燕三条の底力が台湾で爆発 「台北万博の燕三条パビリオン」のようだった「之間」 入場料導入でも8,182人 売り上げは前回の2倍超の1.3億円 (2026.4.8)

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台湾・台北市で3月26日から29日までの4日間開かれた新潟県燕三条地域で生まれた製品の展示販売イベント「之間(のま)」は、初めて入場料を導入しながらも総売上約1億3,000万円、物販のみで約1億2,000万円を記録し、過去3回で最高の成果を上げた。来場者数は8,182人で、前回の9,314人を下回ったものの、主催した燕三条貿易振興会は「伝説の最高の結果」と振り返り、燕三条ブランドの浸透と台湾側との深い結びつきに手応えを感じた。

過去最高の売り上げを記録したことしの「之間」
過去最高の売り上げを記録したことしの「之間」

8日、三条商工会議所で帰国報告記者会見を行い、実績などを話した。燕三条地域から昨年より2社多い18社が出展。展示、販売、ワークショップ、トークセミナーを一体で展開した。単なる物販イベントではなく、各社の商品の特徴や背景にあるものづくりの思想、使い手の暮らしまで伝える構成で、燕三条地域そのものを体感してもらう場に仕立てた。

入場料導入でも客単価が上昇

会場内は、入り口から展示スペース、中央には大型展示物、さらに奥に販売スペースが広がるレイアウト。屋外テントでは燕三条ツアーの紹介ブースや飲食、ワークショップなども行い、4日間を通して会場全体が燕三条一色に染まった。

販売スペースは各日とも来場者が絶えず、初日にはレジ待ちが1時間に達する場面もあったため、2日目昼からはレジを3台から5台に増やして対応した。

昨年との来場者数と売り上げの比較
イベント・項目 1日目 2日目 3日目 4日目 合計 / 備考
之間-2026
(3/26 - 3/29)
3月26日(木) 3月27日(金) 3月28日(土) 3月29日(日) 計4日間
1,455人 1,678人 2,782人 2,267人 8,182人
約2,800万円 約2,600万円 約3,700万円 約2,900万円 約1億3千万円
之間-2025
(3/19 - 3/22)
3月19日(木) 3月20日(金) 3月21日(土) 3月22日(日) 計4日間
1,589人 2,163人 2,960人 2,602人 9,314人
約1,250万円 約1,415万円 約1,615万円 約1,820万円 約6,100万円
※2026年総売上内訳:物販のみ約1億2千万円(入場料込総額 約1億3千万円)

売り上げは初回の約2,100万円、2年目の約6,100万円を大きく上回った。3回目の今回は、入場料込みの総売上が約1億3,000万円、物販のみでも約1億2,000万円に達した。

帰国報告記者会見
帰国報告記者会見

入場料は当時のレートで日本円でおよそ前売り1,100円、当日券1,400円、プレミア2,500円。入場料を導入したことで来場者数は前回の12.2%、1,132減の8,182人と下回ったが、客単価は大きく上昇した。

関係者からは「お金を払ってでも見たい、買いたいという本気の来場者が集まった」との声が聞かれた。過去2回の来場者や、すでに燕三条を訪れた経験のある台湾の人たちが再び足を運ぶケースも多かったという。

全体コーディネートにかかわった玉川堂の番頭、山田立さんは、来場者が減っても売り上げが伸びた背景について、「客単価がかなり上がったことと、本当に真剣な人が来てくれたことが大きい」と説明した。

物販ブース
物販ブース

さらに、これまで分かれて扱われがちだった作業工具と生活雑貨を同じ空間で展示販売したことも新たな発見だったとし、「工具を目当てに来た人がチタンカップも買って帰るなど、食い合わせの良さがあった。日々の暮らしの道具として、実はひと続きのものだった」と振り返った。

台湾側コーディネーターチームとの信頼関係が土台に

成功の要因として大きく挙げられたのが、台湾側コーディネーターチームの存在だ。現地スタッフが実際に燕三条の18社を訪れ、各社の強みや歴史、ものづくりへの思いを自分たちの目で学び、それを台湾の人たちに伝わるデザインや翻訳、展示表現に落とし込んだ。主催者側は「ただ商品を並べるだけではなく、燕三条の背景を含めて届ける展示会になった」と評価した。

会期中には6回のトークセッションも開き、いずれもほぼ満席の盛況となった。地方創生、デザイン、施工、観光、移住、工場の祭典、三条凧(いか)合戦など、台湾の人たちの関心を意識したテーマが並んだ。

来場者の行列
来場者の行列

滝沢亮三条市長も現地入りして登壇したほか、台湾人で新潟県内に住み、観光本の出版でも知られる人物らも参加し、多角的に燕三条地域の魅力を伝えた。

一般参加者が“燕三条ファン”としてトークショーに登壇

なかでも関係者の印象に強く残ったのが、昨年の関連モニターツアーで実際に燕三条を訪れた台湾の一般参加者が、登壇して自発的に体験を語った場面だった。

関係者中心になりがちなモニターツアー関連企画で、一般の参加者が「自分の口で台湾の人に伝えたい」と申し出て登壇するのは異例だったという。

ワークショップ
ワークショップ

その男性はインテリアデザインの仕事に携わっており、燕三条の工場を巡った体験を通して、「大金を出して豪邸に住まなくても、1本のいいスプーンがあれば、生活を少しずつ味わい始め、日々の質を変えることができる」と語った。

