新潟県県央地域の滝沢亮三条市長、佐野大輔燕市長、藤田明美加茂市長の3市長は7日、政府が導入に向けて検討を進めている「給付付き税額控除」について、地元選出の国定勇人衆院議員に対し、制度の実施に伴う自治体の事務、財政負担を極力生じさせない制度設計を求めた。3市長とも制度そのものには一定の理解を示す一方、「国で決めたことは国が責任をもって」と訴えた。
今回の要請は全国市長会の呼びかけを受けたもの。全国市長会は1日、各支部・都道府県市長会を通じ、各市区長に地元選出の与党国会議員への要請活動を求めた。給付付き税額控除に関する法案の次期臨時国会への提出が迫っているとして、各市長に7日ごろまでの要請を呼びかけ、これを受けて新潟県市長会も2日、県内各市長に可能な限り要請活動を行うよう求めた。
滝沢市長によると、県内各市長がそれぞれ地元国会議員に要請することになっていたが、「まとまった方がより声も届けられる」と三条、燕、加茂の3市長で国定氏に要請することにした。
人と金の負担を「可能な限りなしに」
政府は8月5日、給付付き税額控除の導入に向けた基本方針を閣議決定。国と地方の協議の場で制度設計の議論が進められている。
一方、全国市長会では、制度の具体像が十分に見えない段階で議論が進み、実施時に市町村へ大きな事務負担や財政負担が生じるのではないかとの懸念がある。
3市長が国定氏に手渡した要請書では、制度の意義や目的、具体的な仕組みを国民に十分、周知することをはじめ、市町村が恒久的に給付事務を担うことを前提とせず、国が直接給付を執行する仕組みの検討を要求。公金受取口座や税情報を活用して国自身が給付できる仕組みを構築することも求めた。
さらに、給付回数を原則年1回とすること、市町村に新たな情報収集を求めない仕組みとすること、給付事務費やシステム改修費を全額国負担とすること、国が問い合わせに対応するコールセンターを設置することなど、具体的な負担軽減策を盛り込んだ。
滝沢三条市長は要請について、「大きく2つある」とし、「役所側の給付事務の負担を制度設計するに当たって考えていただきたい。もう1点は財政負担について、自治体の負担ができるだけ少なくなるようにしていただきたい」と説明した。
取材には「各自治体の負担、それは人的なところと財政的なところを可能な限りなしにしてほしい。それに尽きる」と話した。
「国で決めたことは国が責任を」
藤田加茂市長は「制度自体に反対するものではない」としたうえで、「自治体の負担は極力なくしていただきたい。国で決めたことは、最後まで国が責任を持ってやり通していただきたい」と求めた。
加茂市のような比較的小規模な自治体では、新たな事務に対応するため職員を採用することも容易ではないとし、「新たな人を採用するのも難しい。結局、既存の職員がやることになり、人員の負担がすごく増える」と懸念した。
佐野燕市長も、給付付き税額控除について「低所得者、中所得者ぐらいのところをしっかりカバーしていくという意味では、制度としてはいいと思う」と評価。その一方で、燕市は合併から20年で予算規模が約305億円から約500億円に拡大し、国や県から移譲された事業も増えていると話した。
限られた職員でさらに業務を担い、市側にも財源負担を求められれば、「結果的にはいろいろなサービスを縮小しなければいけなくなる」と指摘。地方への負担は、当初の「負担をかけない」という表現から「最小限に」といった表現へ変化しているように感じるとして、「少し危惧している」と述べた。
国定氏「地方の人と金の負担に影響を与えないように」
国定氏は3市長からの要請を受け、「真摯に受け止め、まず党内での議論に生かしていきたい」と述べた。
政府が想定する流れについて、まず2年間のつなぎ措置として飲食料品の消費税率を1%に引き下げ、その後、給付付き税額控除へ移行する方向だと説明。飲食料品の消費税率引き下げについても、地方消費税をどうするかが自民党内でも大きな議論になったと話した。
そのうえで、最近の党内では、地方自治体に新たな制度を担わせるときの負担について、「お金の負担と人の負担、この両方をできるだけ地方に影響させないようにしなければならないという声が非常に強くなっている」と説明した。
給付付き税額控除については、税額控除だけでは十分にカバーできない部分を給付で補完し、低中所得者層への支援を厚くできる制度との認識を示した。
一方で、制度を実際に運用する自治体側の負担については、「地方の負担はないように、しっかりと整えていきたい」と明言。制度導入までには2年間の準備期間があり、「その間に皆さんと十分に意見調整しながら進めていきたい」と述べた。
さらに、自民党内では前三重県知事の鈴木英敬衆院議員らとも地方負担について日常的に相談していることにふれ、「地方の事情は十分、理解している。私もその応援団の一員として支えていきたい」と話した。
また、懇談のなかで小規模自治体の職員不足にもふれ、自治体事務の広域化についても党内で議論が出ていることを紹介した。
要請書ではこのほか、飲食料品の消費税率を時限的に引き下げる場合、地方消費税や地方交付税原資の減収分を国が確実に措置すること、先行給付を含む市町村の給付事務に必要な財源を国が全額負担することなども求めている。
