尖閣諸島中国漁船衝突事故の映像をYouTubeにアップした元海上保安官、一色正春さんが燕三条フィルムコミッションで講演 (2011.10.25)

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燕三条フィルムコミッション(山崎悦次会長)は24日、燕商工会議所で平成23年度研修事業・講演会「映像が社会に及ぼす力」を開き、尖閣諸島中国漁船衝突事故の映像をYouTubeに最初に投稿した元海上保安官、一色正春(いっしき・まさはる)さんが講演。約100人が来場し、マスコミではほとんど伝えられない事実など貴重な情報に聞き入った。

燕三条フィルムコミッションが元海上保安官の一色さんを講師に平成23年度研修事業・講演会「映像が社会に及ぼす力」
燕三条フィルムコミッションが元海上保安官の一色さんを講師に平成23年度研修事業・講演会「映像が社会に及ぼす力」

一色さんは1967年京都市生まれで、1998年から昨年12月まで海上保安庁に勤務した。昨年9月に発生した尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生し、逮捕した中国人船長を釈放、事件を撮影したビデオの公開が進まないなか、一色さんは事件から2カ月後に「sengoku38」の登録名でYouTubeにアップし、映像流出事件として注目を集めた。

一色さんは先月も見附市を訪れており、これで3回目の新潟。今回は「映像が社会に及ぼす力」というテーマに「ちょっとわたしがお話するのとあんまり違うのでは」と前置きし、ホワイトボードに図示しながら、まず領海、接続水域、排他的経済水域といた水域など事件の前提となる情報から話した。

ニュースでは中国漁船との衝突の場面が繰り返されたが、ビデオのなかに実は150隻も映っていたことに注目するよう求め、対して日本の巡視船は4隻。「数でいったらかないませんよね」、「150隻がその気になればどういうことになるか。想像してみてください」と一色さんは、ニュース映像から得られない状況を示した。しかしビデオの撮影者が慌てていないのは日常的に起きていることだからと説明した。

約100人が来場して会場は満杯
約100人が来場して会場は満杯

2回目の衝突は明かな故意で、その証拠として中国漁船の船員が船上から巡視船との距離や間合いを計っていることが確認できる。間に「わたしは客観的なことしか話しません」とはさんだ。

9月7日午後1時に海上保安官が中国漁船に乗り込んだのに、逮捕は翌8日午前2時と13時間もかかったことには、「迷っていたんだと思う」。逮捕した理由の公務執行妨害は罰金50万円以下。それに対して外国人漁業の規制に関する法律(外規法)では罰金400万円以下と重く、船と漁具を没収できるのに公務執行妨害を適用したことを指摘した。

中国漁船の船長の釈放後は、中国大使が呼び出されたり、日中の交流や貿易、SMAPの中国公演も中止になり、中国で反日デモも起こった。日本政府は中国漁船側に責任がある証拠を記録したビデオがあると言いながら中国に謝る姿勢に日本でも不満が高まった。

ホワイトボードも使って軍事的脅威をわかりやすく説明
ホワイトボードも使って軍事的脅威をわかりやすく説明

そこで手元にあった証拠ビデオを公表。その後、一色さんが映像の内容を解説してもテレビや新聞の解説者や専門家は知る限り誰も取り上げず、外規法という言葉も聞かなかった。「多くの人は意外とこういうことを知らない。いかにマスコミがさぼっているかということです」。

その結果としてことしの8月24日、約9時間に渡って中国の漁業監視船が領海を出たり入ったりして日本の動きを観察、偵察した。昨年は民間の漁船だが、漁業監視船は公船。治外法権が認められ、手出しができない。監視船が滞留したら国際法的には侵略で、日本は自衛権の発動しかなくなる。

また、対岸で体制崩壊が起こり、何千という船が来て、なかには機関銃を持った人がやって来るという最悪の事態が想定される。「そういう最悪の事態を想定するのが防衛」で「そういう議論すらされていないのが問題」と、日本の危機感の弱さ、防衛に対する関心の低さも指摘し、最悪の事態に備えるには「お金も覚悟も必要」とした。

質疑応答で来場者の質問に耳を傾ける一色さん
質疑応答で来場者の質問に耳を傾ける一色さん

講演後の質疑応答では、映像公開後の同僚の反応には「とくに気にしない」と語らず、「sengoku38」の意味について問われても「お答えしません」。漫画喫茶からアップロードしたのは、映像が気付いてもらえるまで時間を稼ぐ必要があったなどと説明。政界への転身には、「そんな気持ちはありません」ときっぱり。

また、映像の公開で守秘義務違反を問われ、国家公務員法違反を問われながら起訴猶予処分になったことについては、法律論と感情論を分けて考えなければならず、海上保安庁の内規には違反しているが、「法律的にはわたしは違反していない」、「法的には犯罪者扱いは間違えている」とやや語気を荒らげた。

しかし、一色さんはジョークもまじえて終始、穏やかに話し、大学の講義のように情報が詰め込まれた内容だったが、飽きさせることはなかった。日常ではまったく意識することのない防衛が国にとっていかに重要か、多様な情報を収集することの必要性に気付かせてくれた。来場者は年配の男性が中心だったが、一躍「時の人」となった一色さんの生の声に聞き入っていた。

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