新潟県三条市に本社を置くスタートアップ企業、TIFFIN(ティフィン)株式会社(加藤健資代表取締役・新潟県三条市石上1)は、各地でクマの目撃や被害が相次ぐ状況を受けて、AIの画像解析よる人物同一検知技術「AIVIS(アイビス)」を応用したクマ検知カメラを開発。11月初旬に正式リリースしたのにあわせて三条市に5台を寄贈した。

TIFFINは2023年10月設立のベンチャー企業で、親会社はキャンピングカービルダーの(有)加藤モーター(加藤健資代表取締役・新潟県燕市小高)。AIや特許ライセンス事業を手がけ、加藤代表はすでに40件以上の特許を出願、保有する。同「テクノロジーの力で地域社会に貢献する」ことを企業理念に掲げ、今回の寄贈もその一環であもる。
「AIVIS」は、もともと高齢者の徘徊(はいかい)検知や子どもの帰宅通知など、人の行動をAIが学習して異常を検知する技術として開発した。ことしになってクマの出没が急激に増加し、人を守るための技術を、熊から人を守る技術に転用した。4Kの高精細カメラを使って約95%の精度でクマを認識できる。
AIがクマの姿や動きを自動で判別し、リアルタイムで警報をメール送信できる。24時間監視が可能で、クラウドを介してデータを共有できる。

クマの検知にとどまらず、取得した特許技術で、個体の識別が可能なAIエンジンも搭載する。毛並みや体格から特定の熊を識別。再び同じ個体が検知されたら、以前と同じクマが検知されたと通知される。これにより熊の行動範囲の把握や、より的確な対策が可能になるという。
山間部や住宅地でのクマ被害対策として自治体へ施設への導入が期待される。費用はモデルによって月額3,800円〜19,800円。既存の防犯システムとも柔軟に連携できる。
10日、TIFFINの鵜拓実CMOが市役所を訪れ、滝沢亮市長にAIVISを紹介した。条市では、猟友会など関係機関と連携して設置場所や通知先の範囲など最適な運用方法を検討し、カメラを設置する最適な場所を選定する。設置後に共同で実証実験を行い、システムの精度、効果を確認し、必要に応じて改善を図る。