「これをやったら食べられるぞ」「頑張れ、頑張れ」。新潟県燕市の燕市国上勤労者体育センターで11日、鶏の羽をむしる小学生たちに励ましの声がかかった。食べ物や命への感謝を学ぶ「第19回はらぺこ塾」のと殺・解体体験。前日からわずかな食事で過ごしてきた子どもたちが、目の前の鶏が自分たちの食べ物になる過程に向き合った。

空腹のなか、自分の手で羽をむしる
はらぺこ塾は、寺子屋つばさ実行委員会(高橋克典会長)主催の恒例事業。今回は10、11日の1泊2日で行い、燕、三条両市の小学4~6年生10人が参加した。男子7人、女子3人で、社会人スタッフと新潟経営大学の東川ゼミの学生18人が運営を支えた。
2日目のと殺体験には、つばめファームから提供された鶏2羽を使った。体験前には、見たくない子どもに見学を強制しないことを説明。学生が進めると殺・解体の過程を見学し、子どもたちも羽むしりに加わった。
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作業中には「もっともっと」「ここ頑張れ」と声がかかった。子どもたちは鶏の体に残る羽を取り除いていく。店で売られている肉を食べるだけでは触れることのない、食材になるまでの作業を自分の手で体験した。
羽むしりを終えて丸裸になった鶏は、見慣れたような姿になり、ふだん食べているものが確かに生きた動物であったことを実感した。
子どもたちの初日の昼食は干し芋一切れ、夕食はキュウリの浅漬け一切れ。2日目の朝食も梨一切れだった。空腹を抱えて迎えた作業の先には、ようやく食べられる昼食がある。羽をむしった鶏は、鶏雑炊にして味わった。

大学生も初めての鶏に戸惑う
体験を支えた学生は4年生8人、3年生10人。事前の練習では大学生自身も初めて鶏を手にして戸惑う。小学生に過程を見せ、作業を手伝う大学生にとっても、鶏を扱うことは日常にない経験だ。食卓では肉として目にする鶏を、生き物として受け止め、自分たちで食材にする作業を担当した。
と殺・解体の体験は、見て終わりにはしない。日程では、班ごとに感じたことを話し合い、ノートに書き留める時間も設けた。目の前で見たこと、自分の手で触れたことを振り返り、食べることと命のつながりを考える機会にした。
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最後の昼食には卵や野菜の雑炊と、体験で解体した鶏肉を用意。保護者も加わって食卓を囲む日程とした。
食べ物と家族への感謝を学ぶ2日間
と殺体験に先立つ初日は、食育講座で成長期の食事や栄養バランスについて学び、映像を通じて「食べることは命をいただくこと」と考えた。
少量の食事にも地域の食材を使った。干し芋は三条市下田地域のサツマイモ「紅あずま」、キュウリは燕市吉田地区の「もとまちきゅうり」、梨は三条市大島地区の梨と、身近な地域で作られていることを紹介した。
本覚院では太鼓や写仏を体験して宿泊。夜は保護者から届いた手紙を読み、子どもたちも親への感謝の手紙を書いた。翌朝はラジオ体操や座禅を行ってから体育センターへ移動し、と殺体験に臨んだ。
空腹を味わい、鶏が食材になる過程に立ち会い、その羽を自分でむしる。はらぺこ塾は、ふだんの食事の向こうにある命や、それを支える人たちについて考える2日間となった。
