新潟県三条市は、農作物被害をもたらすニホンザルの群れの動きを把握するため、サルにGPS機能付きの首輪を装着し、その位置情報を市ホームページで公開する「サルポータル 三条市」の運用を7日、始めた。住民がスマートフォンやパソコンでサルの行動を確認し、地域での追い払いや農作物の収穫時期の調整に役立ててもらう。GPSを装着したサルは現在1頭だが、今後は4頭ていどまで増やす。
数十頭の群れの1頭にGPS首輪
サルは数十頭の群れで行動するとされる。群れの中の1頭にGPS首輪を取り付け、その個体の位置を追うことで群れ全体の生息区域や行動範囲を把握する。
首輪はGPS機能と携帯電話の4G回線を利用。取得した位置情報を蓄積し、毎日午前8時現在のデータを「サルポータル 三条市」に反映する。リアルタイム表示ではなく、1日1回の更新となる。
ポータルでは、日付を指定してサルが移動した軌跡を再生できるほか、出没の多い場所を濃淡で示すヒートマップも表示できる。地図は国土地理院の地図と航空写真を切り替えられ、最新の位置はオレンジ色で示される。
市は7月に山手の下田地域で捕獲したサル1頭に首輪を装着した。今後、人里への出没が多く、農作物被害の深刻な群れを優先してサルを捕獲し、異なる群れに計4本ていどを取り付ける考えだ。
市内に推定16群、約10年前から被害目立つ
市は市内にはおよそ16群のサルが生息すると推定する。下田地区を中心に10年ほど前から農作物被害が目立ち始め、群れはしだいに人里へ行動範囲を広げている。
2020年には下田地区で、サルがコメやカボチャなどを食い荒らし、被害を受けた農家が耕作を放棄する深刻な実態も明らかになった。電気柵を設置した畑を避けて別の畑へ移動したり、電線を棒で持ち上げて侵入したりするサルもいるという。
さらに2025年6月には、下田地区に隣接する三条地区の篭場、柳沢、保内地内にもサルの群れが現れた。柳沢では子どもの送迎時間帯に道路や林で大群が目撃され、民家の庭の野菜を食べる被害もあった。
市の2026年度の捕獲実績は、会見時点でニホンザル2頭、イノシシ10頭、シカ1頭。サルによる農作物被害額は把握できていないとしている。
誰でも閲覧可能、地域ぐるみの対策へ
位置情報は市民に限定せず、誰でも閲覧できる。市はその理由について、サルの行動範囲を広く知ってもらい、農作物被害の防止や地域の追い払い活動に活用してもらう。
農家はサルが近づいていることを把握して早めに追い払ったり、被害を受ける前に農作物を収穫したりできる。市も猟友会などと連携した捕獲活動に位置情報を役立てる。
GPS首輪は太陽光で電力を補うが、日当たりなどの条件によって稼働期間が変わり、バッテリーの寿命はおおむね1年から2年。同様の携帯電話回線を使ったシステムの導入は県内で三条市が3例目。加茂市や田上町でもサルにサルのGPS位置情報システムを運用している。
事業主体は、市、警察、猟友会、JA、NOSAI、森林組合、漁協、自治会長協議会で組織する三条市鳥獣被害対策協議会。滝沢亮三条市長は「地域での追い払い活動や農作物の収穫タイミングの調整、市の捕獲活動に活用し、対策を強化したい」としている。
