20日、21日の2日間、三条ものづくり学校(新潟県三条市桜木町)で「工場蚤の市(こうばのみのいち)2024」が開かれており、燕三条地域の工場をひっくり返したような何でもありのマーケットやワークショップが斜め上からものづくりの魅力を伝えている。

工場蚤の市は、燕三条地域を中心とした工場やクリエイターが出店者となり、見て、聞いて、買って、作って、食べて、楽しみながら燕三条の魅力を感じられる体験型イベントで、今回で6回目になる。

あと一歩で商品にならなかったものや工場の隅で眠っていたサンプル品、使わなくなった道具などに手を加え、新しい価値を生み出したアップサイクル品の販売、ものづくりワークショップやキッチンカーの出店、個性あふれる展示などを行っている。

メーンのマーケットには2日間で54の出店がある。お得に買えるアウトレットをはじめ試作品、仕事の技術を使って趣味で作ったもの、工場に転がっていた出店者が言うところのごみなど、玉石混淆。ただ、多くの人にとってはただの“石”なのが、人によっては“玉”になるのがおもしろいところ。感性を試されるようなものがひしめている。
初日20日は朝から通路を人をよけて歩くほど大勢の来場者でにぎわった。1日に3回、ものづくりトークもある。21日も午前10時から午後4時まで開かれる。入場無料。

高級なニッパー型つめ切りで知られる諏訪田製作所は、試作品のダマスカス鋼で作ったぐい呑みなどを千円足らずで販売。以前は同社の制服にも採用していた金属製のボタンなども販売している。

タンブラーは1個1万円、エコカップは1個2千円のところ2個3千円で販売。買い物をした人にミニざるのプレゼントも。

左の片口スパナが重さ20kg、右のコンビネーションスパナが4kg。飾り物ではなく、造船所や発電所、橋脚などで巨大なナットを締めるのに使われていると言うが、日常生活ではまずお目にかかれないサイズ。

マルト長谷川工作所はお得な廃番品や廃番品や目玉セールが充実。タイムセール、試し切りなどあの手この手で製品をPR。装飾に使うらしく型で抜いた端材をまとめて12個、買う人もいた。

渡明製作所は、蚤の市のスタンプラリーのスタンプを端材でお試し製作。金属棒の六角形の先端に手作業で「燕三」、「下田」、「ものづくり」などの文字を彫って用途はともかく破格の1千円。


まち歩き作家の野田英世さん(53)=長岡市=は、出店ブースを順に描いて会場入り口に張り出している。フォトジャーナリズムならぬピクチャージャーナリズムとでもいうところ。サムホールサイズにダーマートグラフに水彩で彩色して描いている。

酒井指物は、定番のたんすの古金具を使った再生アクセサリー作りのワークショップで人気だ。

アルミニウム冷却台「すのこタン。」で知られるマルダイは、自社製品が当たるガチャガチャを提供しているが、そのためのガチャガチャの本体をなんと自前で金属で製造。まさに斜め上の発想で、市販も目指して試作中だ。

鉄、鋼の材料屋のナカジョウは「小鐵屋」ブランドで金属製のセロハンテープ台やペーパーウエイトを。
きせるを手がけるために燕市に移住した岩波陸さんがきせる作りのワークショップ。

有本製作所は、廃材を組み合わせて上に花が咲いたようなブランキングアートのオブジェを製作した。丸い端材を活用したマグネットも販売。

プライヤーのIPS PLIERSは、1回100円で抜き型スクラップのつかみ取り。プライヤーのアウトレットも販売。

中沢スポットは直径の異なる金属の輪を販売している。これはある製品を作るための部品。これはいったい?。
正解は工業用の扇風機の前面に取り付けるガード。


フサヤはBtoBで取っ手を販売しているが、会場では一般向けに販売。

Dots and Linesは、一部の製品を納入しているアカデミックアウトドアサウナレーベル「madsaunist」を使ったサウナ体験を用意。水風呂としてプールに張った水も用意してサウナを体験してもらっている。
2日間とも三条ものづくり学校の駐車場は利用できず、車で来場する人はパール金属株式会社の設ける臨時駐車場を利用する。そこから三条ものづくり学校まで無料のシャトルバスを20分間隔で運行する。入場無料。