新潟県弥彦村特産のブランド枝豆「伊彌彦(いやひこ)ちゃまめ」が出荷最盛期を迎え、弥彦村枝豆共同選果場(弥彦村井田)が本格稼働している。選果場では鮮度を徹底管理した選果工程を構築しており、これまで十分に活用されてこなかった規格外品を高付加価値商品へ生まれ変わらせるアップサイクル事業も進展し、生産者所得の向上や地域ブランド力の強化への期待が高まっている。
朝採れ枝豆を低温管理 鮮度第一の選果工程
共同選果場は7月11日から今シーズンの稼働を開始した。枝豆は早朝6時前に収穫されると、選果を待つ間も予冷庫で保管。選果工程では枝葉の除去、風力選別、ブラシ洗浄を経て、2度の水で芯まで急速冷却する。
その後、10度に保たれた低温選果室で形状選別、色彩選別、人の目による最終選別を行い、品質を徹底的に見極める。
包装後はすぐ隣のJA出荷施設へ運ばれ、その日のうちに市場へ出荷される。レンジ調理対応の包装も採用し、消費者の利便性向上にも取り組んでいる。
22日、弥彦おもてなし広場の農産物直売所では、250gが税込み450円で販売されていた。
A品率は5〜7割 品質への厳しいこだわり
枝豆は虫害や病気、高温障害による変色などが避けられない。厳しい選別を経たA品は出来の良い年でも7割程度、例年は5〜6割にとどまる。
共同選果場ではことし約100トンの入荷を見込み、選果後の出荷量は約60トンを想定する。
弥彦村枝豆共同選果場管理運営委員会の中川巧会長は「今年は春先の天候に恵まれ、生育は順調。3年連続で収量が落ち込んできたので、生産者みんなが今年こそはと期待している」と話す。
共同選果場の利用面積も前年より約1町歩増えた。「利用料金を抑える取り組みもあって利用者が増えている。若い生産者も増え、枝豆への関心が高まっている」と喜ぶ。
香りと甘みが特徴の「伊彌彦ちゃまめ」
弥彦村では5月の早生種「弥彦娘」に続き、7月から9月上旬にかけてブランド枝豆「伊彌彦ちゃまめ」が最盛期を迎える。
共同選果場では新潟系14号や越後ハニーなど4品種を扱い、茶豆特有の豊かな香りと甘みが特徴だ。中川会長は「茹でているだけで茶豆と分かるほど香りが立つ」と自信を示す。
規格外品を商品化 アップサイクルで生産者所得向上へ
一方で、見た目などの理由で規格外となる枝豆は全体の4割前後に上る。
この課題に挑戦しているのが、共同選果場の運営も担うYAHIKO Avenir(ヤヒコアベニール)合同会社の藁科克彦代表だ。
藁科代表は「食べれば非常においしいのに、生産者の所得につながっていなかった。これではもったいない」と、2024年11月に会社を設立。昨年4月から共同選果場の運営と規格外品のアップサイクル事業を本格的にスタートさせた。
まず着目したのが、さやごと粉末化する技術。「豆だけでなく、さやも丸ごと粉末にすることで捨てる部分をなくした。牛乳に溶かすだけでラテになるほど風味が良く、大手食品メーカーからも引き合いが来ている」と話す。すでに地元菓子メーカーとも商品化に向けた協議が進んでいる。
地元や全国の名店と連携 新たな弥彦ブランドへ
粉末やペーストを活用した商品開発も進む。山梨県の日本一のソーセージ職人と開発した枝豆40%配合の「YAHIKO BATON」、老舗和菓子店「御菓子司 羽入」と共同開発した「弥彦茶豆三色だんご」、加勢牧場とのアイスクリーム、アーケードトーキョーのポタージュ、港水産のおにぎり、グレインのパンなど、多彩な商品が完成した。
これらは8月12日から18日まで新潟三越伊勢丹のNIIGATA越品コーナーで開かれる催事で販売する。通販のほか、弥彦村のおもてなし広場の農産物直売所でも9月には販売開始したい考えだ。
藁科代表は「初年度は規格外品の4分の1、今年は半分、来年は全量を買い取りたい。生産者の所得向上につながり、共同選果場の運営も安定する。アップサイクルを地域全体の仕組みに育てたい」と展望を語った。
鮮度への徹底したこだわりと、規格外品に新たな価値を与える挑戦。弥彦村ではブランド枝豆「伊彌彦ちゃまめ」の魅力を、生産から加工、販売まで一体となって高める取り組みが本格化している。
