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LANDの小型航空「VEGA」最初の予約者は燕市 2029年初飛行・納入へ 堀江貴文氏が取締役 燕三条で部品製造も

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株式会社LAND(東京都渋谷区・和田直希代表)は31日、新潟市内で記者会見を開き、三条市に設立した航空機メーカー「株式会社LAND Aeronautics(ランド・エアロノーティクス)」が開発するパーソナル航空機「VEGA(ベガ)」について、2029年の初飛行と予約者への納入を目指すことを明らかにした。機体の一部は燕三条地域の企業で製造する考えで、最終組み立てや運用の拠点も新潟県内で探している。すでに予約が入り、最初の予約者は燕市のものづくり関係者だったという。

記者会見するLANDの和田代表
記者会見するLANDの和田代表

燕三条の企業10社未満をイメージ

LANDは25日、100%子会社となる「LAND Aeronautics」を設立した。本社所在地は、燕三条ジャパンフェストの運営などで関係を深めた株式会社ドッツアンドラインズ(三条市帯織)と同住所に置く。和田代表が代表取締役、実業家の堀江貴文氏が共同創業者、取締役を務める。航空機の企画、開発、製造、販売などを手がける。

初号機のVEGAは、米国のLight-Sport Aircraft(LSA)市場を視野に開発する小型のパーソナル航空機。販売予定価格は2500万円からで、初回は100機限定。予約金は250万円で、正式な機体売買契約を締結するまでは全額返金でき、購入時には全額を機体代金に充当する。

27日の事業発表では、燕三条のものづくりサプライチェーンを活用する方針を明らかにしていたが、31日の会見で和田代表は製造体制についてより具体的に説明した。

航空機の開発や機体のアセンブリーは、航空機産業が集積し、専門の技術者が多い名古屋など中部地方を中心に進める。一方で、部品については燕三条地域の金属加工技術を積極的に活用する考えだ。

2029年の初飛行と予約者への納入を目指すパーソナル航空機「VEGA」
2029年の初飛行と予約者への納入を目指すパーソナル航空機「VEGA」

和田代表は、現時点では参画企業を決定していないとしたうえで、エンジン周辺の部品などを例に挙げ、「燕三条にはエンジンのボディーなどをつくっている会社もある」と話した。開発チームが地域企業を訪問し、得意分野や技術を確認しながら選定を進める。

燕三条で構築するサプライチェーンの規模は10社未満ぐらいのイメージ。燕三条の新潟県内の企業とも材料調達や物流などで連携する考えで、最終組み立てや運用についても「今、新潟県で場所を探している」とした。

和田代表は燕三条の強みについて、個々の加工技術だけでなく、企業同士の連携のしやすさも挙げた。地域企業を回るなかで、「その分野だったらあそこが強い」と別の企業につないでもらえることが多いと言い、多数の部品や工程を組み合わせる航空機製造では、こうした地域のネットワークも強みになるとみる。

最初の予約者は燕市から

VEGAの予約はすでに始まっている。和田代表は具体的な予約数は明らかにしなかったが、1人目はものづくりにかかわる燕市の人。その後も航空機が好きとみられる人や県外の経営者などから予約が入った。

主力市場として想定するのは米国。米国では小型航空機を取り巻く規制の見直しが進んでおり、日本よりパーソナル航空機が普及する環境が整っているとして、まず米国での展開を視野に置く。

一方、現時点で予約しているのは日本人で、和田代表は国内にも需要があるとの手応えを示した。

株式会社LAND Aeronauticsのロゴ
株式会社LAND Aeronauticsのロゴ

開発スケジュールでは、2027年ごろに実際の機体を見られる段階まで進め、2029年に初飛行、予約者への納入を目指す。

日本では現在、米国のLSAと同じ制度はなく、VEGAをLSAとして運航することはできないが、米国で先行する制度改革が将来的に日本にも波及する可能性に和田代表は期待。国内の制度整備の動きを見ながら、日本での普及も目指す。

「オートマの飛行機」に

LANDが目指すのは、現在の小型航空機を単に低価格で販売することだけではない。自動車がマニュアル車からオートマチック車へと変化し、機体を操縦しやすくするソフトウエア制御などを開発し、これまで航空機とは縁のなかった人でも利用しやすい「パーソナル航空機」を目指す。

将来的な利用イメージは、例えば新潟と佐渡の移動。定期便の少ない地方空港などを結ぶ移動手段としての可能性にも期待する。

開発する過程も「商品」に

予約者には「VEGA OWNERS CLUB」のメンバーシップを無料で付与する。工場見学、プロトタイプの公開、オーナー限定イベント、開発進捗の共有、機体仕様の選択などを予定する。こうした取り組みは燕三条地域でも行う考えだ。

航空機が完成してから購入してもらうだけでなく、「ものができるまで」を見せることそのものを体験価値にしたいという。

LAND Aeronauticsの本社を置く帯織駅前のドッツアンドラインズのEki Lab
LAND Aeronauticsの本社を置く帯織駅前のドッツアンドラインズのEki Lab

自身も海外で製造業の経営に携わった経験がある。ものづくりは「作っているときがいちばん楽しい」。製造工程を公開し、利用者にものづくりそのものへの関心をもってもらい、航空機が生まれていく過程をオーナーと共有する。

エンターテインメント分野で長く事業を手がけてきた経験も、航空機事業に生かす。航空機を所有し、製造現場を訪れ、自分の機体が完成するまでを楽しむ一連の体験を商品にする考えだ。

燕三条ジャパンフェスが新潟で事業を続ける原点

和田代表が新潟県、とりわけ燕三条で新しい産業をつくろうと考えるようになった原点は、2023年に初めて開いた「燕三条ジャパンフェス」だった。ことしも出演するLAND所属アーティストの川後陽菜さんもVEGAのデザインに参加する。

初めての燕三条ジャパンフェスは、途中で落雷や大雨警報で中止を余儀なくされた。数千人の来場者を前に中止を告げたにもかかわらず、ステージを降りた和田代表に寄せられたのは、「新潟のためにありがとう」「燕三条のためにありがとう」「またやってね」といったポジティブな言葉だった。

和田代表
和田代表

海外で長く事業をしてきた経験から「こんなにも熱い人たちがいるまちで何か事業ができたら」と和田代表は燕三条への思いを強くした。

その後、トキエアの代表を務め、ことし6月末に退任した際にも、県内から「新潟を嫌いにならないで」「また一緒にやりましょう」といった声が多く寄せられたという。

和田代表は地方創生について、「一番のコアなポイントは産業をつくることに尽きる」。海外で製造業を経営したときに、工場が成長して雇用が生まれるにつれて周辺に店舗や商業施設が増え、地域そのものが発展していく姿を目の当たりにした。

「雇用こそが社会をつくり、文化をつくっていく」とし、新潟県で航空機という新たな産業を育てたい考えだ。

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