東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を受けて東電が新潟県に拠出する1000億円規模の資金の使途をめぐり、原発からおおむね30km圏内のUPZ(緊急防護措置を準備する区域)にある燕市の佐野大輔市長は25日の定例記者会見で、県が示した電気料金補助案について「どこまでいっても大事なのは、そこにいる方々が安心安全に暮らせるか」と述べ、電気代補助に限定せず、原子力防災対策に使える自由度のある制度設計を求める考えを示した。
県は大枠で「防災400億、対象外地域支援300億、産業振興300億」
佐野市長によると、前日に開かれた県市長会で、県から東電拠出金1000億円の使途について説明があった。県の説明は大枠として、防災対策に400億円程度、電源三法交付金などの対象となっていない地域への支援に300億円程度、地域産業振興に300億円程度を充てる内容だった。
細かな制度設計ではなく、全体の考え方が示され、とくに電源三法交付金に関する説明が中心だったという。
柏崎刈羽原発をめぐっては、福島第一原発事故後、UPZにある自治体にも原子力防災の対応が求められるようになったが、燕市は一部がUPZに含まれるものの、電源三法交付金による電気料金補助の対象にはなっていない。
県は今回、こうした対象外地域への支援として電気料金補助を検討しており、燕市もその対象に含まれる見通し。
「本来は防災対策に必要な経費として使える形がいい」
これを受けて佐野市長は、燕市が対象に含まれることについて「県指定災害対策重点区域が拡大されている一方で、交付金の対象にはならない。防災対策が必要なのに対象になっていない部分をおもんぱかって、燕市も対象としていただいた」と県の考えを説明した。
そのうえで「今、電気料金の補助という形で出ているが、どこまでいっても大事なのは、そこにいる方々が安心安全に暮らせるかということ」と述べるとともに、電気料金補助に限らず、避難所整備など市の原子力防災に活用できる仕組みが望ましいとの考えを示した。
県に対して避難所などにも使えるかを確認したが、現時点では支給方法などが固まっておらず、今後、市長会を通じて各市の意見を集約し、県が制度に反映させていく見通しという。燕市としても、今後、書面で懸念点や考えを県に伝える方針だ。
燕市全体が対象とは限らず 支給方法にも課題
佐野市長は電気料金補助について燕市は、市民全体が一律に対象になるとは限らないとの見方を示した。電気料金補助という言葉だけが先行すると、市民が「受け取れる」と受け止める可能性があり、市民への示し方、公表の仕方も重要と指摘した。
「交付金の代わりになってくる部分を、どういう形で市の方にも裁量を持たせてもらえるのか確認していきたい」と述べ、自治体側の裁量をどこまで認めるかも論点になるとの見方を示した。
柏崎市長の反発には「県が説明を」
柏崎刈羽原発の立地自治体である柏崎市の桜井雅浩市長は、電気料金補助は東電拠出金ではなく、法改正で行うべきと県案に慎重な姿勢を示している。
この点について佐野市長は、首長によって考えは異なり、「県がしっかりまとめて、皆さんがあるていど納得できるような形にしていただきたい」と求めた。
燕市はUPZ自治体などがこれまで国に制度改正を求めてきたが、今回の県の判断について「結果的に安全対策に使えるということになってくるのであれば、プラスになり、しっかりやっていただけるのであれば活用していただきたい」と述べた。
「安全が担保できるかがいちばん大事」
佐野市長は「お金の使い方の話もあるが、まず大前提として安全がしっかり保てるのかがいちばん大事。それがあるから稼働できるという話になっていく」と述べ、県が原発の安全性についてどこまで責任を持って確認するのか、拠出金の議論とは別に所感を聞きたいとした。
「どこまでいっても安全安心をしっかり担保できるのかどうかがいちばん大事。そこをしっかり目指して取り組んでいただきたい」と述べ、今後の県の制度設計と説明を注視する考えを示した。
