新潟県・燕三条地域のものづくりを発信するオープンファクトリーイベント「燕三条工場の祭典 2025」(秋元哲平実行委員長)を締めくくる「2025燕三条工場サミット」が18日、(株)青芳(燕市小池)で開かれた。滝沢亮三条市長をはじめ、関係者や学生、行政職員、出展企業らが参加し、ことしの成果報告や産業観光に関する講演、次の10年に向けた新たな提言発表が行われ、参加企業数、来場者数、販売金額とも過去最高の三冠となったことを報告した。


2013年に始まった燕三条 工場の祭典は、燕三条地域の職人技や工場の魅力を体験できるイベントとして、今では全国から注目を集める一大産業観光イベントに成長した。13回目のことしは10月2日から5日まで開かれ、「五感で魅せるものづくり」をテーマに過去最多の133社が参加。4日間の来場者数は6万2千人を超え、販売額も5,769万円といずれも過去最高を更新した。

サミットでは、開会宣言の後、ことしの成果報告や実行委員会が開催日までに取り組んできた事業をひとつひとつ紹介し、成果を発表した。会場内には「未来」「発表」「交流」の3つのパビリオンを設け、来場者が自由に巡って展示や発表を楽しめる構成。飲食出店もあり終始、和かだった。

基調講演では、燕三条の産業観光の未来考えるをテーマに公益財団法人日本観光振興協会の最明仁理事長、株式会社玉川堂代表取締役7代目の玉川基行社長の2人が講演したあと、秋元実行委員長を交えて3人のトークセッションで聴講者を含め、このまちの産業観光の未来を語った。

終盤では、秋元実行委員長から燕三条の産業観光が目指す次の10年のビジョンとして「MakerScape(メーカースケープ)」という新提言を発表した。「Maker(つくり手)」が生み出す唯一無二の「Scape(風景)」を意味する造語を、これからの燕三条を象徴する新しいキーワードとした。

秋元氏は「これまでの12年は工場を開くことで地域を変えてきた。これからの10年は、観光地を目指すのではなく、燕三条の職人たちがつくり出す光景を、地域全体で守り、育てていきたい」と語り、来場者からは大きな拍手が起こった。