境内で新潟県指定の天然記念物「八王寺の白藤」が咲き始めた真宗仏光寺派安了寺(新潟県燕市八王寺)で4日、恒例の白藤茶会が開かれており、五月晴れの薫風とともに茶を楽しんでもらっている。
燕市教育委員会と燕茶道友の会の主催で毎年開かれている。前売り券は80枚余りが売れ、好天にも恵まれて当日券の販売も好調で、29枚で完売とした。燕茶道友の会の会員数人で回り持ち。ことしは表千家同門会新潟支部の坂井宗美さん(73)が務めている。
安了寺の広間に茶席をしつらえた。目玉は床の間に飾った茶花のタチバナ。今のミカンの原種ともされる。童謡「鯉のぼり」の歌詞にも「橘(タチババ)かおる朝風に」とあることから選んだ。
それも長岡市・与板を城下とした井伊家の家紋の橘にちなんで植えられたという由緒あるタチバナをゆずってもらい、茶席の花入れに飾った。
坂井さんのアイデアで背を低くした新潟塗の立礼卓(りゅうれいじょく)と輪島塗の火鉢を組み合わせた。菓子はういろうの「若葉雨」。季節や客との関係を映して主客一体の心を表し、空間全体を調和に心を尽くした。
昨年の白藤茶会は「八王寺の白藤」の満開とぴったり重なったが、この日はまだ三分咲きていど。花見客はそれほど多くなかったが、「八王寺の白藤」の保存のために奉仕する八王寺大白藤保勝会(熊谷幸宏会長)によると数日中には見ごろを迎える。