新潟県燕市は15日、JR燕駅から徒歩5分圏内の燕庁舎2階に「燕庁舎学習室」をオープンした。水道局の移転で生まれた旧執務室を活用。実際に利用する学生の意見を取り入れて整備した。開館初日は整備のワークショップに参加した高校生らによるオープニングセレモニーも開かれた。

学習室の整備は、市が若者向けの学習環境を充実させようと企画した。市内の高校生でつくる「あちあそび部」のメンバーをはじめ、公募で集まった高校生らが4月から計3回のワークショップで学習室の青写真を描いた。
「どんな学習空間が必要か」、「どんなルールなら使いやすいか」をテーマに議論を深めた。高校生自身がゾーニングや設備、運営方法まで検討し、その意見がコンセプトやルール設計に反映した。

ワークショップでは、学習室に求める要素は「 集中する空間と、リラックスしながら勉強する空間を分ける」「音を出せる個室空間がほしい」「緑のある空間にしたい」の3つを抽出した。
年末年始を除き開館し、管理人が常駐する。開館時間は、部活動後でも利用しやすいように、燕駅の利用も考慮して平日は午後4時から9時半まで、休日は午前9時から午後9時半までにした。

水道局の執務室だった部屋は約450平方メートルあり、全体で約40席を確保。内部は集中して学べる「ソロエリア」、友人同士で利用できる「グループエリア」、音読やプレゼン練習が可能な予約制の「フリールーム」に分かれる。机やいすの種類、床の色分けによってエリアの特性を明確化。ネット環境も整備した。

内装には「まちとのコラボレーション」も盛り込んだ。観葉植物やドライフラワーは学生が製作した。ものづくりのまち燕を象徴する要素として、市内企業から提供を受けた抜き型もディスプレーに活用し、自分たちがかかわった成果を空間に残し、愛着を持って利用してほしいという思いも込めた。
セレモニーでは、ワークショップメンバー8人が完成までの経緯を説明した後、酒に代えて学習室で認められた飲み物や軽食を詰めたたるを使って、景気よく鏡割りも行った。
燕庁舎学習室は年末年始を除き開館。市は「学生目線でつくった新しい学びの場として、学習だけでなく交流の拠点としても活用してほしい」としている。