空き家に残された家財道具を地元企業のデザインと技術でリデザインして販売しようと、新潟県三条市の三条商工会議所青年部（小柳明会長・会員130人）は1月24日から2月9日まで三条市・一ノ木戸商店街の空き店舗、旧浪漫亭で「三条オーパーツ」と題して8社が手がけた10点を展示、販売している。

市内の空き家数軒から集めた約50点の家財道具をリデザインできないかと会員に照会し、手を上げた会員が製作した。姿見につめ切りの排材で装飾を施した「Veritas」7万5千円、刃を付け直して斬新なフォルムの柄に替えたくわ「KUWA 2020」1万円から1万2千円、玄関の置物だったケヤキをローテーブルに変えた「欅ローテーブル」12万円、ガーデンチェアーの脚だけ再利用してペイントした「チェア（ブラック）」1万円。

連獅子の2体の人形に古い着物のなどを張り付けた「絢爛華麗」3万5千円、北海道名物のクマの置き物のクマの口をワインのボトルの首が入るように広げて真っ白にペイントした「Wine Base Bear」2万円、文化包丁を研ぎ直して柄を新しくした「文化包丁150mm 鉄・白紙鋼 強化朴桂 朴柄付き」3千円、鉄瓶に三本足の五徳を付けてたき火できるようにした「五徳焚火台 TETSUBIN」というラインナップだ。

「かつぼ屋」となりの店舗の正面に、ショーウインドーのように作品を並べて展示した。作品の購入は早い者勝ち。購入しても2月9日まではそのまま展示し、引き取りはその後になる。購入などの問い合わせは青年部事務局（電話：0256-32-1311）。

この事業は青年部が今年度、設置した空き家対策委員会が取り組む。4月から三条市内の空き家を動画で紹介する事業も行い、これまで8軒の空き家を取材した動画を制作してYouTubeで公開した。前年度も地域活性化委員会で空き家をリノベーションするための拠点「燕三条リノベ基地」を開設している。

こうした取り組むから課題として浮かび上がったのが、空き家に残された家財道具。金を払って処分する必要がある。これをリデザインして生まれ変わらせ、販売することで処分費を節約するばかりか、新たな価値を生み出そうと企画した。タイトルにある「オーパーツ」とは、当時の文明や技術では製造不可能と思えるような物。古い家財道具をまるでオーパーツを発見したかのようによみがえらせようというわけだ。

以前から一ノ木戸商店街から空き店舗を活用してほしいと言われていたので、会場には一ノ木戸商店街が倉庫に使っていた空き店舗を借りた。空き家対策委員会委員長の斉藤巧さん(43)＝スペースデザインタクミ代表＝は「これが第一回でお試しだが、燕三条の企業の力を発揮して付加価値を付け、これがアート作品や使用される人に買い取ってもらい、ごみ削減になり、空き家対策にもいい」と一石二鳥、三鳥をねらう。

青年部会長の小柳明さん(43)＝小柳産業代表取締役は、空き家対策は三条だけでなく全国の問題であり、「まだまだ地方の空き家は捨てたものじゃない。ぜひこの地区の空き家に注目して購入してほしい」と期待している。