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あと1カ月余りで7・13水害から1年、三条市の仮設住宅入居者はいまだにピーク時の7割超、630人余り(2005.6.10)

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1カ月余りで昨年の7・13水害から1年になる。同じ三条市内でも被害のなかった嵐北地区などに住む市民にとっては、すでに過去のことになりつつある一方で、市内6カ所の仮設住宅には、6月1日現在でもピーク時の7割を超える630人余りが入居しており、市民によって水害のつめあとに対する温度差は大きい。

三条市興野1の仮設住宅

三条市興野1の仮設住宅

仮設住宅は県が設置したもので、昨年8月に入居を開始。毎月初めの入居者数は、昨年10月の861人(319世帯)がピークで、この6月は634人(254世帯)を数え、ピーク時の73.6%にのぼる。

とくにことし2月から入居者の減るペースが落ち、ピークの昨年10月から4カ月後のことし2月は672人(264世帯)と19.3%減ったが、ことし2月から同じく4カ月後となる6月までは、わずか6.6%減にとどまっている。

ただ、雪解けを待って住宅の復旧工事や建て替え工事を始めるために、仮住まいとして仮設住宅に入居する人もあるようだ。

7・13水害仮設住宅入居人員推移

また、地区別の入居者数の推移の違いは大きい。最も入居者が減ったのは仮設住宅の規模がいちばん大きい月岡地区の総合運動公園で、6月1日でピーク時より37.1%減の327人。次いで興野1丁目地区の旧東三条高校で同じく13.6%減の178人。それを除く4地区はピーク時の134人からわずかに3.8%、5人減っただけの129人にのぼる。

減少の少ない4地区は、南四日町4の市民プール駐車場と老人健康農園わき、同3の消防本部南分遣所隣り、それと北新保地区と、いずれも中心地に近く、老人や障害のある人が優先的に入居した。そのため退居は少なく、退居で空きができても利便性が高いので、すぐに新しい人が入居するという。

仮設住宅の住民の間では、生活騒音やペットに関する苦情や相談が後を絶たない。冬場の結露も住民を悩ませた。我が家では想像もできなかった周囲への気遣いから「精神的に疲れている」と追いつめられる人も少なくない。

一方で長屋的なコミュニティーづくりが実を結んだケースもある。月岡地区では仮設住宅の入居者が、ボランティアで子どもたちのためにお楽しみ会を開いた。

県が示す仮設住宅の入居期限は2年間。ただ、泉田裕彦知事は中越地震に伴う仮設住宅で「2年で追い出すようなことはない」と発言したことがあるようだが、期限までは3分の1を過ぎた。

市では被災した2カ所の市営住宅の建て替えを進めている。12月に完成予定の(仮称)月岡百刈市営住宅は取り壊し前より4戸多い24戸、来年3月完成の予定の(同)曲渕市営住宅は取り壊し前は市営と県営合わせて28戸だったが、その2倍近い54戸に増える。

事前にアンケートを行って入居希望を調査し、それを充足させる規模で建設を計画したが、調査後に自宅の再建を断念した人もあり、実際に入居募集を開始したら応募が供給戸数を上回る可能性が高く、市では間もなくあらためて意向調査を行う考えだ。

市は仮設住宅の高齢者をケアしようと、昨年11月から市健康推進員協議会の「げんき訪問隊」が65歳以上の単身高齢者世帯を月2回、戸別訪問している。対象世帯は当初の70世帯余りから今は10世帯以下に減っているが、対象者の経済的不安は残っている。

水害発生直後は、悪夢を見ているかのような悲惨な被害状況を前に、まさに猫もしゃくしもというほど、だれもが積極的にボランティア活動に取り組んだ。

しかし、その後の水害を上回る規模の被害をもたらした中越地震の発生、そして目に見える水害被害が影を潜めてゆくとともに、被害に遭わなかった市民には、水害が過去のものとして急速に記憶から薄れている。

阪神大震災の被災地では、各地に慰霊や鎮魂の碑が建立された。中越地震でも車中から2歳児が救出された長岡市の県道崩落現場が保存される見通しという。

しかし、三条市では悲惨な災害を忘れず、未来への教訓として残そうといった動きはとくにないまま、一方で五十嵐川河川改修事業は着々と進んでいる。

越後平野は主に信濃川が運ぶ土砂が堆積(たいせき)してできた典型的な沖積平野。広大で平たんな土地の恩恵を受けて新潟はコメどころとして知られるようになったが、裏を返せば水害に対してもろい地形であり、完ぺきな治水はありえない。

仮設住宅入居者をはじめとして、水害被害が現在進行形の市民はまだ多いことを忘れてはならない。そして7・13水害で得た教訓を無駄にしてはならない。