新潟県燕市吉田のツバメコーヒー(田中辰幸代表)は、9月8日(火)午後7時から同店で岡山県と徳島県で民藝・工藝を扱う店を営む2人をゲストに迎えたトークイベント「民藝はどこにいく——民藝店を営むときに見えたもの」を開く。燕のステンレス製品が民藝店で扱われ始めていることを切り口に、変わりつつある民藝のあり方や、これからのものづくり、店づくりを考える。
ゲストは、岡山県民藝振興株式会社取締役で「くらしのギャラリー」に携わる仁科聡さんと、徳島県で工藝店「遠近(をちこち)」を営む東尾厚志さん。ツバメコーヒーの田中辰幸さんが聞き手を務める。
燕の「conte」見学を機にトーク
仁科さんと東尾さんは、燕市の金属加工メーカー、一菱金属株式会社が手がけるキッチンツールブランド「conte(コンテ)」の製造プロセスを見学するため燕を訪れる。conteは、燕の分業による金属加工技術を生かして生産されるステンレス製の台所道具のブランドで、2016年に発表された。その機会にあわせて今回のトークイベントを企画した。
民藝は、柳宗悦(やなぎ・むねよし)らが1920年代に提唱した生活文化運動。名もない職人によって作られ、暮らしのなかで使われる日用品の美しさに価値を見いだした。日本民藝協会では民藝品の特徴として、実用性や無銘性、複数性、地方性、分業性などを挙げている。
一方で、現代のものづくりでは手仕事と機械加工を単純に切り分けることは難しい。とりわけ燕では、プレスや研磨など複数の工場、職人による分業を経て量産品が作られる。
イベントでは、そうした燕のステンレス製品が、実際に民藝店で扱われようとしていることに目を向ける。「民藝とは何か」という定義そのものを先に変えるのではなく、店頭に並ぶ品物や使う人の暮らしが変わることで、民藝に対する認識も少しずつ変化しているのではないか。民藝の「配り手」である2人が、その境界やグラデーションをどう見ているのかを語る。
新潟県民藝協会の拠点も燕へ
仁科さんは1972年生まれ。兵庫県西宮市で育ち、岡山県のインテリアショップ勤務を経て、36歳で岡山県民藝振興株式会社に入社した。同社は1947年設立で、「くらしのギャラリー」を通じて民藝や手仕事の品を紹介している。仁科さんは岡山県民藝協会理事も務める。
東尾さんも1972年生まれで、徳島県神山町出身。2011年に独立し、2016年に「遠近」を開業した。四国大学「藍の家」の藍染研究員も務め、地域に根差した工藝や暮らしを伝えている。「遠近」では器や染織などを扱うほか、工藝を暮らしの中で使う体験も提案している。
新潟県民藝協会の拠点も十日町市から燕市へ移ったばかり。燕にとっても民藝との関わりを考えるタイミングとなっている。
イベントは午後7時から8時半まで。定員20人、参加費1,650円でアイスコーヒー付き。会場はツバメコーヒー(燕市吉田2760-1、0256-77-8781)。参加希望者はメール(tsubamecoffee@gmail.com)の件名を「民藝トーク2026」とし、名前と連絡先を添えて申し込む。
