イタリア最高峰ジェラート大会「コッパ・ディ・オーロ」を制した三条市・ジェラテリアココの佐久間康之さん 日本人初優勝どころかアジア勢初、初出場優勝は初と記録ずくめの偉業 (2025.12.14)

取材依頼・情報提供はこちら

イタリアで12月1日、2日と開かれた世界的なジェラート大会「コッパ・ディ・オーロ(Coppa d'Oro)」で優勝した新潟県三条市にあるジェラート店「ジェラテリアココ」のオーナー佐久間康之さん(43)。日本人では初めの優勝どころか。アジア勢初、さらには初出場での優勝は大会史上初と記録ずくめで、来店客もそれ以前2倍以上に増え、世界のジェラートの本場で頂点に立った日本人職人の誕生の反響を大きく、国内外のジェラート業界から驚きと称賛の声が相次いでいる。

「ジェラテリアココ」の佐久間さん
「ジェラテリアココ」の佐久間さん

この大会はジェラート発祥の地、イタリアで国際ジェラート職人展(MIG)の一部として行われている、最も歴史と権威がある国際的なジェラートコンテストで、「ジェラートのオスカー」とも呼ばれる。今回で第55回。味や香り、食感、独創性、技術力などを総合的に評価する。実力主義の舞台に世界各国のトップ職人が集う。

ことしは約100人が出場した。テーマはマンゴーの水系ソルベ(ジェラート)。日本からは佐久間さんを含め8人が出場した。佐久間さんは予選審査9位でもう1人の日本人とともに決勝に進出した。

「1位に私の名前が呼ばれたのは、何事にも代え難いうれしさ。人生でいちばんうれしいと言っても過言ではない。日本人が追い求めてきたトロフィーを私が手に入れてみんなに見せられたのは、とてつもなく大きくうれしいこと」と、家族をはじめ店のスタッフやジェラートを一緒に学んだ仲間に感謝しかない。

「コッパ・ディ・オーロ」で優勝トロフィーを受ける
「コッパ・ディ・オーロ」で優勝トロフィーを受ける

結果発表前から佐久間さんのジェラートに対する評価の高さが耳に届いた。「自分の実力では最高のものを作ったと思うが、審査員の好みもある。もうやりきったという感覚はあったが、優勝するとまでは思ってなかった」。

今回は全国の仲間4人と大会を目指した。昨年から目標に掲げ、テーマがマンゴーと発表になってから毎日のように情報交換した。以前からマンゴーのジェラートを作っていたが、大会用に春先、レシピをゼロからつくり直した。大会までの約8カ月間、ほぼ毎日、研究してきた。「研究は誰よりもしてた」と自負もある。

「入賞できれば十分に意義がある」と考えて挑んだ3回目の国際大会。「挑戦者として学ぶ気持ちだった。優勝を目指すというより、評価から学ぶ姿勢だった」。

世界一になったマンゴージェラート
世界一になったマンゴージェラート

イタリア人が圧倒的に強く、初参加者が優勝することは、まずないと言われてきた。その常識を覆したのが佐久間さんは、偉業というほかない。

佐久間さんは、父が経営する豆腐製造の佐久間食品(株)=三条市=で働きながら、2017年オープンした農産物直売所「ただいまーと」のテナントとして「ジェラテリアココ」をオープンした。18年に当時のスタッフ3人とともに日本ジェラート協会の資格「ジェラートマエストロ」を同時取得し、県内では初の事例となった。

翌19年には佐久間食品を退職し、覚悟を決めてジェラート一本に向かった。転機となったのはコロナ禍だった。営業が制限されるなか、「このままでは終われない。世界レベルに行こう」と決意。近代的なジェラートの研究を始めた。

MIGの公式サイトに掲載された「コッパ・ディ・オーロ」のリポート
MIGの公式サイトに掲載された「コッパ・ディ・オーロ」のリポート

22年ごろから座学も含めた体系的な学びに取りかかった。それまでは先輩職人の話を聞いたり、動画を見たりする独学中心だったが、理論的な理解を深め、味の設計や素材の組み合わせを根本から見直した。

「縦軸と横軸、奥行きがある。研究してもしても尽きない」。素材の配合や温度管理、スパイスの使い方など、ジェラートづくりは科学と感覚の両立が求められる。23年には初めてイタリアの大会に挑戦し、世界のトップレベルを肌で感じた。その経験が、今回の優勝へとつながった。

優勝の栄誉は店にも大きな変化をもたらした。来店客数は倍増し、世界一の称号の影響力を実感。店の前には優勝トロフィーを飾っている。

店内に優勝トロフィーを展示
店内に優勝トロフィーを展示

業界内での反響も大きい。同世代の若手職人からは羨望の声とともに祝福された。年齢の近い仲間たちと切磋琢磨しながら、世界に挑む姿勢を共有してきた。

今後については「当面は手を広げず、ここでしっかりやりたい」と語る。冷凍ストッカーの増設など設備面の課題はあるが、焦りはない。毎年テーマが異なる世界大会を見据え、研究はこれからも続く。

燕三条の一角にある小さなジェラテリアから生まれた、世界一のジェラート。派手な演出よりも、日々の積み重ねを大切にする職人の姿勢が、国境を越えて評価された。その挑戦は、すでに次の一歩へと向かっている。 

Gelateria COCO
関連リンク

spacer コンテンツ
spacer ショップ検索

公共施設も検索可能
分類別検索はここ

...詳細


燕三条のお悔やみ情報「縁をむすぶ」
三条パール金属スタジアム・サンファーム三条
公益財団法人燕西蒲勤労者福祉サービスセンター「タンポポ」
外山産業グループ 外山産業、外山工業、グリーンライフ、メッツ
共栄鍛工所は“鍛造”により製品を製造するメーカーです。製品の設計から完成に至るまで一貫した生産ラインのもと、鍛造一筋に積み重ねてきた独自の技術でものづくりを行っています。
損害保険・生命保険・資産運用のことなら株式会社エフピーエム
スポンサードリンク

■Copyright (C) kenoh.com Allrights Reserved.
三条・燕、県央の情報「ケンオー・ドットコム」kenoh.com