過疎化と高齢化が進む新潟県三条市の山手、下田地区に住む買い物が困難な高齢者の支援をと、「ファッションセンターしまむら北三条店」(早川久美店長・三条市荒町2)は19日、三条市と連携して下田地区の住民を対象に参加無料の買い物支援バスツアーを試験的に初めて行った。参加者からは「ひとりではなかなか来られない」、「みんなと一緒で楽しかった」と好評だった。

しまむらグループでは、2024年度から「しまサポ」と名付けた買い物支援サービスを全国で展開している。介護施設への出張販売と開店前の店舗を貸し切りにする買い物ツアーの2つが柱だ。
しかし、今回の北三条店の取り組みは、しまサポとは一線を画す店舗独自の実験的な試み。過疎化が進み、とくに冬場は豪雪で外出が困難になる下田地区の住民に「暖かい冬を迎えてほしい」という思いで企画した。三条市が掲げる「ひとりにならず、笑顔で安心して住みやすい地域づくり」への貢献も目指している。
この日のバスツアーには下田地区の濁沢、北五百川、荒沢、下飯田の4つの集落から、65歳から89歳までの25人が参加した。三条市地域包括支援センター下田が協力し、地域のふれあいサロンなどを通じて参加を呼びかけた。
この地域に住む人たちは、三条市だけでなく隣接する加茂市、栃尾市、見附市の商業地へ買い物に出掛けることも多い。
参加者はバスを降りるとさっそく買い物かごを手に店内をめぐり、冬物の衣料を中心に購入していた。レジに列をつくり、買った物を一度、バスに積み込んでからもう一度、店内に戻って買い物する人も。参加者の満足度は非常に高く、継続を望む声も聞かれた。

参加者は「ふだんは車を運転するが、ここまで来るのは道が不安。バスでみんなと一緒に行けるならと参加した。知人も参加すると聞いて心強かった」と話す。
別の参加者は「バスの中もにぎやかで、地域の方々といろいろな話ができてよかった」と、ちょっとしたバス旅行気分、移動時間も貴重な交流の機会となる副次的な効果もあった。
早川店長は「皆さまが気持ちよく買い物をしてくださり、笑顔を見られて本当にうれしい。非常に良い取り組みだった」と手応えを語った。この言わば「地域特化型」のバスツアーは、過疎化が進む石川県の店舗で能登半島地震後に特別に実施された事例があるという。
バスの費用も、しまむらが負担した。五十嵐恵ブロックマネージャーは、あくまで実験段階で今後の実施については白紙だが、「今回の結果を踏まえ、今後の展開を検討したい」と話していた。