三条商工会議所青年部(YEG・山田賢副会長)と「燕三条 工場の祭典」実行委員会(秋元哲平実行委員長)は、2025年12月5日から8日までスペイン・バルセロナで開催される「MANGA BARCELONA(マンガ・バルセロナ) 2025」に合同出展する。燕三条地域の高品質な製品と、その背景にある文化や伝統をヨーロッパの人たちに伝えることを目的に、現地で町工場の臨場感を再現したブース展示やVR体験、実演販売などを行う。

この合同事業について12日、主催2団体が記者会見した。三条YEGはこれまでもニューヨーク、フランス、ロンドンなど海外事業に取り組んできた。今回は未開拓の地をと検索し、MANGA BARCELONAを見つけた。
工場の祭典実行委員会は三条YEGと燕YEGで構成していることから、初めて工場の祭典実行委員会との合同事業「つたえる TSUBAME SANJO in バルセロナ」として行うことにした。
MANGA BARCELONAは毎年16万人以上が来場する漫画やアニメを中心としたスペイン最大級の日本文化の祭典。昨年、新設された「NAGOMI(なごみ)パビリオン」では、日本の伝統文化や工芸品をテーマに本物の日本を体験できる場として注目を集め、4日間で26,000人が来場した。ものづくりのまちで知られる燕三条チームは、この「NAGOMI」エリアに出展し、金属加工技術や生活道具を通じて「つくる文化」を発信する。
秋元実行委員長は「ヨーロッパではロンドンやパリでの出展経験があるが、スペインは未開拓の地。ものづくりのまち燕三条を新たに知ってもらう好機にしたい」と語った。
現地では燕三条の町工場を再現したブースを設け、壁面には実際の工場写真を使用。職人の手仕事のようすや年月や使い込みが見てとれる壁紙を設置。包丁や鍋、金属加工品など21社の製品を展示・販売する。ブースのテーマは「臨場感」。「バルセロナに燕三条の工場をそのまま持っていくような体験を届けたい」と意気込む。
出展企業にはタダフサ、石鋸工業、レジエ、近藤製作所、山口マサコー木工、石崎剣山製作所、いづみ商会、Q×新潟県央工業高校など地域を代表する企業が名を連ねる。また、VR(仮想現実)を活用した映像体験では、実際の製造現場に入り込んだような没入感を演出し、訪問者が加工音や光、職人の動きを体感できるよう工夫する。

さらに、来場者が「本物にふれる」ことをテーマに、打刻、書道、生け花の3種類のワークショップも開催。体験後は自宅で楽しめるように土産として作品を持ち帰ることができる。これらの実演を通して、燕三条の「使う人と作る人が近い」文化を伝える。
売上目標は4日間で500万円。2019年に三条YEGがニューヨークで実施した事業では2日間で200万円を売り上げた実績があり、それを踏まえて設定した。
会場には三条YEGと工場の祭典実行委員会から合わせて19人で向かう。秋元委員長は「燕と三条が協力し、それぞれの視点から学び合う機会にしたい。新たな発見をまちづくりや地域産業の未来につなげたい」と話した。