新潟県の三条市と加茂市の果樹栽培農家283人が会員の天果糖逸(てんかとういつ)出荷販売協議会は24日、今年度の出荷者大会を開いた。昨年度は高温、渇水、病害などの影響で販売額が大きく落ち込み、目標17億円に対して11億8,200万円にとどまり、2019年の発会以来、最低となった。今年度は春先から生育が順調。販売目標金額は再び17億円突破を掲げ、産地一丸となってV字回復を図る。
出荷者大会には生産者、市場関係者、行政、指導機関などが出席した。大会に先立ち、グローカルマーケティング(株)代表取締役の今井進太郎さんが「果樹産地維持に向けた課題」と題して記念講演した。
出荷販売会議では、生育状況や病害虫発生状況、各部会の出荷販売計画、販売情勢、市場情勢などについて協議した。
昨年度は過去最低水準の出荷量 ことしは「とにかく順調」
冒頭、同協議会の浅川卓会長があいさつし、昨年度は「高温、渇水による果実の品質低下、熟期の遅れなどさまざまな要因により、出荷量が過去最低となる年だった」と振り返った。
一方で今年度は「推移はとにかく順調」とした。春先から気温が高く、開花は平年より1週間近く早かった。7月からはモモの出荷が始まり、ナシの「幸水」もこの日から出荷が始まるとした。
ただ、生産者の減少による出荷量の減少には歯止めがかからず、「われわれ生産者も危機感を抱いている」と述べた。包装資材の不足や価格高騰にもふれ、当面分は確保しているものの、その後は不透明で厳しい状況が続くとした。
販売計画は総額17億9,863万円 17億円突破へ
今年度の販売計画は4部会合計で数量299万4,400キロ、金額17億9,863万円。部会別では、モモが30万キロ、2億2,200万円、単価740円。日本ナシが220万キロ、10億5,600万円、単価480円。西洋ナシが40万キロ、3億5,000万円、単価875円。ブドウが9万4,400キロ、1億7,063万円、単価1,807円とした。
「安全・安心な品質の良い美味しい果物を生産します」「資材、燃料、肥料費など高騰に負けず、再生産金額を」「精度の高い情報提供」「試食宣伝活動の実施」を掲げる。
資材費など果樹生産にかかわる費用が高騰するなかでも品質を落とさず、従来の販売価格では生産意欲の低下や産地消滅の恐れがあり、産地維持のため所得向上を目指す。知名度向上と販売力強化へ、店頭での試食宣伝活動にも積極的に取り組む。
滝沢三条市長「果樹を次世代につなぐ」
来賓あいさつで滝沢亮三条市長は、生産者が日々、果物づくりに尽力していることに敬意を表し、市場関係者には「三条市をはじめ新潟県内のおいしい果物を全国に届けていただいている」と感謝した。
物価や資材の高騰、異常気象が常態化している現状にふれ、「天候だったり資材だったり、さまざまな物価高騰のほかに、皆さまと共有している課題のひとつが後継者問題」と述べた。
三条市では今年度から、サンファーム三条の果樹施設を活用し、果樹栽培や果樹農業に興味のある初心者を対象にした研修を始める。滝沢市長は「地域の大事な産業のひとつである果樹が、次の世代にしっかりつながるよう取り組みたい」と話し、協議会や関係者の協力を求めた。
開花は前年、平年より4日から9日早く
三条農業普及指導センターは、果樹の生育状況や病害虫の発生状況を説明した。ことしは2月以降、気温が高めに推移し、開花期は前年、平年より4日から9日早かった。
6月10日の調査では、満開日は「幸水」が4月18日、「豊水」が4月14日、「あきづき」が4月15日、「新美月」が4月16日、「新王」が4月15日、「新高」が4月11日、「ル レクチエ」が4月18日、「あかつき」が4月11日、「半加温シャインマスカット」が5月5日。
春以降に伸びた若い枝“新梢長”はナシの一部品種で平年より長く、モモは平年より短い傾向。果実肥大はナシでは「あきづき」を除き平年比で良好で、モモやハウスブドウも平年比で良好とした。
開花期の気象も、開花期間中の最高気温はおおむね15度以上を確保でき、受粉や着果には一定程度、好条件だったとみられる。
病害虫は初期防除を徹底
一方で、これからの梅雨、盛夏期に向けた管理も課題になる。近年は梅雨期のゲリラ豪雨や高温干ばつの傾向が高まっており、排水対策と干ばつ対策の両方に対応できるよう準備を呼びかけた。
病害虫では、6月に入ってハダニ類の発生が確認された。増えてからでは防除が難しくなるため、発生初期の防除を求めた。
日本ナシでは黒星病について、気温上昇で感染力は低下するものの、今後も注意が必要とした。発病葉や発病果は見つけしだい取り除き、園外で処分する。
西洋ナシではセイヨウナシ褐色斑点病の発病葉が確認されており、梅雨入り後の拡大が懸念され、防除前の新梢管理、病葉の摘葉、降雨前防除、死角のない防除などを徹底する。
モモではせん孔細菌病の発病葉率は前年より低いものの、6、7月の梅雨時期が感染の最盛期となるため、防風施設の点検や薬剤散布のむらを防ぐ管理を呼びかけた。
昨年度の苦戦を受け、ことしは生育の順調さを販売につなげられるかが焦点となる。大会では、産地維持と再生産可能な販売価格の確保へ、生産者、市場、行政、関係機関が連携して取り組むことを確認した。




