19日行われた新潟県燕市の市長選で初当選した佐野大輔市長が23日、市長に就任した。大勢の職員らに迎えられて初登庁し、職員に訓示のあと、さっそく初仕事で燕三条ものづくりメッセの開会式に出席した。

佐野市長は秋晴れの下、午前8時20分に公用車で登庁した。母と姉や支持者らも訪れ、大勢の職員が市役所エントランスに集まった。拍手に包まれるなか、佐野市長は職員から花束を受け取ると、その足で市長室へ向かった。
市長のいすに座り、全国市長会の市長記章を着けてもらった。「昔、仕事で遊びで座ったことはあるが、まさか自分が座るとは。いやー、恐縮です。全然、慣れない」と照れ笑いした。
職員らの歓迎に「恐れ多いと思いながら重責をあらためて自覚できる」、「支持者も来てくれ、ただただ、感謝としっかり燕のために取り組みたいという思い」とかみしめるように話した。

職員への訓示で、佐野市長は「皆さま、おはようございます。本日より燕市長として就任させていただきます。あらためまして佐野大輔と申します。皆さま、よろしくお願いいたします」と始めた。
前日、市長職を4期15年半にわたり務めた鈴木力前市長が退任した。新しい市長に心配や不安を感じる職員も多いだどう、鈴木前市長の大きな穴は埋められないが、「大きな柱を失ったからこそ、職員と一緒になって選挙のなかでも掲げた“みんなでつくる燕市”にしっかりと取り組んでいきたい」と話した。
前日、鈴木前市長から預かった経営学の古典『ビジョナリーカンパニー 2 -飛躍の法則』(日経BP刊)を示し、そのなかには「謙虚さと不屈の精神」と鈴木前市長が取り組んで通りのことが書いてあった。

選挙戦のイメージカラーのピンクのネクタイではなく、2009年に燕市役所に入庁するときに、指導にあたった燕中学校剣道部の教え子たちからプレゼントしてもらったドット柄の紺のネクタイを締めた。
10年間、市役所で働いたが、「初心に返ってしっかりと燕市政に取り組みたい」という気持ちをネクタイで表現した。
市長は市政のトップだが、職員の先頭に立って燕市民に燕市政を伝え、理解して状況を把握してもらう。一方でいちばん後ろから職員を支え、責任を取る市長になる。遠藤一真副市長と小林靖直教育長には続投を承諾してもらった。

これからいろんなアイデアを職員に投げかけていくが、職員だからこそ、違うと思えば遠慮なく指摘してほしいと求めた。
「燕市民が、燕市に住む人が、燕市で働く人が、未来をつくっていく燕市の子どもたちが、燕市に住んで良かった、燕市で暮らして良かった、燕市に生まれて良かったと思ってもらえる、そんなまちを目指して取り組んでいく」として職員の協力を求め、「4年間の任期、しっかりとこの燕市のために働きたい」と約束した。

その後の囲み取材では「市政を担っていくことの重責を、万歳が終わった時から感じてはいたけど、よりそこが具体的に見えてきて、あの、重さを日に日にどんどんと感じている」。
柏崎刈羽原発の再稼働については「県の対応をまだ把握できてない部分も含めて、これからいろんなレクを受けて自分の方向性を示していきたい」とした。

市民へのメッセージを「多くの皆さんとふれあえる機会をつくりたいでの、その時は気軽に声をかけてほしい。ぜひみんなでこの燕市をよりよい町につくっていきたいと思うので、よろしくお願いします」と述べた。
このあと燕三条地場産業振興センターへ移動し、23、24日の2日間開かれている燕三条ものづくりメッセの開会式に出席。共催団体代表、同センター副理事長としてあいさつした。

民間企業に勤め、燕商工会議所青年部に所属した経験から、かかわった地域の企業や経営者は多い。会場を一巡して出展者とあいさつしただけで、用意したばかりの百枚の名刺がなくなっていた。