キャンピングカービルダーの(有)加藤モーター(加藤健資代表取締役・新潟県燕市小高)は、コラボレーションによる注目の2車種を発表した。地元のアウトドアブランドキャプテンスタッグ(株)(高波文雄代表取締役社長・三条市五明)と共同開発したキャンピングトレーラー「キーメイカー」、イタリアのアートブランド「ピカソ・リ・デザイン」とのコラボで世界的芸術家バブロ・ピカソのアートをデザインしたキャンピングカー「パブロ」。加藤モーターの創業70周年を記念し、長年培ってきたハンドクラフトの技術と新たな価値観を融合させた意欲作だ。
「キーメイカー」は、普通免許で牽引できる750kg以下のコンパクトなトレーラーに仕上げた。奥は対面で6人が着座できるリビングダイニングスペース、ダイニングをベッド展開するとおとな3人、その上の棚にマットを置くとプラス2人の計5人が就寝できるベッドスペースになる。
キャプテンスタッグの「エクスギア ガスツーバーナーコンロ」と水タンクを組み込んだキッチンがあり、キャプテンスタッグの折り畳みのコンテナがぴったり入る収納スペースを設けた。
内装はキャプテンスタッグの人気シリーズ「CSクラシックス」と同じアカシアの木材を使用。キャプテンスタッグの意匠も取り込んだ統一感のある空間で、手軽に上質なキャンプ体験ができる。価格は税込み388万800円で納期は1年後。
「パブロ」のベース車両はトヨタのワンボックスカー「ハイエース」「芸術と旅の融合」をテーマにピカソの代表的なアートを車体と内装に大胆にあしらった。ことしは戦後80年の節目でもあり、平和の象徴のハトの絵が車体を彩る。
内装のシートや壁面にもピカソの作品をデザインした。生産は5台限定で価格は税込み977万1300円。納車は1年半後だが、すでに1台が契約済みで残り4台となっている。
6日、加藤モーターのショールームで両車の発表会を開き、除幕して公開した。加藤社長はキャプテンスタッグとのコラボについて、1年ほど前にスタートし、ことし4月の長岡市で開かれた信越キャンピングカー&アウトドアショーで試作第1号を公開したことを話した。さらにキャプテンスタッグのショールームへ足を運んでキャプテンスタッグの製品をどうトレーラーに取り込めるか共同開発を進めたと言う。
発表会に出席したキャプテンスタッグの高波洋介常務は、加藤モーターの70周年、キャプテンスタッグは来年が50周年の「お互いの区切りの年にこういうコラボができたのは良いタイミング」と喜んだ。
高校の先輩後輩にあたる先代の加藤社長と数年前に「何かできたらいいね」と話していた。そこへちょうどトレーラーの話があり、今回のコラボにつながった。新潟県アウトドア協会を立ち上げて、アウトドア文化を業界全体で盛り上げて取り組みでいる。
「ものづくりのまち同士でタッグを組んで、アウトドア文化を一緒に盛り上げていきたいなという意思が合致して、今回のコラボになった。お互いのブランドのこだわりが入っている」とアピールした。
加藤モーターがトレーラーを製造するのは10年ぶりになる。加藤社長は、かつては円高で欧米のトレーラーが日本で製造するより安かったが、今は円安で値上がりしたため、国内生産で勝負できるようになってきたという背景を話した。
また、10年前に製造したトレーラーは防災用で、キャンピングトレーラーの製造は今回が初めて。そこで海外向けの大きなトレーラーを日本の狭い道路や日本の天候、キャンプの事情などを考慮し、ボディサイズなどをキャプテンスタッグと一緒に考えていった。
一方「パブロ」について加藤社長は、キャンピングカー市場は一時よりピークアウトし、車両本体価格が上がり、購買層が高めになってきているが、「話題づくりや、コラボは自分もデザインしていてワクワクすっるものがあり、そういう意味で市場を刺激していけたらいい」と意気込む。
キャンプ場で「あ、ピカソの絵が入ってるんだ」となると、周りからも芸術的で気持ちのいいものになり、「キャンピングカーにまったくなかった芸術という要素にも一石を投じられればと思う」と期待していた。問い合わせは加藤モーター(0256-62-6516)。