新潟県燕市は、30日から8月4日までの5泊6日で市内の中高生9人を親善大使として姉妹都市の米国・ウィスコンシン州のシェボイガン市に派遣する。一度はシェボイガン市から中止の要請があって実施をあきらめかけたが、「必ず米国に連れて行く」という強い思いで日程を短縮したものの外務省、総領事館、JICAとも連絡をとって実現にこぎ着けた。
外国語教育「Jack & Betty プロジェクト」の一環で毎年、海外派遣事業を行っている。コロナ禍の間は休んでいたが昨年、5年ぶりに再開した。
今回は昨年12月に行った「英語スピーチコンテスト」の出場者うち希望者を審査して親善大使に任命した。吉田中学校の2年生2人と3年生1人、燕中等教育学校の3年生2人と4年生2人、三条高校の1年生1人の9人を派遣する。
当初は10日間の派遣を予定したが、5月末にシェボイガン市からホームステイが難しいと中止の申し入れがあった。しかし、すでに親善大使は派遣に向けて準備を進めており、なんとか実現させたいと手を尽くした。
そのことについて小林靖直教育長は、23日に行った親善大使出発式で保護者に説明した。シェボイガン市から中止の要請があっても「親善大使のみんなが頑張ってきた姿を見ているので“わかりました”というわけにはいかない。必ず米国に連れて行くという思いで準備した」と振り返った。
「ホームステイはかなわなかったが、シェボイガンの市長も、子どもたちや担当者の熱意に心を打たれて、市長も迎えに出てセレモニーを準備してくれることになった」と喜んだ。
それだけにとどまらない。「せっかく行くので、もっと違う体験ができないかと、実は外務省に問い合わせたり、シカゴの総領事館に問い合わせたり、いろんな工夫をした。ただ、中止の要請にわかりましたというのではなく、壁にぶち当たった時も、それを乗り越えて違う方向があるんじゃないか、もっと納得解を見つけるために、親善大使の皆とこの1カ月半ぐらい新しい行程表をつくった」と話し、保護者の理解にも感謝した。
シカゴの総領事館からは、燕の子どもたちを待っている、プレゼンもしてほしいと求められた。日本ではJICAが特別なプログラムを燕の子どもたちに用意してくれことになり、「働きかければ必ず返ってくることを、わたしたちも子どもたちに示すことができたし、それを子供たちも貴重な体験にしてもらったらうれしい」と子どもたちより先に関係者の方が試練を乗り越えて大きな学びを得た。
鈴木力市長も派遣の大きな目的であるホームステイができないことをわびる一方、「当初の計画通りにはならなかったが、逆に充実した形になったと思う。ぜひこのチャンスを、経験を生かしてもらいたい」とピンチをチャンスととらえるよう期待した。
出発式では、親善大使一人ひとりが英語で目標発表、シェボイガン市で行うプレゼンテーションの披露を行った。シカゴでシカゴ美術館やウィリス・タワーの見学、コンサート観覧、市内観光、そしてシェボイガン市庁舎訪問、帰国してから浅草自由散策とJICA地球ひろば訪問などを予定している。