燕市・山崎金属工業で購入したスプーンを実際に手に取りながら大勢の前で話す姿に、会場は大きく引き込まれたと言う。

この言葉に対し、山崎金属工業の山崎修司さんは「ガチで泣きました」と率直な思いを口にした。「ただ道具を作っているのではなく、生活に潤いと豊かさを提供したいという思いでやっている。そのままの言葉を言ってもらえた」と振り返り、「商品を売ることだけが目的ではなく、燕三条の商品の良さ、地域の価値を伝えたいと思って参加している。心まで届き、心と心がつながったことが今回の成功につながったのではないか」と話した。

入場有料化で“本気の来場者”が集まる

山崎金属工業の山崎副社長
山崎金属工業の山崎副社長

山崎さんは個別取材でも、「こちらが思っている以上に、燕三条は台湾でブランドになっている」と実感を語った。やや高価格帯の商品も売れたといい、「きちんと説明して価値を伝えれば、分かってくれる人たちがいると分かった」と手応えを感じた。入場料についても「本気の人が来ていて、有料化の意味は大きかったと思う」と評価していた。

また、会場ではモニターツアーに参加した別の台湾人が、ツアー紹介ブースで来場者に熱心に燕三条の魅力を説明する姿も見られた。スタッフと思われるほど積極的に動いていたが、実は一般参加者だったという。主催者側は、こうした“自走するファン”の存在こそが今回の成果を支えた大きな要素とみており、「ここまで愛を持ってほかの人に広めてくれるところまで来たのは本当に大きい」と話した。

台湾側からも継続を望む声

台湾側からのメッセージも、今回の事業の意味を象徴していた。展示づくりに関わった台湾のデザイン会社関係者は、会場に人が入り、見て、手に取り、自然に会話が生まれ、写真を撮って共有したくなる空間になったことに感動したとし、「完成度の高い展示になったのは各ブランドが真摯に取り組んだからこそ」と感謝を寄せた。一方で、開幕前はチケットの売れ行きが伸びず、これが最後になるかもしれないとの不安も抱えていたと明かした。

滝沢三条市長も登壇してトークショー
滝沢三条市長も登壇してトークショー

そのうえで、「来場者は1割減っても売上が伸びたのは、本当に工芸を愛してくれている人たちに届いてきたということではないか」と分析し、「ここで終わりにするのはもったいない。希望を追うだけでなく、続けられる形をつくることが大切」と今後の継続に意欲を示した。高雄市文化局への相談や、台湾各地の関係者との連携も視野に入れているという。

「台北万博の燕三条パビリオン」

主催する燕三条貿易振興会の長谷川直哉会長=マルト長谷川工作所社長=は、「1964年の燕三条貿易振興会発足以来、35の国や地域、88の都市で事業を行ってきたが、間違いなく今回が最高の結果だった」と胸を張った。「あえて言うなら台北万博の燕三条パビリオン」と表現し、「お金を払って2時間待って、さらに買い物までして、それをまた自分でPRしてくれる。そんな夢のような4日間だった」と語った。

さらに、「我々がすごいというより、燕三条そのものがすごいということが台湾でリアルに届いた結果」と分析。「単なる物売りではなく、背景や文化、職人の魂まで持っていこうという考えで始めた事業だった。それが3年目で月まで届くぐらいのジャンプになった」と想定をはるかに超えた。

燕三条貿易振興会の長谷川直哉会長
燕三条貿易振興会の長谷川直哉会長

会場では接客中やクロージング、報告会でも涙する場面があったといい、「理屈だけでは説明しきれないエモーショナルな何かがあった」と話した。

インバウンドにつなげる次の展開も

玉川基行副会長=玉川堂社長=は、今回の成果の背景に、台湾側との長年の信頼関係と、2009年に始まった燕三条プライドプロジェクト、13年にわたる「燕三条 工場の祭典」などの積み重ねがあると指摘した。

「この之間をきっかけに台湾から燕三条へ来てもらう流れが生まれている。燕三条を国際産業観光都市にしていく大きな一歩にしたい」と今後への期待を込めた。

一方で、関係者の間では、同じ形での開催をそのまま続けることには慎重な見方もある。半年近い準備期間を要し、現地スタッフも含め多くの人手が必要になるためだ。

山田立さんは「ここまで育ったものをゼロにするのはもったいないが、同じパッケージで続ければ飽きられる可能性もある。規模や見せ方、頻度を変えながら続けるべきだ」と形を変えて継続したい考えだ。

その流れの一つとして、5月からは台湾から新潟空港への直行便を活用し、燕三条で丸3日間、過ごすツアーを毎月1本実施する計画もあるという。

燕三条貿易振興会の山田立さん(左)と玉川基行副会長
燕三条貿易振興会の山田立さん(左)と玉川基行副会長

現地旅行会社が募集を担い、日本側では受け入れ体制を整える。イベントで生まれた関心を、実際の来訪や地域での体験につなげ、アウトバウンドとインバウンドの循環をつくろうと目論む。

単発イベントで終わらない手応え

初参加企業からも驚きと手応えの声が相次いだ。初出展したアルチザンの長澤政幸社長は「聞くのと参加するのとでは全然違った。物を売るというより地域を売るイベントだった」と話した。やはり初出展の諏訪田製作所の水沼樹さんは「こんな大観衆の前では半端なものは出せないという緊張感があった」と語った。有料であるにもかかわらず、会場に押し寄せる来場者の姿が、出展者側の意識も大きく引き締めたようだ。

今回は数字の面でも過去最高を更新したが、関係者が口をそろえて語ったのは、売り上げ以上に「燕三条の価値が、文化や感情まで含めて届いた」ことだった。

商品を買って終わるのではなく、現地の一般客が自ら語り、薦め、また実際に燕三条を訪れようとする。そんな関係性が台湾で確かに育っていることを示した4日間だった。単発の催しにとどまらず、地域そのもののファンを増やす新しい海外発信の形として、今後の展開も注目だ。


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