角利産業

kenoh.com

ケンオー・ドットコム

燕三条・新潟県央地域のニュース

富永草野病院で防犯訓練 さすまた実技や刃物を持った不審者への対応を確認

広告

医療法人積発堂(金谷文則理事長・新潟県三条市)は2日、運営する富永草野病院で2026年度第2回防犯訓練を行った。三条署員の指導で、職員がさすまたの使い方を学ぶとともに、患者の家族が院内で激高し、刃物を取り出したとの想定でロールプレイを行い、不審者や院内暴力から患者と職員を守るための対応を確認した。

富永草野病院で防犯訓練
富永草野病院で防犯訓練

同病院では、防犯カメラの設置など院内の防犯体制を見直しを進めているのをきっかけに、昨年度から三条署の協力を得て防犯訓練を始めた。昨年度、今年度とも2回ずつ実施。今年度は第1回の8月19日にも行い、各回約50人が参加。病院や介護医療院、クリニック、通所・居宅部門の職員が訓練を受けた。

金谷理事長の米国の病院勤務経験からも安全対策を強化

2021年に理事長に就任した金谷理事長は、40年ほど前に渡米し、米国の大学病院で手外科の研修・勤務経験がある。現地の救急部門では、薬物中毒や犯罪に関係した患者が搬送されることもあり、出入り口に警察官を配置するなど、厳重な安全管理が取られていたという。

金谷理事長
金谷理事長

米国ほど切迫した状況ではないものの、日本でも医療・介護従事者が患者や利用者側から危害を受ける事件が起きているとして、「患者さんが第一だが、職員も守らなければならない」と強調。職員自身が身を守るためにも、実際に体を動かして対応を身につける必要性を理解している。

さすまたは「制圧する道具ではなく時間を稼ぐ道具」

病院内には各部署に計12本のさすまたを配備している。ロビーに集まった職員を前に三条署生活安全課の署員は、さすまたについて「不審者を制圧するための道具ではなく、警察官が到着するまで時間を稼ぐためのもの」と説明した。

110番通報から警察官が現場に到着するまでには平均で8分30秒ほどかかり、その間にどう安全を確保するかをふだんからイメージしておく必要があると話した。

基本的な使い方として、胴を押さえる「胴押さえ」、肩から脇にかけて押さえる「袈裟(けさ)押さえ」、太もも付近を押さえる「足押さえ」の3種類を実演。相手にさすまたをつかまれないよう十分な距離を保ち、相手が近づけば自分も下がるよう指導した。

刃物を持った人に対するさすまの使用方法の実演
刃物を持った人に対するさすまの使用方法の実演

刃物を持つ相手にはとくに距離を取ることが重要で、1人で対応せず、原則として2人以上で前後など異なる方向から対応するよう求めた。必要に応じて机やいすなどを盾代わりに使う方法も紹介した。

また、大声を出すことも重要とし、「刃物を捨てろ」などと声を出すことで、相手を威嚇(いかく)するだけでなく、周囲の職員に異常を知らせて応援を集める効果があると説明した。

参加者は実際にさすまたを手にして、署員を相手に距離の取り方や押さえ方を体験した。女性職員の1人は「結構、重たい。つかまれたら取り返せなくて怖かった。1人ではすぐには動けないと思うが、2人、3人いれば何とか対応できそう」と話した。

「母親が良くならない」と激高 刃物取り出す想定でロールプレイ

続くロールプレイでは、病院のロビーをナースステーションに見立て、警察官が入院患者の家族役を演じた。

「母が1カ月入院しているのに全然、良くならない」「院長を呼んでこい」などと職員に繰り返し詰め寄り、次第に声を荒らげる設定。職員は穏やかな口調で患者名や関係を確認し、上司や医師を呼ぶことを伝えて対応した。

防犯ロールプレイ
防犯ロールプレイ

最後に家族役が刃物を取り出すと、職員はその場を離れて距離を確保した。

訓練後、三条署員は、院内での苦情や暴言への対応について「まず相手を落ち着かせることが重要」と指摘。立ったまま応酬せず、可能なら座ってもらったり別室へ案内したりして環境を変え、職員側も感情的にならず柔らかく対応するよう助言した。

金谷理事長も、相手が不満を訴えてきた段階では、まず「それはお困りでしょう」「大変ですね」など共感する言葉を掛けることが重要と指摘した。その上で、机などを挟んで手の届かない距離を保つことや、周囲の職員がクレーム対応の時間を意識し、一定時間を超えた場合には応援や警察への連絡を考えることも必要とした。

最後に簡単な合気道の護身術の手ほどきも受けた。

110番は「場所」と「刃物の有無」をまず伝える

質疑では、さすまたを使って相手にけがをさせた場合に正当防衛となるかとの質問も出た。署員は「ケース・バイ・ケース」だが、けがをさせることを過度に恐れて対応が遅れることのないよう、適切な人数で安全を確保し、警察官の到着を待つよう求めた。

合気道の護身術も
合気道の護身術も

110番通報では、まず「富永草野病院の4階で、患者の家族が刃物を持って暴れている」といった形で、場所と刃物の有無を伝えればよいと説明。その後は通信指令員の質問に答えることで必要な情報が警察側に伝わるとした。

同病院では、防犯カメラの増設も進めているほか、不審者や暴力行為などが発生した際に職員を集める院内の緊急対応体制のコード「コードホワイト」も整備している。今後も新入職員への教育を含め、年2回程度の訓練を続ける考えだ。

広告