株式会社ツインバード(新潟県燕市、野水重明社長)は10月13日、細胞や検体などをマイナス86度で保管・搬送できる「超低温ポータブルフリーザー(SC-UF25)」を2026年11月中旬に発売すると発表した。新型コロナウイルスワクチンの輸送・保管を支えた同社のFPSC技術を活用し、再生医療や創薬研究などの超低温管理需要に対応する。容量は25リットル、価格は税別95万円。

ワクチン運搬庫で約1万2,000台の納品実績
FPSCは「フリー・ピストン・スターリング・クーラー」の略で、ヘリウムガスを冷媒に使う冷却技術。同社の従来製品「ディープフリーザー25L(SC-DF25)」にも搭載されている。
SC-DF25は、国内のモデルナ製ワクチンの輸送・保管に使われた「SC-DF25WL」のベースとなった機種だ。
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SC-DF25WLは、2021年に厚生労働省と武田薬品工業へ約1万2,000台を納品。全国各地の自治体や企業の接種現場で活用された。
外務省と国際協力機構(JICA)の「ラスト・ワン・マイル支援」にも参画し、途上国のワクチン接種体制を支えてきた。
地元の燕市でも2021年、ファイザー製ワクチンの冷凍移送・保管にSC-DF25WLを採用する「燕市版コールドチェーン(燕市モデル)」が発表された。運搬に使った機器をそのまま診療所などの保管庫として使う仕組みで、接種会場まで温度管理をつなぐ役割を担っている。
共通の冷却技術でマイナス86度に対応
新製品SC-UF25は、こうしたワクチン運搬庫と共通するFPSC技術を使い、さらに低い温度帯での保管・搬送に対応する。

従来のSC-DF25の設定温度は、周囲温度25度の条件でプラス10度からマイナス40度まで。新製品は周囲温度32度までの条件で、マイナス86度からマイナス20度まで設定でき、1度単位で調整する。
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再生医療や細胞治療、創薬研究の進展に伴い、細胞・組織・検体などを超低温で管理する需要が高まっている。一方、搬送や一時保管ではドライアイスに依存する運用も多い。
同社は新製品を通じ、保管から搬送まで一貫した超低温環境の維持と、ドライアイスへの依存低減を目指す。
燕三条の加工技術が支える冷凍機
本体の外寸は695×350×460ミリ、重さは約25キロ。電源はAC100~240ボルト、50/60ヘルツに対応する。施設内や拠点間の搬送、一時保管などを想定し、高温・低温の警報機能や操作パネルのロック機能、錠前による施錠機構を備える。
FPSCの中核部品であるシリンダーとピストンの隙間はわずか0.01ミリ。燕三条地域が培ってきた精密加工技術を活用し、設計から製造まで国内で一貫した品質管理を行う。冷媒にフロンを使わず、低振動・低消費電力を特長とする。
同社は冷凍機供給で培った技術と実績を基盤に、医薬・バイオ向け超低温ソリューション事業への転換を進める。SC-UF25をマイナス86度の超低温フリーザーラインナップの第1弾と位置付け、製品拡充と国内外の販売網構築に取り組む。
新製品は11月16~19日にドイツ・デュッセルドルフで開かれる国際医療機器展示会「MEDICA 2026」で初公開する予定。会場はMesse Düsseldorf、同社ブースはホール15のD04。
