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spacer三条の鶴巻さんがミニSL「ミカイ」を地場産センターに寄付spacer(2003.9.5)

三条市南四日町、鶴巻英雄さん(70)は5日、図面から部品まですべて手づくりした実物の12分の1サイズのミニSL「ミカイ」を県央地域地場産業振興センターに寄付、永久展示されることになった。

鶴巻英雄さんが製作、寄付し、県央地域地場産業振興センターに永久展示になったミニSL「ミカイ」

鶴巻英雄さんが製作、寄付し、県央地域地場産業振興センターに永久展示になったミニSL「ミカイ」

満州鉄道で活躍した大陸横断用蒸気機関車「JF1(ミカイ)型蒸気機関車」を精巧に再現した。長さ約2メートル、幅26センチ、高さ37センチ、重さ約160キロ。座席車をつないで約30人の子どもを載せ、時速30キロで走る力がある。

模型とは思えないほど精巧で重厚感あふれる姿

模型とは思えないほど精巧で重厚感あふれる姿

鉄と真ちゅうの胴体につや消しの黒色耐熱塗料を塗り、銅のスチームパイプがめぐらす。火室に石炭を入れて燃やすと、蒸気を発生させ、煙突から煙を噴いて走る。その精巧で重厚感あふれた姿は、息をのんで見入ってしまうほど美しい。

数年前までは鶴巻さんが運転し、三条市の目抜き通りを歩行者天国にした「ちびっこ広場」や燕市の商店街など、さまざまなイベントで子どもたちを載せて走っていた。

製作は機関車本体だけで8年、けん引車両やレールを含めて14年を費やした。子どものころから機械いじりが好きだった鶴巻さんは、機械修理や加工を自営していた。一日の仕事が終われば、工場の2階で今度は趣味の機械いじり、模型づくりに没頭。これまでミカイのほかに日本の代表的な蒸気機関車「D51」とディーゼル機関車と3台の模型を製作した。

40歳のころに作ったD51に次男から「なんだ、D51か」と珍しくないと言われたことが鶴巻さんの製作意欲に火をつけた。見たことのない機関車を作ってやろうと、国内ではあまり知られていない「ミカイ」の製作に挑んだ。

もちろん、鶴巻さんも実物を見たことがない。姿図や専門書で蒸気機関車の構造を独学。外観は写真を基に復元にした。部品はすべて木型を使ってから鋳造、溶接や機械の板金加工を施し、52歳で完成。まさに鶴巻さんが培った金属加工技術の結晶でもある。

車輪はダクタイル鋳鉄に硬質クロームメッキを施したりと、本物を上回る装備も。ナンバープレートだけは1985年、52歳の時に完成したから『8552』、機関車の横に『つるまき』とオリジナル仕様にした。

ミニSLを製作、大勢の子どもたちにたくさんの思い出を残した鶴巻英雄さん

ミニSLを製作、大勢の子どもたちにたくさんの思い出を残した鶴巻英雄さん

先に製作したD51とディーゼル機関車は、すでに県外に渡っている。ミカイもマニアから引き合いがあるが、誰でも作れるものではなく、三条で勉強させてもらった技術の集大成でもあり、市外に出したくないという思いがあった。

70歳の節目を迎え、体力的にイベント参加も難しくなってきた。とはいえ、多くの人にミカイを見てもらえないかと昔から取引のある三条信用金庫に相談。「三条のモノづくりの技術を結集したような作品だから地場産センターがいいのでは」と勧められ、同センターへ寄付することになった。

三条信用金庫では機関車の紹介パネル、同センターは展示台を作り、大ホールの入口近くに展示した。

鶴巻さんは「完成するかなと考えたことはあったが、趣味ですからやめようと思ったことはないですよ。ただ、いつ夕飯、食べに来るんだろうと待ってた奥さんは大変だったんじゃないかな」と製作当時を振り返り、たくさんの人に見てほしいと話している。