新潟県村上市の「村上祭の屋台行事」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから初めて迎える村上大祭を前に5日、村上市役所前でおしゃぎり曳揃(ひきぞろ)えと記念式典が行われた。町内から18基のおしゃぎり屋台が市役所前に勢ぞろいし、会場に集まった約2,000人が、400年近く受け継がれてきた城下町の祭りが“世界の宝”となったことを祝った。
村上大祭は、西奈彌(せなみ)羽黒神社の例大祭。1633年(寛永10)に現在の場所へ社殿を移したのが起源とされる。堆朱や彫刻など、それぞれの町内が趣向を凝らした「おしゃぎり」と呼ばれる屋台が旧城下を巡行する。
「村上祭の屋台行事」は2018年に国の重要無形民俗文化財に指定され、昨年12月、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に追加登録された。
ユネスコ登録後初の村上大祭へ祝賀ムード
西奈彌羽黒神社の宮司による奉祝祭神事に続き、午後3時半から式典が行われた。会場には各町内のおしゃぎりが並び、漆塗りの屋台や豪華な彫刻、乗せ物が来場者の目を引いた。
ことしは肴町の屋台が大規模修復を終えて披露され、午前中には修復を祝う行事も行われた。会場では写真や動画を撮る人、屋台を見比べる人の姿が絶えず、祝賀ムードに包まれた。
「次の100年へ大切に育てる」
記念式典で実行委員長の高橋邦芳市長は、「新潟県の誇る山車(だし)行事がユネスコへ登録され、この晴れの日を市民の皆さんと祝えることを本当にありがたく思う」とあいさつした。
昨年12月のユネスコ政府間委員会で流れた映像に、村上の小学生が授業で祭りの歴史を学び、表現する姿があったことにふれ、「絢爛(けんらん)豪華な19のおしゃぎり屋台の巡行だけでなく、次の世代にしっかりつないでいく、人から人への歴史文化、伝統の継承が高く評価された」と述べた。
さらに、「ことしで393年目。これからの100年、さらに次に続く100年、未来永劫(えいごう)に続く村上祭りの山車行事を、皆さんとともに大切に育てていきたい」と決意を示した。
「村上の誇りを世界の宝へ」
副実行委員長で村上まつり保存会の渡邉明会長は、「18町内の屋台が集結し、みんなでユネスコ無形文化遺産登録のお祝いができることを心よりうれしく思う」と喜んだ。
村上大祭は「村上にとっては正月より大切な祭り」と表現。「これほど素晴らしい村上大祭を築いていただいた先祖と、それをしっかり継承してきた皆さんに感謝したい」と述べた。
ことしの村上大祭のポスターに掲げられた「村上の誇りを世界の宝へ」にもふれ、「威張るということではなく、自信を持って、毅然(きぜん)とした態度で屋台巡行をしっかり行っていきたい」と述べた。7年後には400年祭を迎えることから、「ことしを新たなスタートに、未来永劫続けていくことを誓いたい」とした。
「新潟県の宝が世界の宝に」
来賓の花角英世知事は、眼前に並ぶ18基のおしゃぎりを「壮観」と表現。村上祭りを保存、継承し、ユネスコ登録実現に尽力した関係者に敬意を表した。
「村上の地域の宝、新潟県の宝が世界の宝になった。これからも誇りを持って村上祭りの魅力を県内外に発信してほしい。新潟県もしっかり応援したい」と述べ、6日の宵祭り、7日の本祭りの盛り上がりに期待した。
斎藤洋明衆議院議員は、「村上まつり保存会をはじめ、長年支えてこられた皆さんのお力のおかげ」と祝意を表し、「あと2日間、体力をしっかり保存して乗り切っていただきたい」と祭り本番へエールを送った。
鏡開きと万歳三唱、村上甚句で締めくくる
鏡開き、続いて万歳三唱のあと、会場全体で「村上甚句」を大合唱。手拍子と歌声が響き、祝賀行事を華やかに締めくくった。
6日の宵祭りは各町内の屋台が主に地元を巡行し、7日の本祭りでは西奈彌羽黒神社を出発して市中心部を巡る。国の重要無形民俗文化財からユネスコ無形文化遺産へ。新たな歴史の一歩を踏み出した村上大祭が、城下町を3日間にわたって熱気で包む。
