【小耳聞き耳】そもそも地名に「仲町」も「宮町」も「穀町」もなかった (2014.3.6)

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燕市で燕地区第5次住居表示が3日から実施された。旧燕市の中心地にある、今まで「燕市燕」だった住所が、「仲町」、「宮町」、「穀町」、「新町」、「中央通一丁目」など昔から親しまれている行政区の名称に変わった。行政区は、その名の通り行政が定めている区画の名称であり、その行政区画単位で住民自治組織が存在する。

 燕地区第5次住居表示区域
燕地区第5次住居表示区域

行政区の名称は住所の町名と同じ場合もあれば、違う場合もある。「燕市燕」は後者だが、あまりにも「燕市燕」の地域が広いため、郵便物でも本来は「燕市燕」とすべきところ、「燕市仲町」などと行政区の名称を使っていた地元の人は多い。

さらに問題をややこしくしていたのが、郵便番号だ。郵便番号のルールからすると、本来なら「燕市燕」で1つの郵便番号であるべきところ、理由は定かではないが、「仲町」、「宮町」、「穀町」と行政区単位で別々の郵便番号が割り振られるという、わかりにくい状態になっていた。

とはいえ、便宜よりも慣れが優先するのが世の常。市でもずっと以前から住所を行政区と同様にする住居表示の変更を提案してきたが、一部に反対の声があり、そのつど立ち消えになっていた。

この状態は今後も続くと見られていたが、状況が一変したのが昨年2月。「燕市燕」の郵便番号が「959-1288」に一本化された。ようやく郵便番号が正しいルールにのっとった形になったわけだが、今度は地元の人が黙っていなかった。

郵便番号が変わるのはいやだし、ほかの行政区と同じ郵便番号というのも何だか気に入らない。これが行政区の名称に抱いていたアイデンティーを呼び覚ましたのだろうか。地元住民から市への苦情もあったため、昨年5、6月ころに自治会長から集まってもらって協議し、住居表示の変更が一気にまとまった。住居表示の変更はふつうなら1、2年かかるところ、1年足らずで実現した。

 戸隠神社のわきの電柱に取り付けられた宮町の町名板
戸隠神社のわきの電柱に取り付けられた宮町の町名板

振り返れば、本来はとっくに行政区の名称に合わせて住居表示が変更されるべきところ、郵便番号の一本化を契機にようやく変更が実現されたということになった。図らずも旧町名が復活したということかと思ったが、この認識がまるで間違っていた。

今回は第5次の住居表示だが、実は「燕市燕」の住居表示の変更はこれが初めて。どういうことかと言うと、この行政区の「仲町」、「宮町」、「穀町」といった地名が存在したことは一度もなく、行政区にだけ存在した名称なのだ。小字名にもなかったらしい。つまり“復活”ではなく“新設”だったのだ。

宮町に生まれ育った友人の市職員に、そもそも宮町という地名はないと聞いた。こっちも燕の川向かいに生まれ育ち、それはないだろうと信じなかったが、友人の説が正しかったというわけで、不明を恥じるしかない。

今回の住居表示に伴って再び行政区ごとに別々の郵便番号が割り振られた。住居表示の変更に伴って法人の住所の変更などが必要になるなど、行政に届け出ているさまざまな文書の変更などが必要になる。法人ならさらに名刺や郵便物などの印刷物も新たに作り直す必要があり、手続きの煩雑さや100万円を超す費用がかかることに頭を痛める住民もいるが、おおむね住民には歓迎されている。

住居表示の変更に伴う市の支出は2,000万円余り。決して安くはないが、昔と違って住居表示は国へは報告の必要しかなく、市町村の独自の判断で実施できるとか。住民の理解さえ得られれば、あとは費用をはかりにかけるだけで、意外とハードルは低い。

宮町の自治会長、竹井さん
宮町の自治会長、竹井さん

「燕市燕」のなかでも、最も行政区の名称にこだわりをもっているのは、戸隠神社が鎮座することがその名の由来の「宮町」だろう。2004年から宮町の自治会長に就く竹井満喜子さん(70)は、生まれたときから今の土地に暮らす。

竹井さんも住居表示の変更は大歓迎。「名実ともにお宮のある“宮町”になった。だっけね、新生宮町祈願祭やろうと思って」。家の前の通りは、古くは“木場小路”。今まで郵便物には、住所をかたくなに“宮町木場小路”と書いてきたが、“宮町”が正式名称になったことで、「今度は“宮町”にしなければと思うとちょっと寂しい」とも。

宮町は中ノ口川の左岸側で、対岸の右岸側は、今はJR燕三条駅を中心に商店が建ち並ぶ。「今、わたしたちの方が川向かいって言われてる」と竹井さん。「子どものころ、あっちを川向かいって言うと、差別用語らと良く友だちに言われたけど、今はあっちの人から見ると本当、そんな感じだよね」と、時代の移り変わりを痛感する。

ちょうど同じタイミングで宮町商店街のオーバーアーケード撤去工事も終わろうとしている。「宮町は、昔は銀座って言われたんだよ」。「無くなったもん、取ったもんを嘆いてもしょうがねんねかて。だからやっぱしさ、天気のいい日になると気持ちいいわ。青空が見えるし。プラス思考で元気出していぎてかな。だっけさ、魅力ある店にしてもらいてと思って」と前向きにとらえる。

宮町にとっては、住居表示の変更にオーバーアーケードの撤去と、2014年はまさに大改革の新生宮町のスタートの年になる。


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