ホームセンター大手の株式会社コメリ(捧雄一代表取締役社長・新潟県新潟市南区)は、新潟市西区山田に1993年に開店した「コメリハード&グリーン黒埼店」を移転増床した「コメリパワー黒埼店」(武藤達也店長)を12日、開店する。ペットのトリミングやペットホテルのサービスを充実、パワー店で初めて大型機械コーナーを設け、プロの職人から一般家庭まであらゆる「困った」に応える総合拠点を目指すとともに、店内にアートギャラリー「雪梁舎(せつりょうしゃ)ギャラリー」を併設する業界でも異例の試みでも注目される。

約2,800坪を誇る広大な売り場に、建築資材をクレーンで積み込めるほどの規模を持つ資材館を設置。鉄筋やセメント、木材などを大量に在庫し、まとめ買いに応えてプロのバックアップする。これまで分散していた大型機械をコーナーに集約し、専門的なニーズにもワンストップで対応できる体制を整えた。
購入頻度の低い専門工具や農業機械を手軽に利用したいという声に応え、レンタルサービスを拡充した。インパクトドライバーから耕運機まで、幅広い機材を短時間から借りられる。業者からの需要が高いアパートメンテナンス用品の売り場を新設し、トイレや洗面台の設備交換にすぐに対応できる在庫を確保した。

ペットコーナーは、コメリの同規模の店舗の中でも最大級の売り場面積を確保した。生体販売に加え、トリミングやペットホテルといった専門サービスを提供する。園芸館では季節の花々を豊富に取りそろえ、フラワーラッピングにも対応。旧店舗では別棟だったインテリア・寝具専門の「アテーナ」を店内に統合し、ワンフロアで快適に買い物できる。

本格的な降雪期を前に、除雪用品の品ぞろえはとくに強化した。されている。スノーダンプやスコップを大量に在庫する。32年前にコメリハード&グリーン黒埼店の初代店長に就いた捧社長は、「この店が成長し、お客様に支持されて拡大できたことを非常にうれしく思う」と話した。

今回のリニューアルで最も画期的な試みが、店内に常設された「雪梁舎ギャラリー」だ。コメリ創業者の捧賢一さんは、公益財団法人美術育成財団雪梁舎を設立し、コメリハード&グリーン黒埼店そばに雪梁舎美術館を開館。1999年から若い精鋭作家の発掘を目的に全国絵画公募展「雪梁舎フィレンツェ賞展」を開いている。
雪梁舎フィレンツェ賞展受賞者でつくる「風の会」というグループがあり、メンバーは115人。そのメンバーの作品30点ほどを展示、販売している。捧社長は、美術作品を飾ることで住環境をより良くし、潤いを与えるのが目的で、ギャラリーをニーズがあるのに共有されていない「真空マーケット」への挑戦と位置づける。

欧米に比べて日本ではアートによる室内装飾が一般化していない現状に対し、1万円台から購入できる原画を提供することで、アートをより身近なものにしたい考え。若手作家に作品発表と流通の機会を提供する支援にもつながり、文化の普及と芸術家の育成という好循環を生み出すことに期待している。