11月1日から3日まで開かれた「第23回全国中学生都道府県対抗野球大会 in 伊豆」で新潟県選抜が初優勝を飾った。トーナメント4試合すべてで新潟県選抜は完封劇を披露し、完全試合も達成した。そのエースとして背番号「1」を背負ってマウンドに立ったのが、燕市立吉田中学校3年の浅井隼さん(15)=吉田ベースボールクラブ=。MVPに選出され、2試合でヒーローインタビューを受けるなど、まさに今大会の顔となる活躍で輝いた。

この大会は、選抜チームによる都道府県対抗戦という立ち位置。ブロック大会を勝ち進んだ全国16チームがトーナメントで優勝を争った。新潟県選抜は北信越ブロックで優勝し、長野県の上伊那プリポステラスとともに出場した。
新潟県選抜は奈良の大和クラブに1−0、愛知のホワイトベアーズベースボールクラブにタイブレークで1−0で勝ち、準決勝では東京のオール東東京を6−0、しかも驚きの完全試合で下した。
決勝では岐阜のオール岐阜に1−0で勝利した。継投した浅井さんは最終回を3者連続三振に仕留め、マウンド上で優勝の瞬間を味わった。大会を振り返ると自分で招いた一死満塁のピンチを連続三振で無失点で切り抜けた場面もあり、当然のMVPだった。

浅井さんは3日、燕市の佐野大輔市長を表敬訪問した。小学校1年のときに母とキャッチボールをしていたところを燕市の学童野球チーム「吉小キッズ」の先輩に一緒にやろうと誘われて入団、本格的に野球を始めた。以来、ずっと捕手を任されてきたが、ことしの春先にチームのエースがけがをしたのことから、捕手を続けたいという思いはありながら投手に転向した
急造投手としてスタートを切ったが、そもそも強肩で、身長は173cmと体格にも恵まれている。転向から2カ月の練習で潜在能力が一気に開花した。球速は10km/hも向上して135km/hに。今は体重を増やすトレーニングにも励み、さらなる球速アップが期待される。
浅井さんは「捕手も楽しいけれど、投手の方がみんなからの信頼を感じられ、期待に応えるのが楽しい」と語る。

高校では軟式野球に挑む。すでに強豪校への進学も決まっている。すでに硬式球での練習を始め、球の滑りなど軟式との違いの難しさを実感している。打者より投手に専念したい考えで、今後は投手一本で勝負していく覚悟だ。
また、燕市主催の野球教室で、東京ヤクルトスワローズの石川雅規選手らプロ野球選手の指導を受けたエピソードも話した。また、MVPに贈られた「志の鐘」を持参し、佐野市長にも鳴らしてもらった。
高校でも野球を続け、甲子園を目指すと語り、さの先は「プロに行きたい」と力強く答えた。たとえプロになれなくても、何らかの形で野球に携わり続けたいと夢を描いている。