金属加工の一大産地である新潟県燕三条地域のものづくりとその流通を支える商社機能を全国に発信するBtoB見本市「燕三条トレードショウ2025」が25、26日の2日間、燕三条地場産業振興センターで開かれている。ことしで9回目の開催になり、厳しい経済環境や補助金ゼロという逆風を乗り越え、95社・団体が87ブースに出展し、取り扱い商品を企業が最新鋭の新製品を一堂に展示。来場した国内外のバイヤーや関係者に対し、地域が培ってきた卓越した技術力と職人魂をアピールしている。
25日は開会式でテープカットを行って開幕した。開会式で主催者を代表して燕三条トレードショウ実行委員長の田野隆夫燕商工会議所会頭は開会あいさつで、トレードショウを立ち上げた経緯を振り返った。
かつて首都圏での展示会出展が主流で、地元の小規模事業者が高い経費負担を抑えるため、地元で商品を披露できる場としてスタートしたと話した。
ことしはのこれまでの国からの補助金がゼロになり、政府は「地方創生と言っているが、現実には自分の御身を守るために地方のことはかまっていられないというのが実態ではないか」と厳しく指摘した。
そうしたなかでも「地方は負けていられない」。会場の出展企業を見学すると「消費者の若返りに対応した、非常に変化の激しい時代に対応する新製品が遺憾なく展示してある」と成果を評価し、産業界が自力で生き残る決意を示した。
来賓の燕市役所に出向したこともある経済産業省関東経済産業局・小澤元樹産業部長は、燕三条地域を「金属加工製品において日本有数、世界有数の集積度合い、そして高品質商品の集まりの産地」と称賛。メーカー、問屋、首都圏との強固なサプライチェーンに加え、近年は三条市立大学の開学で産学官金が連携した支援体制が強みと述べた。
トランプ関税の影響など厳しい状況に直面していることを認識し、政府全体で進める賃上げと投資の推進に加え、下請法の改正(取引適正化法)による適正な価格転嫁の推進、生産性向上のための投資支援に尽力すると述べた。
鈴木力燕市長は、開会式後のイベントが10月22日の市長辞職前最後の公の場になることにもふれ、地域での開催意義を強調。「この製品がどんな地域、どんな職人がどんな思いでつくられているか、その物語をしっかり理解してもらうことが大切」と述べ、地元に来場を促すことが重要であると語った。
滝沢亮市長三条市長の代理で米持克広商工課長は、トレードショウの役割は「国内外問わず燕三条地域の強みを伝え、新たな受発注・市場の改革につながる極めて大きいもの」とし、地域のきずなを土台に経済の好循環を強固にしていくことに期待した。
テープカットを行って開場。ことしの特別展示は「イチ推し商品」がテーマで、出展各社の自慢の製品を来場者が投票で評価し、人気投票でグランプリを決定する。
投票者にはオリジナルタンブラーが抽選でプレゼントし、来場者にとっても参加型の企画。約50社がイチオシ商品に参加、展示しているので、会場全体の出展内容の縮図のようにも機能している。
トレードショウは、このあと「工場の祭典」、「青空即売会」、「ものづくりメッセ」と続く、燕三条の秋の産業イベントの先陣を切る。昨年は約2,000人が来場している。