角利産業

kenoh.com

ケンオー・ドットコム

燕三条・新潟県央地域のニュース

高畠那生さんと55人がバナナづくり 燕で親子が絵本の世界を楽しむ 原画の制作秘話も

広告

新潟県燕市の燕図書館で10月9日から25日まで開かれている人気絵本作家・高畠那生(たかばたけ・なお)さん(48)=東京都=の絵本原画展に合わせて11日、高畠さんによるワークショップとギャラリートークが行われた。ワークショップには親子など55人が参加。絵本に出てくるバナナづくりや作者との交流を楽しみ、その後のギャラリートークでは原画を前に制作の工夫や物語の誕生秘話を聞いた。

燕図書館で開かれている高畠那生さんの絵本原画展に合わせて行われたワークショップ
燕図書館で開かれている高畠那生さんの絵本原画展に合わせて行われたワークショップ

新聞紙で絵本のバナナづくり

ワークショップは「絵本作家たかばたけなおと絵本に出てくるバナナをつくろう!」と題し、燕市中央公民館で開かれた。年齢を問わず参加できる催しで、小さな子どもを連れた家族も参加。申し込み開始2日目で定員に達する人気だった。

高畠さんによる絵本の読み聞かせに続いて、参加者がバナナづくりに挑戦。新聞紙を丸めて形を作り、白いテープを巻いて、さまざまな色のマジックペンで色を付けた。会場には『バナナじけん』に登場するサルやウサギ、ワニも用意され、絵本の世界をものづくりで楽しんだ。

広告

質問コーナーでは、子どもから「バナナを乗せたトラックはどうなったんですか」と、絵本のその後を尋ねる質問も。高畠さんは、街へ行ってバナナの皮を安く売ったのではと答え、サルとウサギとワニが再び集まってバナナを食べる話も作ったと紹介した。

サイン会
サイン会

最後は、完成したバナナを掲げて高畠さんを囲み、記念撮影。絵本の販売とサイン会も行われた。

「展開が読めないところが楽しい」

6歳の娘と参加した40代の母親は、高畠さんの絵本を図書館で借りるほか、自宅でも持っているという。作品に登場するバナナを実際に作れたことが面白かったと話し、作品の魅力には「絵がやっぱキャッチーなところ」を挙げた。

別の母親も「とても楽しいワークショップ」「かわいいサインがもらえて、とてもうれしかった」と喜んだ。毎年、原画展に足を運んでおり、サイン本が増えていくのも楽しみだという。

高畠さんの絵本については、繰り返しから展開を予想しても、最後に思いがけないどんでん返しがあるところが魅力とし、「大人も子どもも楽しいお話」と話した。

広告

参加者で記念写真
参加者で記念写真

東京都在住の高畠さんは、各地の図書館などでワークショップを開いている。読書につながる催しが多い秋は、今月だけでも3カ所ほど訪れるという。普段の制作では読者と直接ふれ合う機会が少なく、こうした場で話すことが刺激になるとし、「制作の息抜きになる」と笑顔だった。

筆跡を残すためにケント紙を選ぶ

午後は燕図書館の原画展会場でギャラリートークを行った。会場には『バナナじけん』『うしとざん』『だるまだ!』の3作品の原画を17点ずつ展示している。

高畠さんは、こうしたギャラリートークは初めてと話し、途中でも自由に質問してほしいと呼びかけながら作品を解説した。

原画展会場でギャラリートーク
原画展会場でギャラリートーク

『バナナじけん』の原画はケント紙にアクリル絵の具で描いている。ケント紙は表面が滑らかで水を吸いにくく、絵の具がうまく乗らないが、高畠さんにとっては、その性質が好都合だという。

「絵の具をたっぷりつけて、筆跡がずっと続くような感じの筆線を残したかった」と説明。どこの文房具店でも手に入り、使い慣れた紙が製造されなくなる心配が少ないことも決めてだった。

広告

原画は絵本と同じ大きさで制作する。下絵の段階から文字の位置も決め、絵と文章を一緒に組み立てていく。色は作り置きせず、一筆ごとに作るという。同じバナナでもページによって少し色が違って構わないとし、隣り合う色によって印象が変わることも踏まえて描いていると話した。

今回の展示では、原画の周囲を額装用のマットで覆わず、紙を丸ごと見せている。絵本では切り落とされる部分まで大胆に塗った絵の具や、制作時の鉛筆線も見てもらうためだ。

1カ月悩んだ物語が約30分で形に

『バナナじけん』では、編集者に果物の絵本を作りたいと提案したことから始まった。1カ月後に下絵を見せる約束をしたものの、描いては消す作業を繰り返しても納得できる話ができなかったという。

『だるまだ!』を解説
『だるまだ!』を解説

次の打ち合わせの日、神戸の喫茶店に早めに入り、再びアイデアを考え始めると、約30分で物語の大筋がまとまった。ただ、突然アイデアが「降りてくる」わけではなく、それまでの1カ月の試行錯誤が組み合わさって形になった。

ふだんも絵を先に考え、場面をつないで話をつくる。紙に見開き分の枠を並べ、バナナや富士山など、一見関係のないものをランダムに描き込むところから展開を探す。お決まりの話に引っ張られないよう工夫しながら、机に向かって考える時間を積み重ねているという。

『だるまだ!』では、静かな場面から始まった後にタイトルが登場する、映画のような幕開けをイメージしたと紹介。頭の上に花を飾られただるまの絵が出発点で、だるまが思いがけない使われ方をする絵をいくつも描き、後から物語を組み立てたと話した。

20人近くが会場を訪れ、作品からは知ることができない制作のプロセスに、答え合わせしたり、疑問が氷解したりと興味津々で聴き入り、メモを取る人もいた。

会期は25日までで、19日は休館。開館時間は平日が午前10時から午後7時、土・日曜、祝日は午前10時から午後5時。問い合わせは燕図書館(0256-62-2726)

燕市立図書館
http://www.lib-city-tsubame.niigata.jp/

広告