新潟県燕市は20日、燕市分水武道館で令和7年度「ゆめみらいスポーツ教室」の剣道教室を開いた。市内の小中学生を対象に、世界大会で数々の実績を残してきた剣道家、末永真理さん(37)を講師に基礎から実戦につながる動きまでを学ぶ特別教室となった。

教室は午前は中学生、午後は小学生と対象を分けて開き、市内の剣道部や剣道クラブに所属する子どもたちが参加した。午前の中学生は燕中、吉田中、地蔵堂剣士会、燕武館道場から20人が参加した。
末長さんは大阪出身で、世界大会で団体優勝4回、個人で2位に輝いたこともある女子剣道のトップ選手。2021年まで大阪府警で活躍した現役の剣士だ。
保育園年長児から剣道を始めた佐野大輔市長にとっても、あこがれの選手。冒頭、佐野市長は「レジェンドに末長さんに来ていただいた」と紹介し、「剣道は勝ち負けだけでなく、礼儀や心の在り方を学べる武道。第一線で活躍してきた末永選手から技術だけでなく姿勢や考え方も吸収してほしい」と参加者に求めた。

末永さんは「新潟に来るのは、ことしに入ってから2回目。こうして皆さんと一緒に剣道ができることをうれしく思う。きょうは楽しみながら、しっかり学んでほしい」と話し、参加者と記念写真を撮ってからけいこした。
実技指導では、準備運動の後、切り返しや面打ちといった基本動作からスタート。末永さんは「前に出るときは腹ではなく背中を意識する」、「足が地面についていない瞬間を大事にする」と、体の使い方を繰り返し説明した。
子どもたちは言葉をひとつひとつかみしめるように聞き、指示に従って何度も動きを確認。末永さんは正しく理解してもらえているか、しっかり確認しながら進めた。

面打ちの練習では、「手で振ろうとすると竹刀は重くなる。足と手を連動させることが大切」とアドバイス。足を先に出し、体重を剣先にのせて前に出る感覚を体で覚えさせた。道場の広さを生かした。
中盤からは小手面や体当たりからの引き面など、試合を想定した技へと進んだ。末永さんは「基立ちは受けるだけではなく、次に打てる準備をすることが大事」と強調。受けた後にどうさばき、どう次の一本につなげるかを具体的に示し、模範動作を交えながら指導した。
とくに小手打ちでは、「左手と右足、剣先を連動させる」、「竹刀を引っ張らず、真っすぐ前に出す」といったポイントをていねいに説明。参加者からは「難しいけどわかりやすい」、「今まで意識していなかった動き」との声もあった。

教室後半の質疑応答では、「剣道をするうえでいちばん大切にしていることは?」の質問に末永さんは「仲間や応援してくれる人への感謝の気持ち。剣道はひとりではできない競技」。また、「結果がすぐに出なくても、続けていくことで自分の成長を実感できる。年齢に関係なく続けられるのが剣道の魅力」と語り、長く競技と向き合ってきた経験を伝えた。
最後にじゃんけんで色紙や市内のプレゼントも行い、子どもたちは歓声を上げて大喜びだった、
燕中剣道部は全中女子で何度も優勝し、全国制覇を果たしている。末永さんは指導後、「燕市は全日本女子選手権で優勝した高橋萌子選手の出身地と知っていた。実際に来てみて、礼儀や基本がしっかりしている子どもたちだと感じた」と感想を話した。

同じ燕中出身の小川萌々香、 梨々香姉妹とも対戦したことがあり、それぞれの選手について「年下だが、本当に明るく、すごく剣道が大好きで、人から応援される選手だなと感じる」。
剣道に熱中する燕市内の子どもたちに「自分が目指すところをしっかり理解して頑張れば、強くなっていけるので、今はうまくいかなくてもあきらめずに、これから高校、大学、社会人になっても続けていってほしい」とメッセージを話した。
今回の教室は佐野市長の市長就任前に決まっていた。佐野市長にとってはちょっとしたごほうび。笑顔が絶えず、「いつも言われてることも、また真理さんから聞くことで、きっと子どもたちもやっぱりそうなんだと思って取り組めると思うので、ぜひ次に生かしてほしい」と末永さん効果に期待していた。