえ、「いつ起きてもおかしくないという意識のもとで備える必要がある」と述べた。
河川情報センターの池内幸司理事長は「このシステムが現場で使いやすく、実効性の高いものとして運用されることが重要」と述べ、今後も運用支援と機能改善を進める考えを示した。
