25日行われた東京デフリンピックのバレーボール女子の決勝で、日本は3-0でトルコにストレート勝ちし、2大会ぶりの金メダルを獲得だ。日本代表の中越高校3年高橋朋伽(ほのか)選手の出身地、新潟県三条市ではパブリックビューイングが行われ、地元選手の活躍で歓喜にわいた。

デフリンピックは4年に1度開かれる聴覚障害者スポーツの国際的な総合スポーツの祭典で、今大会は東京で開かれている。
バレーボール女子で日本は2007年のローマ大会(イタリア)と17年のサムスン大会(トルコ)で金メダルに輝いている強豪。今大会は予選リーグでケニア、アメリカ、イタリアに全勝し、決勝トーナメントでは準々決勝でカナダを3-0、準決勝でウクライナを3-2で下し、決勝に進出した。

高橋選手の最大の武器はサーブ。スタメンからはずれてサーバーと入れ替わりにコートに立つことが多く、決勝の第1セットは15-7の場面で初めてコートに立った。
高橋選手のサーブでサービスエース2本を不含む6連続得点をあげて21-7と大きく引き離し、日本に流れを呼び込んだ。25-9で第1セットをものにした。
その後はリードが入れ替わる一進一退の手に汗握る接戦が続いたが、第2セットは25-21、第3セットは25-20で日本が3回目の金メダルを獲得。高橋選手は勝利に大きく貢献した。

三条市でのパブリックビューイングは、市役所地下1階「ちかしょく」で行われた。滝沢亮市長や高橋さんの知人、スポーツ関係者、市民、職員ら数十人が観戦。スティックバルーンを打ち鳴らし、日本が得点を上げるたびに歓声をあげて応援した。
日本の勝利が決まった瞬間、滝沢市長も思わず立ち上がり、喜びを爆発させ、自然と全員で「万歳!」。高橋さんの祖母、高橋ひとみさん(72)=三条市=は何度も涙を手でぬぐった。
滝沢市長はひとみさんと握手して「(高橋選手は)きょうもずーっと試合中は笑顔で」と話すと、ひとみさんは「ありがとうございます」と頭を下げた。高橋選手は小学校3年生からバレーボールを始め、2年ほど前から徐々に耳が聞こえなくなり、今はまったく聞こえなくなった。

ひとみさんは「よく頑張りました」と孫の活躍をたたえ、「突然、耳が聞こえなくなって、みんな周りの人が助けてくれて本当に感謝です」、「周りの力がいちばんです。ありがとうございました」と感謝の言葉を繰り返した。
滝沢市長は「高橋選手とお会いする機会があったら、本当におめでとうございました。そしてこうして多くの皆さんと一緒に金メダルの瞬間を応援してましたよとお伝えしたい」と再会できる日を心待ちにした。

三条市聴覚障がい者協会の長野吉明会長は「皆さんが応援に来てくれ、本当にありがとうございました。とてもうれしかったです」と手話で感謝の言葉を述べた。
本成寺中学校で同級生だった高校3年生の本間愛渚(まな)さん(18)と齊藤虹色(にいろ)さん(18)が応援に駆けつけた。2人は「いつもわたしたちに見せるのとは違うかっこいい姿ですごく感動した」、「試合になるとめちゃかっこよくてすごいなって思った」、「試合を楽しんでる感じで、見てて楽しくなった」と世界の舞台で活躍した友だちの姿に大興奮だった。