火焔(かえん)型土器が数多く発見されている信濃川流域の新潟県内6市町が加入する信濃川火焔街道連携協議会の2026年度総会(通称・縄文サミット)が5日、魚沼市役所で開かれた。同協議会が進める日本遺産「なんだ、コレは!信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化」は、日本遺産認定の取り消しのおそれがあったが、昨年12月に認定継続が発表された。会長と事務局は2年ごとの持ち回りで、これまで三条市が担当していたが、無事に認定継続となったうえで、この日の総会で魚沼市にバトンを渡した。
「条件付き」から認定継続へ
日本遺産は、文化財群を総合的に活用し、地域の活性化や観光振興につなげる取り組みを支援するもの。全国で104件が認定されている。
「なんだ、コレは!」は2016年に日本遺産に認定されたが、2021年度に文化庁が初期認定地域を対象に行った総括評価で「今後改善が必要」と判断され、「条件付き認定地域」に変更された3件のうちのひとつになっていた。
いわばイエローカードのような状態。条件付き認定地域になると、原則3年後に再審査が行われる。「なんだ、コレは!」は昨年度が再審査に当たり、課題が解消されない場合は認定の取り消しや認定候補地域への格下げとなる可能性があった。実際に認定取り消しになったケースもある。
しかし、その後の同協議会の取り組みが奏功し、昨年12月に認定継続が決まり、「条件付き」が外れて晴れて「認定」となった。
滝沢市長「ほっとしている」
認定継続が決まって初めての総会となり、冒頭で会長の滝沢亮三条市長は日本遺産の認定継続について「大変、喜ばしい評価をいただくことができた。本当にうれしいし、ほっとしている」と述べた。
一方で「日本遺産の取り組みは認定を受けることが目的ではない」とし、「ストーリーを生かしながら地域の魅力を未来へつなぎ、交流人口の拡大、地域活性化へ結びつけていくことが重要」と強調した。
信濃川流域に息づく縄文文化、雪国の暮らし、地域に受け継がれてきた歴史文化を「誇るべき大切な財産」と位置づけ、広域連携によるイベントや情報発信に取り組む考えを示した。
日本遺産おもてなしアドバイザーになぐも友美さん就任
総会では2025年度事業報告と決算を承認し、役員改選で会長を内田幹夫魚沼市長に引き継いだあと、26年度事業計画と予算を決めた。
滝沢市長は来年度予算約780万円のうち、繰越金が収入の3分の1以上を占めていることに触れ、自身がこれまで会長だったことに恐縮しつつ、加盟市町の負担金440万円について、今後の見直しの検討を求めた。
また、日本遺産おもてなしアドバイザーを新設し、きずなクリエーション代表のなぐも友美さんが就任した。任期は6月1日から2028年3月31日まで。なぐもさんは新潟県内専門の観光バスガイドとして活動し、講演やツアー造成、SNS発信にも取り組んでいる。
委嘱状を受けたなぐもさんは「火焔型土器が趣味。インスタグラムやSNSを通じて発信し、ツアーの方でも皆さんとかかわりたい」とあいさつ。「ご迷惑にならないよう、一生懸命努めたい」と述べた。
文化を観光にどう生かすか
総会後は、日本遺産地域プロデューサーで一般社団法人雪国観光圏の井口智裕代表理事が「文化を観光に活用していくために考えておくべきこととは」と題して講話した。
井口さんは、観光では個々のコンテンツをただ発信するだけでなく、それらに共通する地域独自の価値やストーリーを示すことが重要と指摘。「ここで暮らす365日の普通の人々の暮らしを、1日滞在するお客様にどう圧縮して伝えるかが観光」と述べた。
そのうえで、信濃川流域の縄文文化や雪国文化を広域でつなぐ同協議会の取り組みについて、「自分たちの市町村の資源だけを売るのではなく、隣町の価値も上手に連携しながら自分たちの価値を高めていくことが大事」と話し、文化を「らしさ」として磨き上げる必要性を説いた。
ほかに、同協議会の顧問として活動に貢献し、昨年8月22日に亡くなった考古学者の小林達雄さんに黙とうをささげた。
