東日本大震災から1カ月、三条市の避難所のひとつ「ソレイユ三条」で黙とう、南相馬市議らの状況報告、計画的避難区域設置などのニュース、、福島で震度6弱の強烈な余震 (2011.4.11)

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11日で東日本大震災の発生から1カ月になった。三条市では県内のほかの避難所と同様、福島第一原発の事故で避難している福島県南相馬市の市民を中心に受け入れている。この日、三条市勤労青少年ホーム「ソレイユ三条」では地震が発生した時刻、午後2時46分に黙とうしたのに続き、南相馬市議らが訪れて涙ながらに現地の悲惨な状況を説明。市議らが帰ると館内のテレビでは新たな計画的避難区域、緊急時避難準備区域の設定を発表する枝野幸男官房長官、さらには福島県で震度6弱を観測する強い余震が発生。東日本大震災はまだ何も終わっていないことを思い知らされる1カ月目となった。

東日本大震災から1カ月の三条市勤労青少年ホームへ状況報告に訪れた南相馬市議ら
東日本大震災から1カ月の三条市勤労青少年ホームへ状況報告に訪れた南相馬市議ら

三条市は3月16日夜から避難所を開設して被災者を受け入れている。市内4カ所の避難所でピークは3月21日で611人を受け入れたが、帰宅した人や公営住宅へ移った人もあり、震災から1カ月の11日は532人まで減った。

避難所のソレイユ三条で黙とう

避難所のひとつ、三条市勤労青少年ホーム「ソレイユ三条」では11日、午後2時から弥彦観光協会がおしるこのサービスに訪れていた。1カ月前にの地震発生時刻、午後2時46分が近づくと避難している人たちが声をかけ、布団を敷いて毎日を過ごしている体育館でその場に立ち、「災害でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたします」と黙とうをささげた。
東日本大震災の発生と同時刻、午後2時46分に黙とう
東日本大震災の発生と同時刻、午後2時46分に黙とう

南相馬市議らが南相馬市の状況説明

黙とうを終わると、その少し前に同ホームを訪れた南相馬市の小林正幸市議と高野光二前市議がロビーで南相馬市の状況説明を行った。2人は新潟県内の避難所を回ろうと前日10日に新潟県に入り、10日は新潟市内2避難所を回り、11日は三条市内4避難所を回った。

ソレイユ三条に避難している人たちに状況報告を行う南相馬市議ら
ソレイユ三条に避難している人たちに状況報告を行う南相馬市議ら

11日夜はいったん南相馬市に帰り、13日にもあらためて新潟県内の避難所を回る計画だ。高野前市議は、4月の県議選に出馬するため3月4日で市議を辞職したが、東日本大震災で県議選は延期され、中ぶらりんの状態になっている。

この避難所には南相馬市のうち平成の合併前の小高町(おだかまち)、今の小高区の住民が多く、市内と小高区の状況について集まった50人ほどの前で話した。南相馬市の被害状況は、9日午前7時現在で死者403人、けが人48人、行方不明1,071人、家屋の倒壊や半壊が1,800棟、火災3件となっている。

1日何十体、これまで400体もの遺体、高野前市議は涙で声を詰まらせる

涙をこらえきれず、何度も声を詰まらせる高野前市議
涙をこらえきれず、何度も声を詰まらせる高野前市議

小林市議は、海岸部の井田川地区は今も水が3メートル近くたまり、海の方は今なお水があって捜索ができない状況と話し、津波に流されて亡くなった人の遺体が「1日十何体」も見つかり、「400以上の遺体があがりまして…」に、避難している人たちからは「あぁ…」と低いため息がもれた。

高野前市議は、「本当に早く戻してあげたいと思っても…いましばらく…頑張ってもらうしかないと思っています」と涙をこらえきれず、目を赤くして何度も声を声を詰まらせると、避難している人たちからもおえつが漏れた。

