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人間国宝の玉川宣夫さん親子3代が作品解説 木目金、鎚起銅器、茶道具まで「燕の土壌があったから」

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燕市産業史料館で開かれている企画展「玉川宣夫 三代展」の作品解説会が10日、同館新館多目的ホールで開かれた。来場した40人を前に燕市の伝統産業、鎚起(ついき)銅器の技を継承する人間国宝の玉川宣夫のりおさん(84)を中心に、長男の達士たつしさん(56)、孫の佳太けいたさん(31)の親子3代が登壇し、展示作品に込めた技法や制作の裏話を語った。

左から玉川宣夫さん、達士さん、佳太さん
左から玉川宣夫さん、達士さん、佳太さん

三代展は4月21日から5月24日まで開かれている。玉川宣夫さんを象徴する木目金(もくめがね)作品をはじめ、鎚起銅器の技術を受け継ぐ達士さん、佳太さんの作品を並べ、燕の金工の継承を3代の仕事で紹介している。観覧料はおとな400円、小中高校生100円。開館は午前9時から午後4時半まで、月曜休館。

「燕という地盤がないとできなかった」木目金

玉川宣夫さんは、代表的な技法である木目金について、20代後半で製法を知り、30歳ごろから日本伝統工芸展に出品し始めたことを話した。

銅板や銀板などを25枚から30枚ほど重ね、80ミリ角ほどの地金を作り、それを延ばして模様を生み出す。宣夫さんは「燕には材料屋さんも(金属を打ち延ばす)スプリング屋さんもある。燕という地盤がないと、この技法は多分できなかった」と話した。

ポスターに使った自身の作品は、候補がいくつかあったなかで、最後は宣夫さん自身の意向で決めた。宣夫さんは「ひだやしのぎをつけた作品は多いが、フラットな面を出した作品は少ないので選んだ」と明かした。

玉川宣夫さ
玉川宣夫さん

作品の造形については「ガブッとかじると、中にエネルギーがいっぱい入っていて、ジュワッとうまい汁が出てくるようなフォルムを作りたい」と独特の感覚で表現。師匠から「器はシンメトリーでなければならない」と教わり、回転台を使って左右対称を意識してきたという。

四分一、香炉、煙管も

宣夫さんは木目金だけでなく、銅と銀の合金「四分一(しぶいち)」を使った作品も紹介。東京で修業した際に色金を知り、硬く扱いにくい一方で独特の光沢にひかれたという。

正倉院宝物の銀薫炉の復元模造に携わった経験にもふれ、「1年で作る契約だったが終わらず、翌年夏ごろまでかかった。叙勲でおめでとうと言われていたころも、心の中は苦しくてしょうがなかった」と振り返った。

玉川宣夫さ
玉川宣夫さん

近年は香炉も多く作っている。「湯沸かしは耳や口を作るのが面倒。香炉は本体とふたでいいので、今はもっぱら趣味的に作っている」とも。燕を代表する技術のひとつである煙管(きせる)については、需要の減少があるが、工芸品としての技術の価値を話した。

達士さん「偶然性もおもしろい」

達士さんは、2003年ごろに宣夫さんから木目金を学び始めた。最初の作品では高価な銀を使わず、銅と黒味銅を使った木目金に挑戦したと言う。

黒味銅については、青黒く発色する一方で色が安定しにくい素材と説明。「年月がたつと色が変わると言われるが、この作品はいい色を保っている」と話した。

達士さん
達士さん

受賞作では、銅、赤銅、四分一を重ねた木目金を使い、層の深さによって赤や黒の色の違いを出した。板の状態で丸い模様を彫り、その後に成形するため、丸の大きさや形が自然に変化する。「いい感じで変わるかどうかはやってみないとわからない。それもおもしろい」と制作の偶然性も作品の一部だ。

大型作品については、26歳のころに初めて公募展に出した作品も紹介。題名を考えるのが苦手で、社長から「叫んでいるみたいだね」と言われたことから「叫び」と名付けたというエピソードも披露した。

佳太さんは茶道から着想

佳太さんは、直径80センチの銅板から打ち起こした大型の花瓶を紹介。「ひとりで作れる最大の大きさがこれくらいと先輩から教わった」と話した。

佳太さん
佳太さん

表面には、銅の表面にスズの粉を焼き付ける「ちらし金」の技法を用いた。泥で覆った部分にはスズが付かないようにし、模様を作る。水差しや香炉にも同じ技法を使い、「個人的にちらし金がとても好きなんだと思う」と語った。

茶道を学ぶ佳太さんは、掛け花入れについても解説。和室の壁に掛けて花を生ける茶道具で、「最初に赤い椿を入れたいと思った。そこから形や色を目指した」。今後は「銅の素材が生き生きするような作品、湯沸かし、水注ぎ、香炉、花入れなどを作り続けていくのでは」と話した。

タイトルより技法を重んじる伝統工芸

質疑では、作品に文学的な題名を付けるものと付けないものの違いについて質問があった。

席を並べる三代
席を並べる三代


宣夫さんは「伝統工芸は技法を重視する。木目金なら木目金、掛け花入れなら掛け花入れ。文学的な名前はあまり付けたくない」と答えた。

達士さんも「最近は思いを題名に乗せる人もいるが、自分は技法だけ載せる方が助かる」と話した。解説会の最後には、宣夫さんの同級生から花束が贈られるサプライズもあり、玉川三代から直接、思いを聞く機会に大満足だった。

解説会のようすはライブ配信し、会期中はアーカイブを視聴できるようにしている。

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