コミュニティデザイナーの山崎亮さんを講師に「三条まちなかトークライブ」(2)トークライブ (2012.1.14)

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山崎さんの約1時間の基調講演のあと、三条市歴史文化担い手育成会の相場浩会長をコーディネーターに、山崎さんと国定勇人三条市長のトークライブを行った。

 山崎さんの約1時間の基調講演のあと、三条市歴史文化担い手育成会の相場浩会長をコーディネーターに、山崎さんと国定勇人三条市長のトークライブ
山崎さんの約1時間の基調講演のあと、三条市歴史文化担い手育成会の相場浩会長をコーディネーターに、山崎さんと国定勇人三条市長のトークライブ

まずは互いに質問。山崎さんから国定市長に、庁内で困っていることなどを質問すると、国定市長は、自分が言ってたことが間違ってたら素直に謝り、自分が正しく筋が通っていれば納得して仕事をしてもらえるよう心掛けていることを話した。

国定市長は山崎さんの基調講演の後半を聞いたが、「まずは元気ですよね!」と驚き、元気の源と「何を大事にしていこうと思っているか」と山崎さんに聞いた。

山崎さんは「元気の源はなんといってももうけでしょうね。ものすごいもうかります」と笑わせた。しかし「もうかる」は金銭だけでなく、子どもをもうけるだったり、友だち増えるといった幅広いが意味があり、「多様なもうけがあるからずーっと楽しい」。

地域に入るときはよそ者で、「いずれ僕らはいなくなると最初に言うようにしている」。行政は1年目は500万円で発注したら、2年目は予算を削られて400万円になりましたとなるが、「すいませんが250万円まで下げてくれますかと言う」。地域の人たちが自分たちで運営できるようにノウハウを教えるからで、3年目は100万円、4年目は50万円。最後は電話とメールでちょこちょこっとやるくらい。いつもでもあてにされていると、地域の人がやる気にならない。これが「ずっと今までもってきたスタンス」と山崎さんは話した。

トークライブの山崎さん
トークライブの山崎さん

相場会長はあらためて主催の三条市ESD協議会について説明した。地域のことは地域の人たちで力を合わせて解決しようという事業を行っており、ESDは持続可能な開発のための教育。「世代から世代へいかにつないでいったらいいかなというのがわたしたちのテーマです」。そこから協働し、世代をまとめることに取り組んでおり、協働について2人の考えを聞いた。

国定市長は、一昨年から行っている三条マルシェを紹介。昨年10月は6万2,000人の来場があった。この2年間で中心市街地に個性的でユニークな12、3店舗が新規出店した。そうした店舗から、三条市が口を出さずに生まれた「SANJO tour MAP」も紹介した。

山崎さんはそれらの動きを評価し、「市民の活動は自分のやりたいと思うことと、その人たちができることと、そして社会がちょっとそこを求めているということがうまくバランスしていないと、やる気がなくなってきちゃうんですよね。誰のために何をやってんだか、良くわかんなくなってきちゃう」。

先に行政がやってほしいことがあるとだめで、朝イチでごみ拾いしながら合コンしたいでもいいが、それが行政のごみを拾ってくれから始まると、運動が膨らまない。

公金を入れると「お金を出した以上、なぜその店しか載せないのっていうような話がどうしても出てくる」、「この人たちがこの活動まできたら社会に貢献するということが、ちゃんと説明できているかどうか。3年後を目指して今、何も口を出していないんですよ」といったフェーズプランニングをきっちり説明し、行政内部や自治体、議会を説得できれば「住民がやりたいと思うことと、町がやってほしいことをうまくコーディネートできる行政マンが誕生するんじゃないかなと思います」と提言した。

熱気にあふれた会場
熱気にあふれた会場

3年後のゴールを示した山崎さんに国定市長はすかさず突っ込み。「3年は結構、長い」。3年たたないと「結果の“け”の字にも出てきません」となると「持続していくモチベーションにつながらないのでは」。その間に見せ場をつくるようなノウハウがあればと山崎さんの教えを求めた。

山崎さんは、3年後のゴールは行政の内部や議会に対してどう説明するかということであって、参加している住民に対しては「小さな成功体験を随所に入れていかなければならない」。

3年後に「やってる本人たちが、ここまで充実感をもってこれだけできているといことが、客観的な成果としてその他の人たちに説明できないという問題がある」が、参加者の意識の変化を記録して報告することで、何とか成果を見せていく。

活動する人口が説明のための指標になる。生物多様性の指標が変わり、ただ通り過ぎる生物の種類をカウントするのでなく、止まったら1.5の係数をかけ、巣を作ったら3、子孫をつくったら6、食べ物をとったら2と係数をかけ、種数かける係数で多様性を評価することで、「見えてる種数は少なくてもここで生活したがっている昆虫が多いということは、そこの環境がいかにいいかということになる」。

このなかでプログラム提供する側、ものを買った人、買わずに通り過ぎただけの人、ちょっとずつ色が違う。三条マルシェに置き換えても「同じ6万人が続いていたとしても価値はだいぶ違う」。これまで成果を入り込み数や経済的指標だけで取り組んできたが、成果の取り方、カウントの仕方は「これから発明しなければならない」。