しかし2人が話す現実は厳しい。今後の避難先については「北海道という選択肢もある」。南相馬市からバスで迎えに来て一時帰宅できる可能性があり、原子力損害賠償法が適用される一方、南相馬市はことしは農作物を作らない代わりに国などから補償してもらう方針という。

不在になった家で盗難が相次ぎ、これまで5、6人が逮捕され、警察や消防が警戒を続けている。仮設住宅は5,300戸を求めているが、国が今すぐ用意できるのは国全体で62,000戸しかなく、南相馬市の仮設住宅は30km圏外にしか建てられず、今のところ700戸しか建たず、当面は270戸がすぐに建つ。

高野前市議に思わず抱きつく女性
高野前市議に思わず抱きつく女性

30km圏内が避難指示になれば、市役所も移動しなければならないが、「今はその状況にないと思っている」。南相馬市の旧市町枠組みの小高区、原町区、鹿島区の3つの区別では、小高はほとんどが避難し、原町区は避難している人と残っている人が半々。鹿島区は9割が残っているため、市は残っている人と避難している人の両方に対応しなければならず、職員も大変な状況であることに理解を求めた。

放射能の数値は順調に低下しているが、炉心が50度まで下がるには「2年くらいかかる」が、「安全性が保たれれば帰れるという状況になる」という期待も。最後に避難している人たちからの「次回はぜひ、いい情報をもってきて」に笑い声が起き、2人の訪問に感謝の拍手。その後も直接、2人に話を聞いたり、抱きついて感謝する人もいた。

小林市議は、避難所の手厚い対応に、「来てみてびっくり」と話していたが、慣れない土地での集団生活に体調を崩している人も目立つ。2人の訪問に同ホームにもいつになく穏やかな空気が流れたがそれも長続きしなかった。

枝野官房長官の計画的避難区域、緊急時避難準備区域の設定の発表に困惑

2人が帰って1時間とたたないうちに始まった枝野幸夫官房長の記者会見。放射線の積算量が年間20ミリシーベルトに達すると予想される福島県の葛尾村、浪江町、飯舘村、加えて川俣町の一部と南相馬市の一部を計画的避難区域とすると発表した。

対象地域では、一カ月をめどに避難するよう求めた。これまでは福島第一原発から半径20km圏内を避難指示、その外側30km圏内を屋内待避としてきた。

枝野官房長官の記者会見を食い入るように見詰める
枝野官房長官の記者会見を食い入るように見詰める

広野町、楢葉町、川内村、加えて田村市の一部、南相馬市の一部を緊急時避難準備区域とした。緊急時は屋内待避や避難の準備が必要な区域で、自力での避難が求められる。とくに子どもや妊婦、要介護者、入院患者はこの区域に入らないよう求め、保育所、幼稚園、小中学校は休園、休校となる。また、これらの地域からの自主的避難には政府が支援し、将来の補償の対象となる。

三条市や燕市をはじめ県内には被災地から多くの人が避難しており、そのほとんどが南相馬市。避難している人たちからは一時帰宅の要望が強く、市でも一時帰宅の準備を進めているが、新たに市内に計画的避難区域が設定されたことで、帰宅の願いが遠のいた人も多く、一時帰宅にも影響が及びそうだ。

避難している人たちは、ついさっきまで市議らと悲しみを共有したロビーで、この記者会見を生中継するテレビのニュースに目をくぎ付け。首をかしげたり、頭をかいたりと、あまりにも残酷な現実にまゆをひそめて無言で向き合っていた。

福島県浜通りで震度6弱の強烈な余震

さらにそれから1時間とたたずに午後5時16分ころ、福島県浜通りで震度6弱を観測する地震が発生し、三条市でも震度4を観測。福島第一原発では一時的に外部電源が停止。地震と津波による被災地は歩みは遅くとも着実に復興に向けて進んでいる一方、原発事故で避難生活を余義なくされている人たちにはなお先が見えず、震災1カ月でも変わらない現実に直面させられた1日だった。

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