NHK交響楽団(N響)メンバーによるバイオリン、ビオラ、チェロの弦楽四重奏の公演が16日、燕市文化会館で開かれ、約300人が来場した。そのあと、メンバーによるワークショップも行われ、20人が参加して国内トップレベルの演奏者から直接、指導を受けた。
出演は、元N響第2バイオリン首席奏者でゲスト・コンサートマスターの永峰高志さんとバイオリンの船木陽子さん、ビオラの飛澤浩人さん、チェロの村井将さん。コンサートではドボルザークの弦楽四重奏「アメリカ」をはじめクラシックのほかアニメの主題歌も演奏。アンコールも3曲をサービスして来場者は存分に堪能した。
ワークショップは4人が別々の部屋に分かれて行い、合わせて20人が参加した。新潟市、長岡市、新発田市から参加し、なかには県外からわざわざワークショップのための帰省した人がいた反面、燕市からの参加はひとりだけだった。
バイオリンの永峰さんは「ニスがはげるということは財産を失っていること」とニスが塗っているところにはさわらないよう楽器の扱いから指導し、音を出す前から「どういう音を出すかを強くイメージしてから弾くこと」とアドバイス。バイオリンの船木さんは「心を鬼にして練習しなきゃだめ」と精神論から「ひとつひとつの音がもう少しはっきり分かれた方がいいかな」と楽譜には書いてない表現の工夫も伝えた。
ビオラの飛澤さんは十六分音符を慌てて弾く参加者に「自分が思うより時間があるのでしっかりリズムに合わせて弾くように」と指摘し、「日本人はリズムを置いていきがち」とビートを感じるように指導。チェロの村井さんは参加者からひとりずつ順に学びたいことを聞き、左手の小指でうまく弦を押さえられないという人には「小指だけで押さえることはあまりない」、ビブラートをうまくかけられないという人には「ビブラートは脱力感。幅を大きくとるように」と指導した。
メンバーは参加者それぞれの問題点を克服するための根本的な原因を的確に指摘し、より魅力的な演奏表現を手本を示して教えた。参加者は一流プレーヤーを前にがちがちに緊張していたが、わずかな時間にもかかわらず演奏が明らかにステップアップしていることを自覚し、自然に笑顔がこぼれていた。
結成から10年以上になる弦楽四重奏団「野ばら」は、4人そろって永峰さんから指導を受け、永峰さんの指導にも一段と熱が入っていた。「野ばら」でバイオリンを担当するバイオリン教室も開いている三条市諏訪、仲納林省三さん(67)は「緊張したけどいい勉強をさせてもらいました」と喜んだ。前向きにリズムをとることや演奏を始めるときの合図の出し方もとくに勉強になったと言い、「またこういう機会があるといいなと思った」と次回にも期待した。