15年半の市長職にピリオド 鈴木力燕市長が退任 市職員らが涙と拍手で見送る (2025.10.23)

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15年半にわたり新潟県燕市の市政を牽引してきた鈴木力市長(65)が22日、新たな市長がスムーズなスタートを切れるようにと任期を半年残して退任した。22日、燕市役所で行われた退任式には、多くの職員が参列し、長年の功績をたたえ、惜別と感謝の拍手を送った。

退任式を終えて市役所を出る鈴木市長
退任式を終えて市役所を出る鈴木市長

 拍手に包まれて入場した鈴木市長に遠藤一真副市長から職員一同と連名の感謝状を「高い志と熱意をもって私たちを導いてくださった」などと読み上げて鈴木市長に手渡した。

遠藤副市長は秘書として鈴木市長の初登庁を迎え副市長として退任を迎える

遠藤副市長はあいさつで、「10月22日が来てほしくないと思っていた」と胸の内を明かした。鈴木市政で「燕市のブランドイメージは全国的に大きく変わった」と始めた。

燕市屋内こども遊戯施設「うさぎもちハレラテつばめ」、「道の駅 SORAIRO 国上」、燕市産業史料館などの整備や、燕のものづくり、グルメの発信などを通じて、燕市がメディアで取り上げられる機会が格段に増えたことを紹介。「燕市ってすごい、燕市に住んでみたい、住み続けたいという市民や市外の方が多くなった」と人口減少率の抑制や移住者増加に確かな成果を示した。

遠藤副市長から鈴木市緒に感謝状
遠藤副市長から鈴木市緒に感謝状

鈴木市長の市長就任前後の思いを振り返り、秘書として鈴木市長を迎えた。鮮明に残っている3つのシーンとして、東日本大震災での被災者の受け入れ、震災直後の成人式決行、コロナ禍での独自支援策「フェニックス11プラス」など、数々の難局を指揮した市長の姿を回顧した。

「大きな困難、苦難に遭遇した時ほど、トップとしての使命感がふつふつと湧いてきて、乗り越えるために果敢に立ち向かっていかれた」。

職員の勉強会、鈴木市長が塾長を務めた「支役所長善館」の門下生は延べ 164人に及んだ。「これまでいただいた数々の気づきや教えは、鈴木市長が退任されても職員のなかで今後ずっと引き継いでいくと確信している」。

「あすから鈴木市長にお会いできない現実は、まだ信じられない」と鈴木市長の存在の大きさを強調。初登庁の朝、秘書としてワゴン車に同乗し、市長を自宅まで迎えに行った。

遠藤副市長
遠藤副市長

「きょう、この後、この部屋から玄関までお見送りさせていただくこと、何か運命のようなものを感じずにはいられない。重ね重ね長い間、本当に本当にお疲れさまでした」。何度も声を震わせて言葉に詰まりながら話し、鈴木市長も目を潤ませ鼻をすすることもあった。

小林教育長「子どもたちに鈴木イズムの継承を」

小林靖直教育長は「鈴木市長の素晴らしいリーダーシップを学ばせていただき、たくさんのことを勉強させていただいた」と感謝した。成人式の式辞を毎年、時事ネタをもとに自分の言葉で書き上げた鈴木市長、そして長善館学習塾の閉校式で子どもたちの成長ぶりに涙ぐむ鈴木市長、コンクールや絵画展で時間をかけて記念撮影に温かに応じる鈴木市長。「鈴木市長の真髄が、鈴木市長の人となりが体現されている」と述べた。

子どもたちからの感謝状を小林教育長が子どもたちに代わって「あなたは燕市長のお仕事において多大な貢献をされました。よって、ここに心から敬意と感謝の意を表します」と読み上げて鈴木市長に手渡した。

そして「子どもたちが未来に向かって、鈴木イズムを継承しながら、これからもその教育行政を進めてまいりたい」と誓った。

小林教育長
小林教育長

鈴木市長は職員に3つの仕事のスタイルを求める

最後に鈴木市長があいさつした。「49歳の若さで市長になったわたしが、曲がりなりにも4期15年の重責を果たすことができたのは、職員の皆さんがともに悩み、ともに考え、ともに行動してくれたから」と感謝した。

