文化審議会は16日、新潟県新発田市の「蔵春閣(ぞうしゅんかく)」1棟を国の重要文化財(建造物)に指定するよう、文部科学大臣に答申した。実業家・大倉喜八郎が建てた迎賓施設で、絢爛豪華な室内の意匠や建築技術が評価された。今後、官報告示を経て正式に指定される。

由緒ある絵画や彫刻を用いた豪華な室内
蔵春閣は1912年(明治45)、喜八郎が東京・向島の別邸に設けた木造2階建ての迎賓施設。現在は喜八郎の郷里・新発田市に移設され、市が所有している。設計は明治宮殿にも関わった今村吉之助、施工は大倉組が担当した。内装などの意匠は喜八郎自身の考案とされる。
2階広間は上段、棚、床の間を矩の手に配置し、折り上げた天井には蜀江文(しょっこうもん)の格縁を組む。2階廊下には大理石のモザイクを敷き、狩野探幽の筆と伝わる襖絵や、高野山、徳川綱吉の霊廟から伝来したとされる欄間など、由緒ある絵画や彫刻をふんだんに用いている。
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文化庁は、こうした室内の意匠が喜八郎の美意識を伝え、多様な意匠が入り交じる独特の空間をつくっていると評価。建物を支える軸組の工法や外壁にも工夫が凝らされているとしている。
3度の移築・曳家を経ても良好な保存状態
建築後は3度の移築・曳家(ひきや)を経ているが、保存状態は良好。明治後期の実業家が構えた近代和風邸宅の貴重な迎賓施設として評価され、重要文化財の指定基準のうち「意匠的に優秀なもの」「技術的に優秀なもの」に該当するとされた。
今回の答申では、蔵春閣のほか大阪城天守閣など計8件の建造物の新規指定と、既存の重要文化財1件への追加指定が求められた。
施設案内 蔵春閣|新潟県新発田市公式ホームページ
https://www.city.shibata.lg.jp/shisetsu/kanko/kanko/1022382