コーディネーターを努めた三条市歴史文化担い手育成会の相場会長(左)と国定市長(右)
コーディネーターを努めた三条市歴史文化担い手育成会の相場会長(左)と国定市長(右)

相場会長は、多くは事業や課題が行政から投げかけられるが、市民の活動が行政へ波及した例を求めると、山崎さんは、「何も知らないで行って、皆さんの意見を聞いて、だったらそれやったらいいじゃないですか、って言ってるだけのような人間です」と、問題を解決する手段はすでに住民のなかにあることを指摘。ある段階で町を動かすてこ入れをアドバイスし、それが評価され、感謝されることがやる気につながる。うまいスパイラル、関係性をつくる手伝いをしていると説明した。

せっかく住民にやる気があっても、10万円ていどの出費の決済に何カ月もかかったうえに決済がおりないことがある。「例えば担当者決済で上限10万円までで100万円ぐらいは町づくり基金として行政の財布から横に出しておく」、行政と住民が協働して物事を進めていく時代は、入札などとは全然違う仕組みをつくらないと速度が速くならない。

一方、現場を預かる国定市長は、成果が出ないと議会でいろいろ言われるが、「わたしはもう、やるって決めた以上、やるんだということをぶれることなく貫き通すっていうことしか僕の役割って言うと逆にあんまりない」。「皆さん勝手にやってくださいよ、お金だけはつけますからということをやり続けるのが大事」とした。

今後の取り組みについて山崎さんは、佐賀県佐賀市の商工観光課のユニークな取り組みを紹介する一方、機会均等の意味では「まず、やる気があると言った人に傾斜配分していいだろうと思う。大事なのは、次にわたしもやりたいっていう風に手を上げられる状態をちゃんと担保してあるかどうか」。「その人だけではなく、そういういいことをやっている人にちゃんと予算がつくんだったらわたしもやりますって、ちゃんと立ち上がれる状態をつくっていけるかどうか」と行政のあり方を示した。

しかし、行政を批判するのは得策ではない。行政は貝みたいな存在で、「気持ちがいいと、ぱかーっと開いてます。うまくおだてるとね、中をちゃーんと見せてくれます。突いたらぱちっ!て殻を閉じますからね。そうなったら何をやっても言うことをきかない。そういう制度になってます」。

講師の山崎さん
講師の山崎さん

「行政は手の平で転がして、すべてあなたたちの手柄です、あなたたちがやったことですという風にやっていきましょう。そうすればみんな気持ち良くいろいろなものに協力してくれます」。行政の仕組みを住民も理解するよう勧めた。

僕がやらねばならないのは、「行政の中の組織をどう改革していかということ」。海士町の町長から学び、「結果、内部が変わらないと動かないこともかなり多い」。「機会があればどこかでそんなことを試さなきゃいけないかもしれない」と小規模な自治体の首長に就く、あるいはどこかの首長とタッグを組んで組織改革を進める可能性も示唆した。

国定市長は「ことしはですね、何やっても当たる年ですよ。間違いないです!」というメッセージを開陳。昨年は東日本大震災があったが、人間はバランスを求め、前向きになる。正月は便利な道具で、年が明けるとマインドが変わる。「ことしはみんなのマインドがそうなっている以上、やって失敗するはずがないんです」と強調した。

トークライブの最後に質疑応答。豊かさとは何かとの質問に国定市長は、豊かさに対する共通理解が今の日本にはなく、欧米にはキリスト教という共通理解がある。日本は価値観をとっぱらって個人主義を求めてきた。「ことし読まなければいけないものは論語」で、「価値観とか豊かさって何なんだろうっていうことを自分自身としてちょっと勉強していきたい」。

山崎さんは仕事柄、「つながりがたくさんあればあるほど豊だなと思える」。「いずれにしても物と金だけで豊かさを計るのは、まずいのだろうということだけは一致している」、「それ以外のところをどれだけ自分なりに考えて、物差しを増やしていけるか」とした。

さらに、来場者からどうやって町づくりに関心のない人をどうやって引っ張ってくるかと山崎さんに質問があった。山崎さんは、例として、三条へ来たらまず職員からおもしろい人を10人紹介してもらって10人に会い、それぞれおもしろい人を3人紹介してもらうと30人になる。ワークショップの公募をしたら、その人たちに電話して参加してもらう。ワークショップを開いて集まった人とはすでに半分くらいに知り合いになっているといった手法を話した。

基調講演、トークライブとも約1時間。山崎さんは時間を惜しんでまくし立てるように言葉を尽くしたが、それでもあっと言う間の濃厚な時間だった。来場者は30歳代のまちづくりに関心のある人が中心で市外から訪れた人が多く、ツイッターやフェイスブックなどSNSを活用している人の来場が目立ったのも特徴的だった。

コミュニケーション・デザイナーと称しているだけに、官民に関係なくコミュニケーションをデザインするアイデアは宝の山だったが、行政に対する批判や諦観の勧めが目立った。しかし、言いっぱなしではなく、自身が現場で得た実感や具体的な解決方法も示した。

山崎さんが問題にしているのは行政のシステム。言い換えればシステムを変更するだけで行政のパフォーマンス飛躍的に向上するとみることもでき、行政マンにこそ聞いてほしい内容だった。

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