市長就任以来、職員に求めた3つの仕事に取り組む姿勢を話した。一つ目は市民目線に立って解決すべき行政課題を発見し、独自の施策を立案していく政策集団に変わっていこう。二つ目は前例にとらわらず大胆に発想し、繊細に検討したうえでコスト意識とスピード感をもって行動しよう。三つ目は施策の必要性や目的、費用対効果などを市民の皆さんに分かりやすく説明していく。

地域間競争の時代が本格化する未来に向かって燕市がその先頭に立つことを目指そうと、この3つの仕事スタイルを求めた。そのために職員に次から次へと課題や宿題を与えた。それは千本ノックと称された。

しかし当初は年上の部課長が反発したり、無視したりというもあったことを吐露した。ふるさと納税の導入も制度の趣旨と違うと最初は反対され、内部調整が整わず、記者会見項目から急きょ削除したこともあった。「つば九郎米」の販売もJAが引き受けるはずがないと担当課になかなか取り組んでもらえなかった。

職員の能力は県内トップの水準に

鈴木市長
鈴木市長

職員のプレゼン能力は「県内トップの水準になったと言って過言ではない」と言い切った。新型コロナウイルス対策のフェニックス11プラスでのスピーディーに行動する職員は「本当に素晴らしい姿だった。県下一、いや、日本トップクラスの政策を実行できた」と誇り、自信をもつよう求めた。

市長の交代について心配や不安を抱いている人もいるだろうが、不安は組織に緊張感が戻ることにつながり、「自身の長い在職期間で市役所に蔓延し始めているマンネリ化や甘い依頼心を取り除く絶好の機会だと考えよう」。

実業家・岩切章太郎の「心配するな、それよりも工夫せよ」の言葉を贈った。「皆さんから新しい市長の行動や意思決定に影響を与え、組織全体の目標達成に貢献する部下からのリーダーシップを行う気概をもつことが大切」。新市長に提案し、ときには間違いを忠告することも必要とした。

市役所を出る
市役所を出る

新市長就任に「悪魔のささやきではなく天使のささやきに耳を傾けてほしい」

「人間の心には、天使のささやきと悪魔のささやきが時々、交錯する。皆さんの心の中に、新しい市長に対してお手並み拝見、どうぞ勝手にやれるもんならやってみろと突き放そうという悪魔のささやきが芽生えていないか。それは燕市全体にとって、市民にとって良くない事態、結果を招きかねない。どうか悪魔のささやきに耳を傾けるのではなく、新市長と一緒に燕市の発展のために頑張れと、天使のささやきに耳を傾けてほしい」。

努力するのは職員だけではない。この日の午前中に佐野新市長に愛読書を渡し、市長としての心構えについて助言した。「組織は人の長所を発し、短所を中和させてくれるためにある」というオーストリア人の経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を引用し、「新市長のもと、組織の力でもっと輝く燕市をつくってほしい」と期待した。

結びに「新たなリーダーのもとで、職員の皆さんがその能力を最大限に発揮することにより、わが愛する燕市がさらなる飛躍を遂げていくことを期待する」とし、最後は「皆さんと一緒に仕事ができて本当に幸せでした」と締めくくり、声を震わせた。

言葉を終えると、大きな拍手が会場を包み、目を赤くする職員も多かった。花束を受け取って鈴木市長が会場のつばめホールを出ると、さらにエントランスには庁内のたくさんの職員や市民も見送りに集まった。鈴木市長は笑顔で最後の公用車に乗り込んだ。

市民有志の鈴木市長への感謝の会で妻に花束

ネクストジェネレーションタウンで妻昭子さんに花束を手渡す鈴木市長
ネクストジェネレーションタウンで妻昭子さんに花束を手渡す鈴木市長

このあと市役所近くの次世代ガレージハウスタウン「ネクストジェネレーションタウン」で有志が鈴木市長に「ありがとう」を直接、伝える場を設けた。

鈴木市長は夫婦で出席して市長生活を支えてくれた妻昭子さんに花束を渡す場面も。集まった市民と記念写真に写るなど市長としての最後の時間を過ごしていた。


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